ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

学部レベルでの社会福祉専門職養成教育における達成課題について(4)

2008年11月12日 | 論説等の原稿(既発表)
4.専門教育の課題
 一方、専門教育の充実も不可欠である。ここでは、基本となる専門職養成のジェネラリスト教育の確立と多様な領域で高い専門性を有したスペシャリスト教育への拡大の二方向が基本となる。社会福祉士養成はジェネラリスト教育であるが、この教育については新「社会福祉士養成課程」により、一定実践能力のある人材づくりに着手した。ただ、国際的に比較して実習教育は不十分であり、未だ実習教育の量的充実は残された課題である。
 
 他方、国際ソーシャルワーカー協会(IFSW)と国際ソーシャルワーク教育連盟(IASSW)が合同で、2004年にGlobal Standards for the Education and Training of the Social Work Professionを作成し、ソーシャルワーカー養成でのグローバルスタンダードを作成した。今回の新カリキュラムなりそのシラバスでは、この基準を当然満たすべきである。具体的には、①大学の目的なり使命の明示、②課程の目的とその成果、③実習を含む課程のカリキュラム、④コアカリキュラム(ソーシャルワークの分野、ソーシャルワーカーの分野、ソーシャルワークの方法、ソーシャルワークの枠組)、⑤ソーシャルワーク教職員、⑥ソーシャルワーク学生、⑦機構、管理、統制および資源、⑧文化的・人種的多様性、⑨ソーシャルワークの価値と倫理的行動綱領について、基準を遵守した教育をしていくことになる。

 さらにソーシャルワーク領域でも国際化が進む中で、国家資格がある日本、韓国、さらには中国との間においても、国家資格の互換性がなされていない。さらには、認証制度であるアメリカやイギリスの認証ソーシャルワーカーとの互換性は当然無く、国際化に中でこれらの互換性を作り出していくためには、一定の共通した科目履修や実習を整え、国際的な資格制度を指向していかなければならない。

 一方、スぺシャリスト教育の必要性が社会的に生じてきている。専門性の高い社会福祉士等が求められる情況が司法、学校、医療・保健、施設領域で生じている。特に、司法領域では出所者の社会復帰、学校領域では生徒やその家族に対する支援で、社会福祉士に対する期待が高まりつつある。それに応える教育としてのスペシャリスト教育が求められている。例えば、他領域では、スクール・カウンセラーが大学院卒の専門性が強調される中で、そうした専門性とごして仕事をしていくことが迫られている。「ソーシャルワーカーの基本は教えたから、後は就職先で教えてもらいなさい」では通用しない状況が起こっている。

 そのため、大学教育においても、単にジェネラリスト教育では社会的に通用しない時代を迎えている。そのため、可能な限り学生が卒業して就職する職場で適応するだけでなく、その領域での一定の知識と技術を備えた人材を輩出していくことが求められているといえる。



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