歯列数の制御
Controlling the Number of Tooth Rows
Marja L. Mikkola*
Developmental Biology Program, Institute of Biotechnology, University of Helsinki, 00014 Helsinki, Finland.
要約:歯の構成および再生能は、脊椎動物のあいだで大きく異なる。哺乳類は、歯が1列しかなく、多くても一度生え変わるだけであるのに対し、多くの非哺乳類生物種は、歯列が複数で、生涯を通して歯が何度も生え変わる驚くべき能力を示す。歯の形態形成の遺伝的基盤に関する知識は、過去20年間に飛躍的に増加したが、複数歯列の逐次開始を制御する分子機構や哺乳類において歯の発達を1列に制限する分子機構はほとんど知られていない。マウス遺伝学から、この過程における転写因子Osr2の中心的な役割が明らかになった。Osr2の欠損は、歯の発育のよく知られた活性化因子であるBmp4の発現ドメインの拡大を引き起こし、その結果、非哺乳類生物種における第2歯列の開始と類似する様式で、過剰な数の歯の発生が誘導される。
M. L. Mikkola, Controlling the Number of Tooth Rows. Sci. Signal. 2, pe53 (2009).
歯学も現象を分子の動きで解明しようとする黎明期が訪れようとしている。
Controlling the Number of Tooth Rows
Marja L. Mikkola*
Developmental Biology Program, Institute of Biotechnology, University of Helsinki, 00014 Helsinki, Finland.
要約:歯の構成および再生能は、脊椎動物のあいだで大きく異なる。哺乳類は、歯が1列しかなく、多くても一度生え変わるだけであるのに対し、多くの非哺乳類生物種は、歯列が複数で、生涯を通して歯が何度も生え変わる驚くべき能力を示す。歯の形態形成の遺伝的基盤に関する知識は、過去20年間に飛躍的に増加したが、複数歯列の逐次開始を制御する分子機構や哺乳類において歯の発達を1列に制限する分子機構はほとんど知られていない。マウス遺伝学から、この過程における転写因子Osr2の中心的な役割が明らかになった。Osr2の欠損は、歯の発育のよく知られた活性化因子であるBmp4の発現ドメインの拡大を引き起こし、その結果、非哺乳類生物種における第2歯列の開始と類似する様式で、過剰な数の歯の発生が誘導される。
M. L. Mikkola, Controlling the Number of Tooth Rows. Sci. Signal. 2, pe53 (2009).
歯学も現象を分子の動きで解明しようとする黎明期が訪れようとしている。