かつて小笠原諸島にもこの亜種が生息していた。
しかしこの亜種はすでに絶滅している。
他の亜種と比べると嘴が太かったらしい。
同じように小笠原諸島のカワラヒワも独特の亜種で、これも嘴が太くなっている。しかし数が急減しているとのことだ。
有名な絶滅種オガサワラマシコも異常に嘴が太かったから、これは小笠原の植生などと関係があるのかもしれない。
これらの絶滅(あるいは絶滅危惧)は、どんどん世界が狭くなってバリエーションが貧しくなって来ている現象の表れかもしれない。
今一仕事終わったところで、
その中でイラストをたくさん描いたせいで
すぐに同じような絵を描く気になれない。
散歩していたらシジュウカラの鳴く声と小さな姿が見えてほっとしたので、
それを描いてみようと思った。
珍しく色鉛筆で色付け。
久しぶりに想像上の鳥を描く。
コゲラという可愛いキツツキがいるけれども、
もう1種類くらい小さなキツツキが存在したらいいのに、と思う。
こんなのはどうだろう。
名前は、そうだなー、「ヒメゲラ」とかどうだろう。
コゲラと似たり寄ったりの大きさ、という想定。
色はもう少し派手にしたい。色塗ればよかったか。
美術番組で、伊藤若冲の特集をやっていた。
その中で想像上の鳥、鳳凰の絵がいくつも出て来た。
見ているうちに、本当にこの鳥が生きていたらどんな感じなのか、描いてみたくなった。
試しに描いてみたら、こんな風になった。他の絵は見ていない。
想像上の鳥を描く時に、別の絵を参考にし過ぎるとイメージが固まりすぎて死んでしまう気がする。
この鳥が餌を啄んでいたり、鳴いているところの映像を想像するのも面白い。
以前も描いたけれど、実際には存在しないけれど「いてもおかしくない鳥」というのを久しぶりに描く。
鳥や動物は、人間が知っている以上に多くの種類がいたのではないか。
人間が知る前に滅んでしまったものも多いと思う。
そういう、秘かに滅んでしまった鳥、というのを想像して描くのは面白い。
想像イラスト、というジャンルがあってもいいのでは。
マンガでは、見たことのないアングルからも物を描かなければならないことがある。
それは大変だけれども、とても面白い経験でもある。
とくに動物や鳥は、思いもかけないアングルから描こうとすると苦労する。
今回はふと思い立って、ダチョウを俯瞰してみた。
なぜかという理由は特にない。
ふと思い浮かぶからこそ、意外なのである。
それを何とか強引に描く。
後から見たらひどい出来でも、そこを通らないと自在に描けるようにならないから、やるしかないのである。
というわけで、ダチョウ君である(まだ幼鳥という感じかな)。
今回は鳥の絵と、ちょっとその説明。
小笠原諸島には有名な絶滅鳥が4種類(その他にもムコジマメグロなど、個別の島の特産亜種の絶滅種もあるが、それは別とする)いて、これらを全て採集したのがというドイツのキトリッツという鳥類学者だった。私は子供のころから絶滅鳥にロマンを感じていたので、この人がこれらの鳥について何と述べていたのかを知りたいものだとずっと思っていた。
実は私はこの4種類のうち、3種類の標本をこの目で見たことがあるのだ。かつてまだロシアがソヴィエト連邦であった頃、池袋の西武百貨店で、レニングラード博物館所蔵の鳥の標本を公開する催し物があった。私は欣喜雀躍して見に出かけた。ガラスケースに収まったオガサワラマシコとオガサワラガビチョウの標本を目にした時の興奮ときたら! あまりに真剣に見ているので、ロシア人のガードマンに睨まれた。もう一つ、ハシブトゴイ(小笠原の亜種は絶滅)の標本もあった。もう一つの絶滅種、オガサワラカラスバトは残念ながら無かった。
今回、偶然にキトリッツの鳥類図録らしき本をネット上で見つけたので、このオガサワラマシコの説明の翻訳と、私の想像図を載せようと思う。(私の別ブログ「言語のある生活」では、他の鳥の解説も訳していますので、興味のある方はそちらをどうぞ。)
オガサワラマシコ
「私はこの見事な種類を、ボニン島(無人島=ぼにんしま)の群島で見つけた。この鳥は日本には存在せず、分布はきわめて限られているようである。
体長はおよそ8ツォル(1ツォル=2.54cm。従って約20cm)に達する。雌は(雄に比べて)著しく小さくはないが、羽毛に違いがあり、雄の幼鳥と同様に、赤みが全く欠落している。その代り、額にくすんだ斑点があり、暗褐色の基調色がより黄色がかって混じり合っている。
ボニン島でこの鳥は単独あるいは番いで海岸近くの樹林地帯に棲息しているが、ここでも頻繁に目にするわけではなく人目につかない。しかし性質は鈍重であり、あまり臆病ではない。
通常この鳥は地上を歩く姿を目にする。樹上に上ることは滅多にない。呼びかけの囀りはまたとない、静かな、極度にか細く、高い、笛を鳴らすような声で、その声を時に長く、時に短く、ある時は一度だけ、ある時は繰り返し聞かせる。がっしりと筋肉質の胃と容量のある食道の中に私が目にしたものは、小さな果実と木の芽のみであった。」
オガサワラマシコはキトリッツが標本を採集した1828年を最後に、その姿を消したのである。
この記述で想像して描いたのが上の図である。こういう想像画を描くのは楽しい。
この季節、ウグイスがまだ鳴いている。
うちの近くのウグイスは、どうも鳴き方が上手くない。
テレビで、鶯谷を特集していた。そこの説明で、昔京都の皇族が「江戸のウグイスは訛っている」と言って、京都からウグイスを運ばせて放したという話をしていた。その番組で写していたウグイスはものすごく切れの良い声で。「ホーホケキョ」と鳴いていた。うちの近くのウグイスとは違う。なるほど横浜のウグイスも訛っているのだなと納得。
「ホーホケキョ」とは鳴かない。「ホー ホケペチョ」と一拍多かったり、マッタリした声で「チョー チョチフェ」と聞こえる鳴き方をする。こちらも微妙な音の違いが気になったりする。それでいてシジュウカラの声などはいつも同じに聞こえる。こちらの意識の問題かもしれない。
久しぶりに鳥を描きたくなった。
有名な絶滅鳥、ドードー。マダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた。17世紀に絶滅。
大変有名な鳥であり、絶滅鳥のシンボルともなっている。
この格好でハトの仲間だというから驚きである。飛べないうえに、動作が遅かったらしい。上陸したヨーロッパ人の食料となり、猫その他の家畜のエサともなり、何より生息場所の森が切り開かれたことによって、ヨーロッパ人が発見してから100年も経たないうちに滅んでしまった。
興味深いのは、この鳥の絶滅と共に、この鳥の媒介によって種子を発芽させていたカルバリア・メジャー(和名タンバラコク)という植物が同様に滅亡の道を歩み始めた、ということである(まだ細々と残っているらしいが詳細は分からない。種子をシチメンチョウに食べさせて発芽させる試みがあるそうである)。なんでも種子を噛み砕いてしまうモーリシャスインコから身を守るために種子が硬い殻を持つように進化したものらしい。しかしこのインコも絶滅し、ドードーも絶滅して、この進化が逆に仇となった格好である。皮肉なものである。島の動植物は大変脆いものなのだ。
もうほとんど想像画である。ドードーもカルバリア・メジャーも。