著者 山本 文緒
32歳の与野都は、2年前まで東京でアパレルの正社員として働いていたが、
更年期障害を抱える母親の看病のため、茨城県の実家に戻ってきた。
今は牛久大仏を望むアウトレットモールのショップで店員として契約で働いている。
地元の友だちは次々結婚したり彼氏ができたりする中で、
都もモール内の回転寿司店で働く貫一と出会い つき合い始めた。
でも料理が上手で優しいけれど経済的に不安定な彼と結婚したいかどうか、
都は自分の気持ちがわからない。
実家では両親共に体調を崩し、気づいたら経済状態が悪化していた。
さらに職場ではセクハラ、パワハラいろいろ起きて……。
恋愛をして、家族の世話もしつつ、仕事も全開で がんばるなんて、
そんな器用なこと できそうもない。
ぐるぐる悩む都に貫一の放った言葉は、「そうか、自転しながら公転してるんだな」
>地球は秒速465メートルで自転して、その勢いのまま秒速30キロで公転してる。
できたばっかりの地球の地軸はまっすぐだったらしい。
それがある日、でっかい火星くらいある小惑星が ばーんって地球にぶつかって、
その衝撃で23度傾いちゃったそうだ。
その時の衝撃で宇宙に飛んだ破片が地球のまわりを回って そのうち集まったのが月になった。
そのジャイアントインパクトのおかげで傾いた地球には まんべんなく寒暖が生まれて、
生き物が発生した。 傾きながら自転公転してるから季節があって……
(本文より抜粋)
この小説は月刊誌「小説新潮」に掲載されているときに読んでいましたが、
単行本化にあたり、プロローグ、エピローグが追加され、
単行本を改めて読み、プロローグに見事 勘違いさせられました〜
山本文緒さま、もっと長生きされて、ずうっと小説を書いてほしかったです