子どもたちが植えた苗木が折られ、それを受け止める大人の、命に対する思いと懐の深さを、『おゆみ野四季の道』というブログでの記事と、コメントのやりとりから感じていました。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/201222.html
何度でも何度でも植えましょう。命を傷つける者たちに命の大切さをわからせるために・・・
というメッセージに接し、『命のダンス』の話を思い出しました。
ある小学校の放課後子ども教室で開催された「みんなの命は宝物!」というテーマで、助産師の川島広江さんが子どもたちに語りかけたお話です。
テーマは性教育です。
性教育というと寝た子を起こすような余計な話を子どもたちにするケシカラン教育だと、過剰反応するグループもあります。
そんな彼らは性教育を「性行為と避妊のノウハウを教える教育」に矮小化しているに他ならず、本来ここで教えるべきことを誤解しています。
性教育とは、
「命の起源を話すことによって命の大切さを伝え、子どもたちに自分自身がかけがえのない存在なのだ、と気づかせること」
が目的だと私は思うのです。
自分自身を大切に思わなければ、他者の命を大切にすることなどできません。
さて、精子と卵子とが結びついた時、その細胞はクルクルっと廻るのだそうです。
必ずどんな命でも、結合したその瞬間にクルクルっと廻る。
それは、まるで命の誕生の喜びを全身で表しているようだと。
この「クルクルッ」を『命のダンス』と呼ぶのだそうです。
『命のダンス』ステキな言葉だと思いました。
全ての生命が、生を受けたことを喜んで踊る・・・。
この時の子ども教室は、低学年から高学年までさまざまな学年の子どもたちがいましたが、みんな川島さんのお話に真剣に聞き入っていました。
赤ちゃんは、この世に生まれ出るその時を、自ら決めるのだと。
そして命がけで生まれてくると。
「あなたたちも、全員が自分で決めてこの世に生まれてきた勇気のある赤ちゃんだったのよ・・・」
との話に、子どもたちが息を呑む、そんな空気を感じました。
自分が生まれてきた時の話を聞くことを子どもは喜びます。親がどんなに期待していたか、どんなに喜んだか、そのことを知ることによって自らの尊厳を実感していきます。
ただ、悲しいことに親からそんな話はついぞ聞かされることのない子どもたちもいるのです。
それどころか、育てることさえ放棄している親もいる。
そういった親を責めたこところで、問題は何一つ解決しません。
この放課後子ども教室で行われたように、地域の大人たちが、子どもたちに命の誕生の喜びを伝えていくという着実な取り組みこそが必要なのだと感じます。
話をおゆみ野の森に戻します。
苗木は抜かれましたが、子どもたちが一生懸命作ったツリーは無事でした。
この森では、毎日のように新たな命が誕生しています。
喜びのダンスを子どもたちに伝えるための取り組みが、この森を守る人たちによっても続けられているのです。