福谷章子のまちづくり

さまざまな役割を持ちながら暮らす中で、日々出会い触れ合う人々、街、文化、自然、出来事についてつづります。

ゾクッとする展覧会 願いの赤い糸でお腹を満たす

2017年12月05日 | アート・文化


千葉市美術館11階からの眺めです。
11階には、レストランかぼちゃわいんがあり、いつも展覧会にちなんだオリジナルメニューが用意されているので、ここでのランチとセットで展覧会を楽しむことにしています。

今日は暖かく、お昼前後に2時間ほど時間が出来たのでフラリと行ってみました。

お昼時だったため、展覧会に先んじてまずはランチです。
オリジナルメニューは、≪願いの糸≫ペペロンチーノ、鶏肉の「悪魔風」を添えて。
糸唐辛子を載せたパスタとミントを載せたバニラアイス。
カボチャのポタージュもついています。
   

現在千葉市美術館で開催している展覧会は、「没後70年 北野恒富展」です。
その中の、願いの糸 という作品にちなんだメニューです。

七夕の夜にはたらいに梶の葉を浮かべ、星明かりを頼りに針に糸を通して願いを叶えようとしている美女の姿です。

糸唐辛子を赤い糸に、ミントを梶の葉に見立て、ピリ辛の鶏肉が添えられています。
ピリ辛は悪魔の味。
北野恒富は、その画風から「画壇の悪魔派」と言われたのだそうです。

そんな予備知識を食事ととみにお腹にため込んで鑑賞しましたが、印象に残ったのは願いの糸よりも、淀君とちゃちゃの2枚です。
どちらも、ゾクッとします。

束の間の豊かな時間を過ごしました。


親子三代夏祭りにて 祭りと役割について思う

2017年08月20日 | アート・文化


今日は千葉市の親子三代夏祭りに午後から約束もなくふらりと一人で行ってみました。

実は、どんなお祭りにしても、用事もなく目的もなく誘われもしないのに行くことは滅多になく、これまで参加したお祭りは、必ず何か役割があり義務的な理由があって参加していました。
たとえば今回の親子三代夏祭りであれば、10年以上前は地域婦人団体に属してバザーのテントを出したり、ある年は夜の踊りながらの練り歩きに参加するため、ある年は子どもたちとともに活動の宣伝をするために出店したり、ある年は開会式への出席など、「ねばならぬ」参加でしたがそれなりに楽しい経験でした。

考えてみたら、自由にお祭りを楽しむ習慣が私にはないことに気づきました。
そもそも身動き取れない雑踏が苦手で、立ったまま飲んだり食べたりするのが下手で、あっちからこっちから聞こえてくる音が落ち着かないのです。

というか、そもそもお祭りというものは無目的に行くものなんだろうか?
ここで楽しもう、遊ぼう、という積極的な思い無くしてはワクワク感は湧いてこないことに気づきました。
同時に、祭そのものも何かしら目的があるから続いているものなんだろう、と思います。

ちょうど到着した時間は中央公園のステージで、蓮池のおかみさんたちが中心となって、三味線の演奏をしていました。
以前、蓮池のお店で三味線を聞いたことがあります。
路地にそんな音色が流れるしっとりした街っていいだろうな・・と思いました。

大きな道路はブロックに分けて、さまざまな団体がパフォーマンスを披露し、人々が円陣を作って楽しんでいます。
こういった表現の場として、そして観衆とのコミュニケーションの場としても祭りが活かされています。
   

お神輿も練り歩いていました。
そうだ。神事としての祭りは古来からあり、だからこそ人々は大切に守ってきたはずです。

周辺の公共施設でも、さまざまなサービスを提供していました。
私は、千葉市美術館まで足を延ばしましたが、そこでは、鞘堂ホールで縁日気分と題して様々なワークショップが行われ、美術館の企画展と連動していました。
きぼーるでも、加曽利貝塚のイベントが行われていたそうです。
行政としても、日頃縁遠い市民にも、取り組みを知って楽しんでもらえるようなものになっています。

こんな風に千葉市親子三代夏祭りにはさまざまな目的が詰め込まれています。
身近な地域の祭りはどうだろう?
どんな生い立ちで何を大切にしてるものなのかということを考え、その思いを地域で共有すると何らかの役割を担いたいという人たちも増えてくるかもしれない、などと思いながら歩いていました。

途中、知り合いにばったり会い、お互い近況を報告し合うと何だか急にテンションが上がりました。
祭りは出会いの場でもあり、普段なかなか会えない人同士が近況を確かめ合うコミュニケーションの役割も果たしていると感じました。

流れ歩いてたどり着いた千葉市美術館の企画展は、「URAGAWA うらがわ」というテーマです。


この世の「うら」を覗いてみようと、妖怪の世界や、人の気持ち、物の内側などを表現する作品が並んでいます。
草間彌生、宮島達男、須田悦弘、小川信二など現代から、歌川国芳など江戸時代の作品までが楽しめます。
夏という季節感と祭りの高揚感とがしっくり合っているような気がして、楽しい時間となりました。


私が好きな須田悦弘さんの作品は2点あり、一つの芙蓉は説明者付きのわかりやすい展示となっていますが、あと1点は、ひっそり置かれています。
もしかしたら気づかずにやりすごしてしまうかもしれません。
探してみてくださいね。

ということで、祭りもその本質、言い換えれば「うらがわ」ともいえるかもしれませんが、そこについて今日は少々考える機会となりました。
それにしても、親子三代夏祭りのような大きな盛りだくさんのお祭りを、担ってくださる方々のご苦労に思いをいたし、また機会があったらお手伝いしたいと思いながら帰途につきました。


千葉市の文化振興について思う

2017年08月19日 | アート・文化


これは、8月27日に市民会館で開催される千葉市民創作ミュージカル「夜空に咲く夢ー芋神様がくれたものー」のお知らせです。

ちょっと前になりますが、千葉市議会のインターネット中継を聞いていたら、たまたま文化行政が取り上げられていました。
文化施策としてどんな成果が挙がっているか?という問いに対して、大規模な音楽イベントが羅列されました。
その答弁に特に異論は出されずやり取りは流れていきましたが、私はそれを聞いていて物足りないと思いました。

文化施策の一つには、大勢の市民が足を運んで観客として楽しむイベントを打ち出すということももちろんあると思います。
余暇として楽しみの場を創造することは確かに有用です。
一方で、真に音楽等の芸術文化を好きになる市民を増やしていくことは、もっと大切な行政の役割ではないかと思うのです。

好きとか愛するとか心の内面に関することは行政が関与すべきことでないですが、好きになれる機会を創ることはとても重要なことだと考えます。

では、どうしたら好きになれるのか?
そこを考えていくのが政策作りの醍醐味です。

ただ来場者が多ければいいのか?
回数が多ければいいのか?
これまでの評価ではそういった定量的な面ばかりが重要視されてきました。

今、文化活動(ばかりではありませんが)の担い手がいないと右往左往している現状は、芸術文化に関して自らも創造的なスタンスで関わりたいという人たちが生み出されていないということではないかと感じています。

冒頭の千葉市の市民創作ミュージカルには、小学2年生から80歳まで60人の市民が参加し、11月から練習を始めてアマチュアながら素晴らしいステージになっていると聞きました。
今日開かれたアートタウンおゆみ野の企画会議の中で報告されたのです。

この60人のアーティストは、来年はどうするのでしょうか?
2年目の取り組みに参加して更に腕を磨いたり、ステージの構成に関心が向いたり、ほかの分野にも関わってみようと思ったりするかもしれない。
また、たとえ今年限りで終わってもアーティストとしての体験は、音楽や舞台芸術への関心を高めるに違いないと私は考えます。

これこそが、さまざまな形で文化芸術を好きになる人たちを増やしていくことではないかと思います。
そして、こういった取り組みが文化振興財団という大きな組織だけが担うのではなく、小さくいたるところで生まれているものを財団がフォローし、つなげていくことが、文化の下地を豊かに広げていくと信じています。

アートタウンおゆみ野でも昨年から「空とぶ合唱団」が誕生し、老若男女障害の有無にかかわらずゼロから練習してステージに立っています。
今年は観客でも、来年は演者としてステージに立つワクワク感を味わい、音楽が好きになり、音楽溢れる街にしていきたい。
そんなコンセプトを持っています。

文化を大切に育てていくとはどういうことか、その「方針」と「物や数としては残らないものへの投資」について、コンセンサスを問い直してみてはどうかと思います。


千葉市ビーチ文化論

2017年05月04日 | アート・文化


5月4日は『海トーク(珈琲党主催)』を拝聴するため検見川の浜に出かけ、タイムキーパーという大変重要なお手伝いをさせていただきながら、熊谷市長のビーチ文化論に触れました。
これが面白かったのです♪
 

海トークでは、二人の高校生がもしも自分が市長だったら、千葉市のビーチをこんな風にしたい!という思いを語り、それを受けて市長がコメント。
ギャラリーからも提案を聞くといういわゆる新たな対話会です。
それも、海を背景に砂浜で!という斬新さです。
2人の高校生の提案は、
「24時間楽しめるビーチに」と「スポーツが楽しめるビーチに」
  

それを受けて、市長が思いを語りました。、
・都市型ビーチが作れるのは千葉市だけ。
・ビーチは、緩やかでリッチな時間を過ごす場。
・砂浜の砂はランクがあり、公園用の普通の砂から白砂や鳴き砂へとグレードアップできる。
・西側に向いた千葉市のビーチはサンセットが楽しめる。
・稲毛、検見川、幕張それぞれにコンセプトをもち、砂浜文化の発信拠点を目指したい。
・それらの実現にはコストもかかるが、海辺のレストランなど民間資本の活用でその可能性は高まる。
 

SUPのお話しも聞けて、二重に得した海トークでした。

名古屋市科学館で童心にかえる

2016年12月27日 | アート・文化


これは竜巻ラボです。
巻きあがる風に載った風船が、ぴたりと天井に張り付き、下から次々渦巻き状に風船が回っていくという実験。
定期的に実演があり、大勢の子どもたちが取り巻いて歓声を上げています。

このほかに、冷凍ラボ。
マイナス30度を5分間体験できます。

放電ラボは人工的に稲妻を起こして見せるもの。

冷凍ラボと放電ラボは整理券があっという間になくなる人気です。

それ以上にこの期間人気があるのは、「チームラボ★アイランド 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」です。
これに触れたくて、名古屋市科学館に足を運びました。
 

直前にNHKで放映されたこともあってか、チケットを買うまでに長蛇の列です。
普通ならば行列嫌いにつき諦めるのですが、せっかく名古屋まで来ておめおめ帰るわけにはいかない。
チームラボ★アイランドの会場も、暗闇に黒山の人だかりです。
  

色塗りをした絵が壁面を動いたり、
  

積み木を置くだけで道路や川や鉄道が敷かれて町が出来たり、
 

降り注ぐ象形文字に触れると動物が出てきたり景色が変わったり、
 

床の上を飛び跳ねるステップによってさまざまな色や形が現れたり、
 

壁一面に映し出されさまざまに変化する画像をまったりと眺めたり、
  

スマホと連動させて変化するクリスタルな空間を通り抜けたり、
    

テーブルの上に手をかざすことで、そこに物語のような絵が描かれたり、
 

想像力を掻き立てられたり、思わず体が動いたりと楽しめます。

また、カップルも家族連れも多いことにびっくりです。
クリスマスというのも影響しているかもしれませんが、アミューズメントのような科学館もいいなあと思いました。

クリスマスが終わると、塗り絵の壁面は図柄が変わるそうです。
チームラボの特別展は2月12日まで。
お勧めの場所です。