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My Favorite Things

写真、舞台、Jazz、バーボン、星空 等々。
私のお気に入りです。

サウンド・オブ・ミュージック 千秋楽

2013年05月06日 23時15分00秒 | 観劇

東京初演の千秋楽は震災のために中止となり、その後の大阪、福岡は前楽までしか観ることができず、初めての千秋楽公演となりました。
12時過ぎと早い時間に劇場に着いてしまったのですが、ほとんど人影がなく時間を間違えたのかとさえ思えてきました。
少しずつ増えてきた観客で埋まってきた共通ロビー。
15分頃にライオンキングが開場すると、予想外にチェックインする人はあまりなく、共通ロビーに止まる人が大半。
驚いたことに、サウンドの会場を待っている人の方が多かったのです。
客席やロビーを観ていると、客層は普段との違いは感じられませんでしたが、開演数分前に大きな違いに気付きました。
5分前のチャイムが鳴ると、ざわめいていた客席が静まり始め、静寂が拡がります。
客席にいる誰もが、息をひそめて開演を待っているのが伝わってきて嬉しくなりました。

そんな空気の中で修道院の鐘の音が響き渡り、開演です。
「朝の祈り」は、修道院の日課と同様に、普段と変わらぬ美しい歌声が客席を包んでいました。
「サウンド・オブ・ミュージック」の智恵さんの歌声を聴き、今日の安定を確信しました。
「私のお気に入り」では、今週は活発な女の子な感じのマリアです。
昨日は歌い始めた修道院長様が止めてくれないので、両手で頭を抱えたりしていましたが、今日はいつも通りでした。
むしろ、智恵さんのパートで「お髭の生えた小さなネコ」の時、智恵さんが両手の人差し指で自分の頬をなぞりますが、秋山さんも控えめに智恵さんの真似をしていました。
ここで気付いたのが、智恵さんの首筋の汗。
やはり、いつもよりは緊張気味なのかなと。
「自信をもって」では、昨日のような動きは問題なかったのですが、最後のロングトーンが一瞬音が乱れかけてヒヤッとしました。
トラップ邸のシーンでは、子どもたち登場後の整列でフリードリッヒとルイーザの間隔が狭くて、ゆっくり2人の肘をずらすようにして抜けていきました。
「ドレミの歌」では、マリアも子どもたちも、いつも以上に良い表情をしていました。
心を開かない子どもたちにめげそうになるマリアを、グレーテルとマルタの2人の笑顔が助けます。
歌のラストを観たときには、久しぶりに涙が出てきました。
「もうすぐ十七歳」では、洋一郎クンのロルフがいつも以上に元気で表情豊かで良かったです。
リーズルに対しての優しさや、大人ぶったり、やんちゃ坊主のような笑顔をだったり。
観ていて楽しかったです。
マリアの部屋で、マリアに気付かれたリーズルが窓から転けるシーンに関しては、相変わらずみんなあまり上手くないです。
このシーンだけは、あかりちゃんや五所さんが上手かったです。
「ひとりぼっちの羊飼い」の今日の極めポーズは、客席側にお尻を向けてフリフリしたあと、振り返っていました。
満員の客席からの大きな拍手は、何度聞いても心地よい響ですね。
エルザ登場からは、ベテランの息のあった流れが心地よいです。
カーテンの服に対する大佐の怒りは、いつもより怒りが激しく感じました。
ここでのマリアとの台詞のやり取りの間が、とても良いです。
深水さんの不意を突かれたことへの怒りや、本音を突かれた事への動揺の表情が良いです。
更に、エーデルワイスを歌う子供たちを見つめる大佐と、親子を見つめるマリアの表情。
ここでも、涙が溢れてきました。
「さよなら またね」マルタやクルトの表情や動きが特に良いです。
今日唯一残念だったのは、フリードリッヒ。
大根田君の場合、初舞台から声変わりが始まってしまったのかも知れませんが、ハスキーな声でした。
そのため、台詞だけでなく「グッバ~イ」のハイトーンにギリギリ感は否めませんでした。
今日は緊張をしたのか、舞台中央辺りまで来たときに声が続かなくなり、口を閉じてしまいました。
修道院に戻ったマリアは、最近の智恵さんは沈み込んだ雰囲気を強く出していましたが、今日も同様でした。
両親と死別してから人を愛することがなかったマリアが、修道院長の言葉に勇気づけられていく様子がより強く印象づけられます。
「すべての山へ登れ」での割れんばかりの拍手は、言うまでもありませんでした。
ここまで観て感じたことは、今日は誰もが高い出来でバランスが取れていること。
後ろの方で演じている子どもたちの表情を観ていても、芝居をしているのではなく役を生きていると感じました。
6人の子どもたちが集中力を切らすことなく演じ続けられるのは、基本でありながらも難しい事だと思います。
できることなら、今日の映像を残して欲しいと思いました。
2幕、グレーテルの指にキスをするマックスですが、最近は指先に普通にキスをすることが多かったのですが、今日は以前のようにグレーテルの人差し指を握ってキスをしていました。
エルザとの結婚を子どもたちに告げるも、受け入れられない事に落胆する大佐の背中が少し丸くなっていて、いつもより淋しげに感じました。
ルイーザとブリギッタから大佐の結婚を聞かされたマリアの落胆振りが、以前よりも明確になっています。
エルザと大佐、マックスとの間で交わされるナチスとの関わりでの対立は、相変わらず強いです。
エルザとの別れた後の大佐とマリアに、展開が急との意見もありますが、大佐の表情と間が凄く良いです。
やはり智恵さんと深水さんの相性は、なかなかのものだと思わされます。
「ないか よいこと」の智恵さんの笑顔、今日もとても良かったです。
このシーンの最後、「マリア、君との結婚は誰に申し込めばいい?」「もちろん、子どもたちに!」で、大きな拍手が起きました。
これも、久しぶりです。
最近の智恵さんと深水さんの演技に拍手を送りたくて溜まらなかった私にとっても、気持ち良く拍手ができました。
「ウェディング シークエンス」での流れを観ていたら、マリアの幸せな笑顔に涙している私がいました。
電報を届けに来たロルフの変貌と「泣けばいいさ」の予期せぬ言葉に、今日の若奈さん目を潤ませていました。
提督が音楽祭参加を承認した後の大佐とツェラー長官とのやり取りも、いつもより迫力が増していました。
白倉さんから諏訪さんに変わり、音楽祭でツェラー長官が拍手をしなくなったのですが、今日の観客が「ドレミの歌 コンサート」で拍手をしてくれたので、長官のやむなき拍手が復活しました。
マックスのアンコールと称してのナチス情報の提供に、大佐とマックスの表情から2人の声なき会話が痛いほど伝わってきました。
今日は、歌っている子供たちを見つめるマックスの表情に笑顔がなく、それがこの先のマックスの運命を物語っているように見え、涙が溢れてきました。
ラストナンバーの美しい歌声が、いつも以上に心に響きました。

カーテンコールは、昨日までと同様です。
深水さんのご挨拶では、本日無事に千秋楽を迎えられたことと延べ来場者数が67,700人となったことが昨日と異なる点でした。
エーデルワイスに続き、勅使瓦さんから子役1人ずつの名前を呼び上げての卒業式も、同じ形で進みました。
一昨日は、フリードリッヒ、リーズル、グレーテルが。
昨日はブリギッタが涙を堪えられず泣いていましたが、今日は全員が最後まで笑顔で終えました。

今日の千秋楽も劇団的には一通加点でしかないとは言え、前回公演での幻の千秋楽に経つはずだった智恵さんや秋山さん、勅使瓦さん達にとっては、それぞれの思いがあったことと思います。
そんなことを考えていたら、再び涙が溢れてきました。
顔をあげると、智恵さんの頬にも涙が流れていました。
観客の大きな拍手に、何度も応えてくれました。
私にとっては、今日の公演が今回公演のベストに思える素晴らしいものとなりました。
俳優の皆さんと支えてきたスタッフの皆さんに、お疲れさまと同時に感謝の言葉を贈りたいです。
劇場を出ると、楽屋口には搬出のトラックが横付けされているのを目にしたとき、本当に今日で終わりなんだと思わされました。

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マリア : 井上智恵
トラップ大佐 : 深水彰彦
修道院長 : 秋山知子
エルザ : 八重沢真美
マックス : 勅使瓦武志
シュミット : はにべあゆみ
フランツ : 青山裕次
シスター・ベルテ : 久居史子
シスター・マルガレッタ : 矢野侑子
シスター・ソフィア : 兼田怜奈
ロルフ : 斎藤洋一郎

【フォン・トラップ家の子どもたち】
リーズル : 若奈まりえ
フリードリッヒ : 大根田 岳
ルイーザ : 大塚あかり
クルト : 横山賀三
ブリギッタ : 吉井乃歌
マルタ : 菅野花音
グレーテル : 内田未来

【男性アンサンブル】
諏訪友靖
新藤晃大
柳 隆幸
野村数幾
菱山亮祐
藤木達彦
杉原 剣
蛭沼建徳
【女性アンサンブル】
増山美保
種子島美樹
礒辺愛奈
脇野綾弓
田代美里
辻 奈々
渡部真理子
原 彩子