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読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「考えるマナー」

2017年03月19日 | 日記
赤瀬川源平ほか(中公文庫)

 ユーモア&ちょっぴり皮肉の効いた2ページ見開きのエッセイ集。テーマは「マナー」だがそんなことマナーにしなくてもいいのに・・・と思えるものを拾って書いているのが可笑しい。

 内容紹介は
『五本指ソックスのはき方からオヤジギャグを放つ方法まで、大人を悩ますマナーの難題に作家や芸人十二人がくりだす名(迷)回答集。座を温めたい、のどかに生きたい、美を匂わせたい……
この一冊が、日々の小さなピンチを救う。笑いながら粋な暮らしのヒントが見つかる、新しいマナー考』

・・・にやりとしながら適当なページを開いて、眺めるのにちょうどいい。春の陽だまりでのんびりかつ昼寝になっても構わない気分の時の読書でしょう。

「アウトサイダー」

2017年03月12日 | 日記
フレドリック・フォーサイス(KADOKAWA)

 一番最初に読んだのは「ジャッカルの日」。実によくできた話と思っていたら、かなりの部分が実話に基づき、その後の小説も自分の経験や現地調査に基づいているのが、本書で分かる。また、同署の執筆動機がカネがなくなりそれを稼ぐためだったというのも面白い。作家になったけど、実際はジャーナリストを抜けていないからその後の小説もかなりの部分実体験に根差すところがある。
 もともとジャーナリストだし、その経験から冷戦時代の東ドイツでの活動やアフリカでの取材などいろいろな実話があり、現代国際政治の舞台を追体験することもできる。

 そもそものスタートが、空軍のパイロットになる夢から始まったところが面白い。最初の少年時代については若干物足りない感じもしたが、手相を見てもらって自分の幸運がついていることを知っているのが強み?になっていろいろな危険なところも渡り歩く原動力ではないか。

 41ページの外国語習得の話は有益だ。限界がどこにあるか分かったね。

 さて、内容紹介は、詳しく・・・(週刊文春から引用です)
『フォーサイスはスパイ小説を超える生き方を歩んだ 『アウトサイダー』な作家が描く鮮やかな自伝
スパイ小説の第一人者として人気の高いフレデリック・フォーサイスが、自伝『アウトサイダー 陰謀の中の人生』を著した。インテリジェンスに詳しい作家の手嶋龍一さんが、本書の読みどころを案内する。
文句なしに面白い――昨今、そんな新刊に出遭うことは、万馬券に当たるほどの幸運と言っていい。フォーサイス少年はスピットファイアーを駆って大空を飛びたいと憧れていた。ケンブリッジ大学の入試面接でも「パイロットになりたい」と告げ、安全だが退屈な人生を拒んでしまう。まさしく筋金入りの『アウトサイダー』なのである。この特異な自伝は、短編の狙撃手、ロアルド・ダールが人生を綴った『少年』、続く『単独飛行』の系譜を継ぎ、消えゆく大英帝国の青年群像を彷彿とさせる。
ふたりとも金持ちの子弟が学ぶパブリック・スクールに通いながら、大学には進まない。冒険旅行に出かけ、軍用機の操縦桿を握り、やがて作家になる軌跡はぴたりと重なっている。
「人生はおびただしい些事と、数少ない大事件から成りたっている。自伝では退屈にならぬよう内容を厳しく吟味すべきだ。どうでもよい事柄はばっさり切り捨て、鮮やかに記憶に残っている出来事だけに絞り込むべし」(『単独飛行』より)
フォーサイスもダール流の「自伝の鉄則」にあくまで忠実なのである。
フォーサイスは語学の才能を生かして、ロイター通信の特派員となり、ドゴール時代のパリから冷戦都市ベルリンに赴いていく。彼の地で東ドイツの情報当局の峻烈な検閲体制のもと記事を紡いでいく。検閲はジャーナリストを鋼のように鍛えるという。一段と逞しくなった彼は、BBCの特派員として内戦下のビアフラの悲惨な現実と向き合う。だが、祖国とメディアの官僚体質と思うさま衝突する。
この時、英国秘密情報部と密やかな関係が培われる。後年、その絆が南アフリカで大きな実を結ぶことになる。この国の白人政権は人種隔離政策は放棄したのだが、核弾頭は密かに所有していた。作家は、情報当局の密命を帯びて現地に飛び、ボタ外相に核の扱いをどうするのかと尋ねた。一連の事実は『ジャッカルの日』に劣らず面白い。
評者:手嶋 龍一
(週刊文春 2017.3.2号掲載)

著者について
●フレデリック・フォーサイス:1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』など多数。
●黒原 敏行:1957年生まれ。東京大学法学部卒。英米文学翻訳家。訳書に、『コブラ』『双生の荒鷲』(以上、KADOKAWA)、『幻の女』『エンジェルメイカー』『怒りの葡萄』(以上、早川書房)、『まるで天使のような』(東京創元社)、『すばらしい新世界』(光文社)など多数』

・・・確かに文句なく面白い。イギリス人の冒険精神野現れだし、そういう人物なんでしょうね。
もう一度「ジャッカルの日」を読むか、映画を見たくなった。
お勧めですよ!

「その後の慶喜ー大正まで生きた将軍」

2017年03月08日 | 日記
家近良樹(筑摩文庫)

 近現代史と言うのは我々の世代であまり深くは勉強していないところだ。幕末から明治、大正、昭和など何やら戦争色だし、イメージ的にも暗い。
 しかし、今になってみればいろいろなことも明らかになってくるのでしょうね。その意味で最後の将軍としての慶喜は歴史的評価をきちんとすべき人物のひとりでしょう。

内容紹介は
『1867年、大政奉還を行った徳川慶喜は歴史の表舞台から姿を消し、1913年に没するまで時代との係わりを断って静かに暮らした。旧幕臣たちとの微妙な関係、狩猟や写真など多岐にわたる趣味、たくさんの子どもを作った家庭人としての側面、そして自分を追い落とした明治政府と皇族への感情。謎に包まれた「最後の将軍」の長い余生を第一人者が鮮やかに浮かび上がらせる。

著者略歴
家近/良樹
1950(昭和25)年、大分県生まれ。同志社大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻は幕末史を中心とした日本近代史。現在、大阪経済大学教授』

・・・趣味人として写真や狩猟、自転車での散策など有名だが、政治的というか心情として、どう明治と向き合ったのか、興味あるところ。歴史好きに良いかも。

「贅沢のススメ」

2017年03月07日 | 日記
本城雅人(講談社文庫)

 表紙がカナダのお城風ホテルのようですが、まあ、こんなところに泊まれたら「贅沢」かも。でも本小説とは関係ないようです。
 いくつかのエピソードが語られるのだが、これを高級品のうんちく話として読んでも面白い。主人公が若いサラリーマンなのでその視点から見える「贅沢品」になっているが、ただ所有するだけではなくそれを使いこなし長年にわたり持ち続けると言う思想は大事だね。

内容紹介は
『落ち目になったカリスマシェフのイタリアン、職人の結束の綻びに揺れるオーダーシャツテーラー、強引な合併危機に瀕した老舗ホテル――。”高級”で売る業種をターゲットにした気鋭ファンドのボス藤浪と新人古武士は、「人を豊かにする贅沢」のみを買う。だが、窮地の企業を救う彼らの前に因縁の男が立ちはだかる。

著者略歴
本城/雅人
1965年神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、産経新聞浦和総局を経て、サンケイスポーツで記者として活躍。退職後、2009年に『ノーバディノウズ』が第16回松本清張賞候補となり、同作で第1回サムライジャパン野球文学賞大賞を受賞』

・・・そうか以前読んだ『紙の城』の作者だった。
面白かったのは、最後のホテルの話。中の二つは飛ばした。軽く読めばいいのかな。

「向田理髪店」

2017年03月01日 | 日記
奥田英朗(光文社)

 北海道は元炭鉱の町で今やさびれる一方のかつ財政破たんした町が舞台。ということはまさに「夕張」ではないかい? フィクションだから名前は違っているのだ。
 個性ある中年おやじたちが主人公。その息子たちも帰ってきて巻き起こす「町おこし」などなど。
 それにしても、身につまされるね。

内容紹介は(出版社による)
『札幌で就職した息子がわずか一年で帰郷。理髪店を継ぐと言い出した。
・幼馴染の老父が突然倒れた。残された奥さんは大丈夫?
・異国の花嫁がやって来た。町民大歓迎。だが新郎はお披露目を避け続ける。なぜ?
・町に久々のスナック新規開店。妖艶なママにオヤジ連中、そわそわ。
・映画のロケ地になり、全町民大興奮。だけどだんだん町の雰囲気が……。
・地元出身の若者が全国指名手配犯に! まさか、あのいい子が……。

──心配性の理髪店主人が住む過疎の町で起こる騒動を描いた極上の一冊』

・・・いやまあ、ありそうなお話で、田舎度満載。小生、夕張の出身なのだ。でも小説的にはテーマは面白かったが、作者の『噂の女』の方が完成度が高いですね。ドサンコで田舎のご出身の方にお勧め!