親和会

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公開講座「デフレの真犯人」  

2013年07月26日 05時59分41秒 | サロン関連資料

公開講座「デフレの真犯人」       講師 北野 一氏

平成25126日  於畑自治会館   JPモルガン証券 チーフストラテジスト
当日参加された方から、要旨や所感が寄せられましたのでご参考までお知らせ致します

 

Aさんから

我が国の政治の弱さへの清冽な怒りをもっておられ我が意を得たりの場面が多々あった。

講師のお話の中で下記のような下りがありましたがその点につき一言感想を申し上げたい。

「ここ20年ものデフレの長期化の原因としてはつまるところ人口減少が大きいと言っている人が本に書いたりしているがそんなことはない。人口が多少減少してもとるべき政策手段はいくらでもある。
またデフレの責任が政府・日銀だけにあるのでもない。意外に企業部門に責任が大きいことに警鐘を鳴らしたい。アメリカ流市場原理主義をよしとする竹中平蔵氏等学者、小泉氏ら政治家、また多くの企業経営者らがそれを是として来たトガは大きいのでは。

株主からのROE向上つまり株主資本に対する利益極大化要求は恒常的に強まり、経営者はそれにこたえることに精力を使い、それでよしとしている。
企業は多くの経営資源、利害関係者に支えられて経営成果、すなわち売上高、利益を
実現するわけだが、株主に過大な成果配分をしてしまうと残りの配分は減るのは自明。
すなわち従業員への配分の制約は賃金の伸び悩み、カット、正規社員の非正規化等労働分配率の低下による消費低迷への誘因。また仕入先への値引き要求等での価格の低下圧力等デフレを招く要因となっている。
株主利益の極大化は社会的コストとなり、隠れた金利と同じで外部負債への金利支払い
とともに大きな金融引き締め効果のようになっている。これではデフレが長引くのは当然ではないか。
安部政権になって安部氏が金融緩和の継続、財政出動、成長戦略等言った途端、偶々円安、株高に触れてきたが、何も彼が言ったからそうなったのではなく、すでに米国、ヨーロッパがさまざまな政策を経て底を打ち始めたのに次いで我が国もそうなり始めただけで、安部さんでなくてもそうなっていただろう。ましてやエール大学の名誉教授の浜田氏が金融緩和を提言したことを市場が評価してくれてまことにうれしい趣旨の発言をしているがまことに嘆かわしいことだ。学者や政治家がうれしいというのは最後にいうべき。
国民が政治や学説で、もし幸せになったとすれば、それら国民庶民の喜んでいる姿を
見届けてから、しみじみ嬉しいというのが矜持というもの。政府はまだ何もやっていないわけだから期待を実現させる具体的政策実行が急務である。

現在はこうした本来指導者たる者の体たらくで日本は将来不安どころか絶望的であるとさえ言える。政治、行政は政策を立案、国民の理解、空気の醸成、実施、効果の検証等
大変時間がかかるもの。特に経済政策は薬の臨床実験等と違い、失敗、試行錯誤は許されないことを知るべきだ。物価目標2%と言っても実際に国民所得が先にあって行かないと国の借金だけが残り後は野となれ山となれでは困るのだ。
我々国民も今後の日本と言う国家の将来像を模索し、そのための金融、財政、年金医療等社会保障、教育等のあり様にしっかり関心を持った行動様式が問われるだろう。」

講師のROE問題提起について 私の所見。
1.長引くデフレの原因として大きいのはここ2,30年の特にアメリカ発の経済のグロ    

 ーバル化ではないか。特にモノの価格が輸入やカネの流れを通じて否応なしに上方硬直性が続いてきた。ROEがデフレの要因として大きいというご指摘ながら利益を上げて実際に吸い取られるのは配当金と役員報酬で、残りは内部留保となっても投資か資産の対価になって外部に循環する。キャッシュでタンス預金でもしない限り大きなデフレ要因とは言えないのではないか。

2.国内の新規産業分野の育成も医療、農業等にしても行政や法律による規制が強す
ぎる。これの緩和が重要である。

3.個人金融資産14,5百兆と言われるがこれが循環しないのも将来の国家像への
不安がある。こういう国柄になっているのは国民にも責任は大きい。しっかり政治や経済動向に関心と監視を要する。

Bさんからの所感

当方、予てから、最近の雇用情勢で正規採用が少なくなり派遣社員が増えるとともに、報酬の額が少なくなっていくのは、マクロ的に見た場合に、報酬のグローバル化で世界的に同一賃金に向かって収斂している現象であって如何ともし難い現象ではないかと思っていましたが、講師から報酬のグローバル化の言葉が出ていましたので納得した次第です。

今回の肝心の「デフレの正体」につきましても、お金のリターンは(講師は「リターン」という言葉を使っておられましたが、「実質金利」と置き換えた方が判り易いようです。)名目金利から物価の変動率を差し引いたものになるが、これまたグローバル化により世界各国同一リターンが要求されるようになってきているとのことであり、米のリターンは名目金利が2%でインフレ率が1.7%であるので求められるリターンは0.3%であるが、日本の場合は金利が0%であって同じ0.3%のリターンを得るためにはインフレ率を

-0.3%にしなければならず、これが「デフレの正体」であると説明されました。確かに、現在のインフレ率は-0.3%程度であり、グローバル化の観点からの誠に明快な説明ではなかったかと思います。
企業の社会的貢献の状況は、売上高をステークホルダーごとの費用で示した区分図で示されます。「デフレの真犯人」については、「ステークホルダー」の区分図の中の、株主(純利益)及び従業員の費用を取り上げて、企業は、高い配当を求める株主のことと内部留保をいかに残すかということばかり考えているが、これこそが「デフレの真犯人」であって、もっと従業員の方へお金を回すことを考えなければならないと説明されました。要するに、ROE(株主資本利益率)追及型の経営から脱却して売上げ増大型の経営に姿勢を切り替えるとともに、従業員の方へもっとお金を回し、国内需要の75%を占めるという民間需要を活性化させることを考えなければならないとのことでありました。

 

今週に入って、安部政権が本格的に動きだし、平成25年度の国家予算の検討が始まりました。麻生副総理兼財務相と甘利経済・財政大臣のここ2、3日の発言を聞いていましても、盛んに、「企業は内部留保を高めることばかり考えずに、もっと従業員の報酬の方へお金を回すことを考えるべきだ。」と発言しておられます。春闘も始まっていますが、この発言内容は連合の古賀会長が発言しておられることと全く同じものです。どうやら日本も少しは変わって行くのかもしれません。

                                 以  上

 

 

コメント
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