1972年のミュンヘン五輪で決勝進出を果たしている(入賞はならなかった)。
天才ジャンパー・杉岡邦由の次の時代を作った選手であり、ベリーロールの時代の最後を飾った選手でもあった。
富沢選手の跳び方はソビエト式のアームアクション(両手を大きく広げて同時に振り上げる)を取りながら、振り上げ足は延ばさずナチュラルに曲げたまま跳ぶ、という独特なものだった。
イメージとしては、全体重とスピードを踏み切る大地に叩きつけて、その跳ね返りで高く跳び上がる、といった感じだった。
しかし富沢選手が素晴らしいのは、バーを越えていくそのクリアランスの美しさであった。
本当にバーの上を舐めるように超えていくその流れが、何度見ても素晴らしかった。
ベリーロールのクリアランスで最も合理的かつ美的なものだったと思う。
それを再現するのは難しい。
本当は当時の陸上競技雑誌(講談社の「月刊陸上競技」か、ベースボール・マガジン社の「陸上競技マガジン」の1971年の、日本記録樹立直後の号に連続写真が出ていたはずである)を見ればよいのだが、それは不可能なので、私の頭の中に残る記憶でイラストを描いてみた。
本当はもっと力強く美しいのだが、せめてその雰囲気の一端でも感じてもらえたらうれしい。


戦後間もない時期に女子プロ野球が日本にも誕生した、という話は知っていた。
でもすぐに消滅してしまったらしい。
見世物的に扱われたのかもしれない。
選手は一生懸命だっただろうが、時代の制約もあったのだろうか。
今だって、本格的に興隆しているとまでは言えないのは、まだその名残が残っているのだろう。
当時の写真を見ていると、ユニフォームも物によっては普段着のような襟が付いていたりして、純粋なスポーツウェアとも言いづらいものがあったりする。
アメリカなどではスカートのようなウェアまであったようだ。
その時代の制約の中で懸命にプレーした選手たちはどんな心境だったのだろう。
そんなことを考えてイラストを2枚、描きました。
女子野球がなかなか軌道に乗らず、火が消えかけていたところに
プロ野球から救いの手が。
それというのも今年の甲子園で女子高校野球の決勝戦が行われたことが大きかったのかもしれない。
その甲子園の優勝投手・島野愛友利(しまの・あゆり)選手が巨人の女子チームに内定。
さぞ本人もうれしかったろうと思う。
それにしても島野選手のフォームはしなやかで素晴らしい。
120㎞のストレート、カーブやチェンジアップも投げるそうで
活躍が期待される。
いくつか他のプロ野球チームにも女子チームが出来ているそうで
この輪が広がっていけばよいと思う。
オリンピックに暗雲が垂れ込めている。
開催中止を叫ぶ声が大きくなっている。
無観客で開催という可能性も大きくなってきた。
どうなるのだろう。
オリンピックは世界一を決めるためでも
ただ盛り上がるためにやる運動会でも
ましてや金儲けのためにやるものでもないと思っていた。
どんな苦難の中でも平和を希求し、人間が平等であることを示すために
提唱されたものだと思っていたが、
そうは考えない人が多いようだ。
今の状況を考えれば無理からぬことだろう。
私などは甘いのかもしれない。
しかし淋しい気持ちがするのも事実なのだ。
無観客で行なう競技を想像して一枚描いてみた。
背面跳びはメキシコ・オリンピックでアメリカのディック・フォスベリーが初披露したというのが一般的な説明だが、実際にはその前の冬ごろから日本でも「変わった跳び方をする選手が出てきた」と陸上競技誌では話題になっていた。
バーの上にあおむけになっている写真を見て、「いったいどういう跳び方なんだ?」と頭をひねったのを覚えている。どちら方向から跳んでいるのかも分からない。
昔、正面跳びの最後に背を反らして跳ぶ「ラルソン・スタイル」というのがあった。
ベルリン・オリンピックの公式映画「民族の祭典」でそれを見ることができるが、背面跳びはそれとは違うのだろうか。分からなかった。
その答えが、メキシコだった。あまりに見事な美しいジャンプだったので感心した。
背面跳びは、どちらかというとベリーロールより正面跳びに近い踏み切り方だ。
フォームは千差万別。これが理想形だ、というフォームは今のところ無いと言っていいだろう。
ベリーロールのように、振り上げ足をまっすぐ伸ばして踏み切る選手も少数いたが、これはクリアランスとの関連で大変に難しい。ナチュラルな踏み切りの選手と記録で差も出ないので、今はあまり見ない。
これからどんな風に進化するのか、まだ発展途上のフォームだと言っておこう。
以前描いたソビエト式ベリーロール(大変テクニカルなスタイル)
https://blog.goo.ne.jp/sketchmoneybox/e/a99ff7fb4990bb8cf5110f67d9517835
ではなく、もっとナチュラルなスタイル。膝は曲げたまま跳び上がる。
おそらくこの2つのスタイルは、バネの出し方が違うのだ。
昔、自分でも両方試してみたから、それははっきり言えると思う。
私の好きな杉岡邦由選手もこのスタイルだった(細部はともかくとして)。
初めてやってみる人は、こちらの方が自然だろう。