【内容抜粋メモ】
多くの人権侵害が報告されている「技能実習制度」を拡大するかたちで
新たに「特定技能」という「入管法」改正が4月から動き出す
根底にある問題について高谷幸さん(大阪大学准教授)に聞いた
●2017年 失踪した実習生は7000人
労基法違反70%、最賃以下67%、174人が死亡
農業、漁業、建設業などの人手不足を補うため
ベトナム、中国などから受け入れてきた実習生
全国の労働基準監督機関が5966件の監督指導を行った結果
低賃金、虐待などで逃亡した例は7000人以上
●失踪経験のある実習生2870人へのヒアリング調査
67%は時給300円で働き、10%は過労死ラインを超える残業をしていた
174人の死亡者のうち、118人は20代
25人は溺死、12人は自殺など、不審死、過労死が疑われるケースが多い
●私たちはなぜ問題を見過ごしてきたのか?
高谷さん:
問題の根底に、外国人を「労働力」としてしか見ない社会がある
「技能実習制度」の構造的な問題
生活面を制限し、「人間にならない制度」にしている
●「技能実習制度」の歴史
1980年代後半 すでに人手不足で悩む日本は
外国人労働者の受け入れ議論が始まっていた
高谷さん:
ヨーロッパの経験が参照された
ドイツなどでは、外国人労働者は
「労働力である前に一人の人間であり、社会のサポートが必要」
日本の議論は
「外国人労働者の定住は社会的コストにつながる」
「とにかく外国人はイヤだ」
「外国人の単純労働者は認めない」という姿勢を堅持した
●社会から「見えない存在」に
1990「入管法」を改正
1960年代後半の「研修制度」の枠組みで「研修」を設けた
この修了者が、継続して従事できるよう1993年に設けたのが「技能実習制度」
結果、生活サポート等が整わないまま制度が始まり
実習生の多くは地域社会とのつながりがないまま、職場に長時間拘束され
「見えない存在」になっていった
●ブラック企業が利用
実習生の多くは、来日の際に多額の不当な借金・契約を負わされ
職場移動の自由も保障されていない
訴えれば、企業や監理団体に「強制帰国」させられる
実習生は恋愛、妊娠も禁止され、妊娠したら帰国を迫られるケースが後を絶たない
2018年末に成立した改正入管法は、新たな在留資格「特定技能」が創設された
(上図参照
●高谷さんの3つの評価
1.「外国人労働者を受け入れる」と正面から表明したこと
2.転職の自由を認めたこと
3.「特定技能2号」で家族帯同を認め、定住につながる道を開いたこと
しかし、職種は非常に限定された
●「技能実習制度」を廃止し、「特定技能1号」の家族帯同も認めるべき
「外国人住民基本法」「差別禁止法」を制定し、
外国人労働者が「人間」として暮らせる社会の創設が必要
●私たちはすでに一緒に生きている
高谷さん:
ヨーロッパの移民受け入れは失敗と言われることがあるが
移民が社会を支えていることは事実
日本もこの30年間受け入れてきた例がある
岡山県・総社市は、在日ブラジル人を市役所相談窓口に雇い
多くの外国人コミュニティが生まれた
「西日本大豪雨」の際は、外国人コミュニティがボランティアで活躍するなど
私たちはすでに一緒に生きている
著 土田朋水
高谷さん著書『追放と抵抗のポリティクス 戦後日本の境界と非正規移民』
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