人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

神戸の一つ灯

2018-01-18 17:10:35 | 雑記
私は生まれも育ちも東京なのですが、第二の故郷のように思っているのが神戸なのです。
昭和56年からの二十数年間の関西生活でも、神戸で受けたものが一際印象に残っています。
そして23年前の震災の折でも、連日のテレビの報道に接して、そっちに意識が向かない日など無かったのです。
数週間後、阪急電車が部分的に開通したので、乗り換えバス(不謹慎な言い方ですが、遠足みたいで楽しかったです)などを交えながら三ノ宮駅に行きました。
テレビの画面を通してでなく、じかにその鉄骨が剥き出しになり、コンクリ壁が崩れ落ちたビルの倒壊した様を目の当たりにし、息を飲むしかありませんでした。
今でもビルの解体現場を見るたびにその光景を思い出します。
そこから「きっと、もっとスゴいことになっているんだろう...何だか見たくないな...」という気持ちを押さえながら、さらに西の元町を目指しました。
おそらくは私が知りうる中で、もっとも好きな商店街と言ってもいい元町商店街...して、そこで目にしたのはi
「あれえ? 高架がちゃんと残っているゾi もう再開してる店も沢山あるi ...夢を見ているんだろうか...」
それは奇跡を見ているようでした。あの三ノ宮のすぐ隣なのに...これがテレビでは惨状ばかりしか映さない、神戸の一つの裏側だったのです。
無論所々震災の爪痕も散見しますが、あの店もこの店もそのまま"ここに現存していた"ではありませんかi
(こっから先は十年以上ご無沙汰の現在の憶測に満ちた視点も混じります)
東側の商店街入り口近くの名前を忘れたが、良書ばかり揃えている古書店(今は無くなったようです)。
北側の路地の二階にあったレコード屋さん「リズムキングス」(数年前に閉店したらしい)。私の主流の音楽ラテン、タンゴなどを豊富に揃えている得難い店で、私も大部世話になりました。
一般的なイメージでは"ウマイ店が豊富なのは食い道楽の大阪"となるようですが、私の実体験ではホントに当たり外れが少ないのは、なんと言っても神戸ですi 私には「こりゃ、外れたあ」という記憶が無いくらいです。ことにコーヒー好きの私にはウマく、アンティークな店構えの「はた」「にしむら」といった喫茶店は堪りませんi 「モーツァルトに会える店」とかいうクラシック喫茶はどうなっているのだろ?
商店街の南側の路地には南京街があります。横浜中華街よりずっとこじんまりしているが、ウジャウジャ人でごった返すこともないので、ウンとくつろげます。
とにかくこの空間は、その混み具合といい、垢抜け具合、庶民性具合、異国情緒(もろ中国的一角はあるが、全体はアジア的でもあり、ヨーロッパ、メリケン風でもあり、そのどれでもないような感じ?)具合等が程よいのです。
この界隈で忘れてなら無いのは、北側に世界の様々な宗教関連の建物が隣接していることです。
生田神社に、本願寺、カソリック寺院、プロテスタント、東方ハリストス教会、モスク、シナゴーク(ユダヤ教会)、ジャイナ教、シーク教寺院(共にインド発祥)、関帝廟(道教)...私はそのすべてを巡った訳では無いのですが、まるで世界宗教の縮図のような空間で、こんなところは他所では見られません。
こんなにイロんな宗教がひしめいているようで、宗教間のトラブル等聞いたことありません。ああ...パレスチナがこんな有り様だったら...

上記した日からも少し後で阪急六甲周辺に行きました。この北方に「保久良神社」があり、そこに「灘の一つ灯」の伝承が残っています。
昔、日本武尊が航海中進路を迷った際、この灯りを便りに大阪湾にたどり着くことが出来たとか...
参道に石灯篭等が所々崩れ落ちているのを目にしながら、参拝を済まして商店街に行くと、街全体から復興へ向けてのエネルギーみたいなものが伝わってきました。
そこには人間の力を越えたものが後押ししているのが感じられましたが、あの脅威的な復興の速さ(向こう一年くらいは、神戸までの鉄道の道は絶たれたと思ったものです)は、私にはそれを抜きにして考えられませんでした。
そして、それは協同的、助け合いの精神によって表されているようでした。
そこには表層的なものとして片付けることの出来ない、我々の内にある共同的つながりというものを呼び覚まさずにおれないものがありました。
7年前の東日本の震災の時にも、"きずな"、"つながり"といった言葉が交わされていましたが、それはこの神戸から受け継がれたものと言えるでしょう。
それは又、"神の戸"を開くべく、古来より受け継がれて来た"一つ灯"に違いないでしょう。


コメント (6)
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