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仏教美術展に行って来ました

2017年09月16日 11時46分59秒 | 写経の会

写経の会で仏教美術展に行って来ました
平成29年7月20日 於出光美術館

「祈りのかたち―仏教美術入門―展」
1.仏像・経典・仏具 ―かたちと技法
2.神秘なる修法の世界―密教の美術
  不動明王図 力ずくでも仏教に目覚めさせようとする忿怒の形相
3.多様なる祈り   ―弥勒・普賢信仰の美術
4.極楽往生の希求  ―浄土教の美術
  当麻曼荼羅図 穏やかでいつくしみ深い慈悲の相の阿弥陀三尊像。
         生前の行いにより9通りに区分されるが、蓮池の新生菩薩
         として極楽に生れ変わり祝福された生活を送る
5.峻厳なる悟りへの道―禅宗の美術 仙厓の禅画
                         以上

                                          出光美術館の仏教美術展                                                       尾山美知子

  テーマは「祈りのかたち」で日本仏教史による美術品展であった。

 仏教美術の展示は宗派によるものが普通なので宗派がきめられていないのはめずらしい。初期館長の出光佐三氏のコレクションによるものだから仏教への想いがあってのものなのだろう。

 以前この美術館で禅画の展示をみたことがあった。色紙に、まる、さんかく、しかくが描かれた墨絵だった。それの意味するものが理解できなかったが、不思議な魅力を感じたものだった。

 展示は仏教が日本に入ってから。ガンダーラ出土のものらしい仏頭がある。アフガニスタン出土という供養礼拝者像はインドからもたらされたものだろう。日本では貴重なものではなかろうか。

 仏教の初期の思想が説明されている。二千五百年前インドのシャカ族の王子ガウタマ・シッダールタ(釈迦)は修行の末悟りをひらかれた。そして仏陀として真の生き方を見出されたのである。「四苦八苦の苦しみを受けなければならない人間の生き方に対する疑問がある」、「この世のすべては常に変遷を繰り返し、実体のない仮の存在である」、「無明があり、対象に向けられた執着が苦の根元である」とある。

 仏陀の教えはシルクロードを経て中国へそして朝鮮から日本へは六世紀頃に伝えられた。

 中国の仏像

 金銅仏座像は中国北魏時代のもの  

金銅仏立像は朝鮮新羅時代のもの

 金銅観音菩薩像は中国宋時代のもの 

 中国の昔の時代の仏像は信仰の対象だったのだ。

日本の白鳳時代の金銅聖観音菩薩像は美しい。古代の人々の祈りをあつめたのだろう。

 聖徳太子経講讃図は仏教を信奉し三宝をあつく敬った聖徳太子を神秘化した太子伝の決定版、蘇我馬子と百済(くだら)の学啊(かくか)が描かれている。

 平安時代の密教系では愛染明王図がある。両界曼荼羅図は密教の世界観を表す。普賢菩薩騎象図は美しい。

 浄土経の時代に入ると人々は極楽往生を希求する。当麻曼荼羅図は阿弥陀如来の極楽浄土をあらわした曼荼羅。これは平安時代の中将姫の伝説の当麻寺所蔵のものの縮小版。

 浄土宗派の美術品は多いようだ。十王地獄図・阿弥陀聖衆來迎図がある。

 鎌倉時代に新仏教が流行する。座禅修行によって真理を体得することを目指した禅宗が伝わった。臨済宗と曹洞宗である。

 当コレクションには禅画墨跡等の美術が多いのだ。達磨図・拙宗等揚教外別傅・不立文字・沢庵宗彭禅は心を安定統一させることによって瞑想する心の状態である。

室町時代の一休宗純は禅の教えを広めた。一休宗純像・七仏通戒偈・諸悪莫作衆善奉行・仙厓名品選・仙厓義梵の禅画がある。

 出光コレクションの作品は一千点もあるという。○△□の禅画は禅を志す者の悟りに至る段階を三つの図形で表現したといわれる。禅の悟りの境地を図示しつつ悟道体験に安住することを戒めたという。

 帝劇ビル九階の出光美術館の大きな窓から緑の濃い皇居が見渡せる。ソファに座りサービスのお茶をいただく。日本仏教美術の歴史を知りながら人々の信仰の熱意にふれた満足の日をすごしたのだった。