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独楽吟

2023年04月16日 11時35分10秒 | 写経の会

                                                                                                                                          令和5年4月15日

      独楽吟 於般若心経写経後の懇談会      写経の会

釈尊は4つの真理「四諦 苦集滅道」を説かれたが、橘曙覧の独楽吟はこの世は苦であるとした 苦諦を否定しているのだろうか?それとも八正道(道諦)を歌い上げているのだろうか?  

  独楽吟(どくらくぎん)『橘曙覧遺稿志濃夫廼舎しのぶのや歌集』より52首              たのしみは艸(くさ)のいほりの莚(むしろ)敷きひとりこころを静めをるとき       

たのしみはすびつのもとにうち倒れゆすり起(お)こすも知らで寝し時

たのしみは珍(めづら)しき書(ふみ)人にかり始め一(ひと)ひらひろげたる時

たのしみは紙(かみ)をひろげてとる筆の思ひの外(ほか)に能くかけし時

たのしみは百日(ももか)ひねれど成(な)らぬ歌のふとおもしろく出できぬる時

たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭(かしら)ならべて物をくふ時

たのしみは物をかかせて善(よ)き価(あたひ)惜(を)しみげもなく人のくれし時

たのしみは空暖(そらあたた)かにうち晴れし春秋(はるあき)の日に出(い)でありく時

たのしみは朝おきいでて昨日(きのふ)まで無かりし花の咲ける見る時

たのしみは心にうかぶはかなごと思ひつづけて煙艸(たばこ)すふとき

たのしみは意(こころ)にかなふ山水(やまみづ)のあたりしづかに見てありくとき

たのしみは尋常(よのつね)ならぬ書(ふみ)に画(ゑ)にうちひろげつつ見もてゆく時

たのしみは常(つね)に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に鳴きしとき

たのしみはあき米櫃に米いでき今一月(ひとつき)はよしといふとき

たのしみは物識人(ものしりびと)に稀にあひて古(いに)しへ今を語りあふとき

たのしみは門売(かどう)りありく魚買ひて烹(に)る鐺(なべ)の香を鼻に嗅(か)ぐ時

たのしみはまれに魚烹(に)て児(こ)等(ら)皆がうましうましといひて食(く)ふ時

たのしみはそぞろ読みゆく書(ふみ)の中(うち)に我とひとしき人をみし時

たのしみは雪ふるよさり酒の糟(かす)あぶりて食(く)ひて火(ひ)にあたる時

たのしみは書(ふみ)よみ倦(う)めるをりしもあれ声(こゑ)知る人の門(かど)たたく時

たのしみは世に解(と)きがたくする書(ふみ)の心(こころ)をひとりさとり得(え)し時

たのしみは銭(ぜに)なくなりてわびをるに人の来たりて銭くれし時

たのしみは炭(すみ)さしすてておきし火の紅(あか)くなりきて湯の煮(に)ゆる時

たのしみは心(こころ)をおかぬ友(とも)どちと笑ひかたりて腹(はら)をよるとき

たのしみは昼寝せしまに庭ぬらしふりたる雨をさめてしる時

たのしみは昼寝目(め)ざむる枕べにことことと湯の煮えてある時

たのしみは湯わかしわかし埋み火(び)を中(うち)にさし置きて人とかたる時

たのしみはとぼしきままに人集め酒飲め物を食へといふ時

たのしみは客人(まらうど)えたる折しもあれ瓢(ひさご)に酒のありあへる時

たのしみは家内(やうち)五人(いつたり)五(いつ)たりが風だにひかでありあへる時

たのしみは機(はた)おりたてて新しきころもを縫ひて妻(め)が着する時

たのしみは三人(みたり)の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時

たのしみは人も訪(と)ひこず事もなく心をいれて書(ふみ)を見る時

たのしみは明日物(もの)くるといふ占(うら)を咲くともし火の花にみる時

たのしみはたのむをよびて門(かど)あけて物もて来(き)つる使(つか)ひえし時

たのしみは木(き)の芽瀹(に)やして大きなる饅頭を一つほほばりしとき

たのしみはつねに好める焼豆腐うまく烹(に)たてて食はせけるとき

たのしみは小豆(あづき)の飯(いひ)の冷えたるを茶漬けてふ物になしてくふ時

たのしみはいやなる人の来(き)たりしが長くもをらでかへりけるとき

たのしみは田づらに行きしわらは等(ら)が耒(すき)鍬(くは)とりて帰りくる時

たのしみは衾(ふすま)かづきて物がたりいひをるうちに寝入りたるとき

たのしみはわらは墨するかたはらに筆の運(はこ)びを思ひをる時

たのしみは好き筆をえて先づ水にひたしねぶりて試みるとき

たのしみは庭にうゑたる春秋(はるあき)の花のさかりにあへる時(とき)時(どき)

たのしみはほしかりし物銭(ぜに)ぶくろうちかたぶけてかひえたるとき

たのしみは神の御国(みくに)の民として神の教(をし)へをふかくおもふとき

たのしみは戎夷(えみし)よろこぶ世の中に皇国(みくに)忘れぬ人を見るとき

たのしみは鈴屋大人(うし)の後(のち)に生まれその御(み)諭(さと)しをうくる思ふ時

たのしみは数ある書(ふみ)を辛(から)くしてうつし竟(を)へつつとぢて見るとき

たのしみは野寺(のでら)山里(やまざと)日をくらしやどれといはれやどりけるとき

たのしみは野山のさとに人遇(あ)ひて我(われ)を見しりてあるじするとき

たのしみはふと見てほしくおもふ物辛(から)くはかりて手にいれしとき

(楽しみはお経をあげて父母と幼き頃を語り合うとき)

                    橘 曙覧(たちばな あけみ、1812~1868)

 

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