
時間が無いのもさることながら、絵を描くときの気持ちがゆるんできているような気がするので、
原点に返って、高峰秀子さんのスケッチをする。
映画「張込み」(1958年)の主人公、横川さだ子。
刑事に24時間張込みで監視される女の役。
昔の恋人が殺人事件を犯し、この女の所に現れるのではないかと刑事が見張っている。
さだ子は、遥かに年上の夫と不本意な結婚生活を送っている。
そんな女の所に、本当に犯人は現れるのか。
しかし男は現れた。
男と密会するときのさだ子は、いつもの目立たない主婦ではなく、
きらきらとした表情の「女」になる。
しかし常に不安と隣り合わせである。
その張りつめた陶酔と不安を、高峰さんが見事に演じている。
この写真をスケッチしていて、その感情が手に取るように分かるのに驚く。
自分が描きたかったものを、思い出す。
原点に返る、というのは大切である。