創作小説屋

創作小説置き場。BL・R18あるのでご注意を。

小説/産み分けsex(12/12)

2011年07月10日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
 結局、薫は家を出た。店に寝泊まりしているらしい。でも、休みの度に遊びにきている。本人曰く「このくらいの距離がちょうどいい」のだそうだ。
「で、いつが予定日だって?」
 コーヒーをすする薫に問われ、母子手帳をめくってみせる。
「四月二十九日」
「ふーん。性別は?」
「まだ分からないわよ」
 自分にはカフェインレスのインスタントコーヒーを入れる。姑からのプレゼントだ。
「ねえ兄さん、今度が男の子だったとしたら、次は女の子が欲しいとか思ってる?」
「そうだなあ……」
 ソファで新聞を読みながら、薫の問いに肯く優吾さん。
「女の子もいいだろうなあ……」
「そしたらさ! オレ協力するよ!」
「協力?」
 私と優吾さんが声を揃えて問い返すと、薫はにやにやと言葉を続けた。
「女の子が欲しい場合、排卵日の2、3日前にSEXをすること。でもその前に、Y精子を減らすために数日前から何度か射精して精液を薄めておく必要があるんだよ」
 薫はすっと優吾さんの横に腰をおろし、あらぬところに手を伸ばした。
「だーかーらー精液を薄める協力! オレに任せてよ!」
「薫! だからそういう冗談は……」
 まるで猫のじゃれあいのようだ。呆れながら、でも、微笑ましくも思いながら二人の様子を眺める。
 ここに子供がいたらどんな感じなんだろう。まだ膨らむ兆しもないお腹に手を当ててみる。
「元気に産まれてきてくれよ」
 いつの間にか優吾さんが隣にきて、手を重ねてくれた。その上には薫の手が。
「三人分の幸せのぬくもりがこの子に伝わりますように」
 薫がニッコリと笑った。


<完>

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小説/産み分けsex(11/12)

2011年07月09日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
「……え」
 慌てて出ていくと、薫が小さなスプレーの缶を玩んでいた。優吾さんは眠っているようだ。睡眠薬なのだろうか?
「そういうの、どこで買うの?」
「そこ?」
 ブッと薫が噴き出した。
「これだけの状況を目の当たりにして、はじめにつっこむのがそこなの? ホント面白いよね。お義姉さんって」
 薫はクツクツと楽しげに笑っている。
「いつから私に気がついてたの?」
「兄さんが起き上がったとき。そっちから物音がしたからさ。ねえ、そんなことより気にならないの? オレと兄さんに体の関係があったかどうか、とか」
「………」
 想像ができ……なくもない。薫は中性的な顔立ちをしている。そういう趣味があったとしても違和感はあまりない。それに優吾さんは先ほどの薫の行動にさほど驚いた様子がなかった。過去にそういう事実があったとしても……。
「冗談だよ。ないから安心して」
 肩をすくめて薫が言う。
「一年くらい前に飲んだ勢いで誘ったことあったんだけどね。全然ダメだった。冗談ですまされちゃった。兄さんそっちの気、全然ないみたい」
「そ、そうなんだ……」
 自分の中のイケナイ想像を打ち消す。
薫がこちらに手を差し伸べた。
「オレは両方いけるよ。お義姉さんとだってできるよ。する?」
「しない」
 呆れて、その手を弾き飛ばす。
「自分で言ったじゃない。SEXは愛を確かめ合うためにするものだって。私とあなたの間に確かめ合う愛はないでしょ」
「だね」
 フッと笑って、薫が優吾さんを見下ろす。
「でも、それじゃ子供を作るためだけにするSEXってどうなの? それに産み分けを考えたSEXなんて邪道じゃない? 特に女の子希望のためのSEXなんてさ、あっさり淡白に結合も浅く、だって。それSEXっていえるのかな。ただの射精行為じゃないの?」
「それは……」
 優吾さんの寝顔。優吾さんの夢見る家族。私とだったら幸せな家庭が築けると言ってくれた。
「愛を確かめ合った二人になら許されるんじゃないかな。自分達の理想の家庭像を求めるのは悪いことじゃないと思う」
「お義姉さんってさ……」
 ふいに薫が立ちあがった。
「ムカつく。愛されてる自信たっぷりって感じで。さっきも母さんに似てるっていわれて嬉しいとか言っちゃって。本当はそんなこと思ってないでしょ? ねえ?」
 声を荒げる薫。初めてみた。
「ただ一人の人になりたいって思うのが人間の欲じゃないの? オレはなりたいよ。兄さんをオレだけのものにしたい。兄さんの大切な母さんもあんたもいなくなればいいっていつも思ってるよ。いなくなればいいって」
 綺麗な瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
「薫君……」
「でも、あんた達がいなくなったら兄さんが悲しむから。兄さんの大切な人達だから大切にしないといけないって分かってるから」
 もう一筋、涙が落ちる。
「だから……オレがいなくなるよ」
「え?」
それどういう……。
「死んだりはしないから安心して。オレが死んだら兄さんが悲しむって知ってるから」
 薫はそっと優吾さんの頬に唇をおろした。
「ばいばい。兄さん」
「待って。薫君!」
 去ろうとする薫の背中に言葉を投げる。
 ようやく気が付いた。私と薫は同じなんだ。愛に飢えた子供。でも、愛はここにある。
「そんな小さなものじゃないと思う。優吾さんの胸」
 薫が立ち止まる。
「私の両親、弟を溺愛していて私には関心がなかったの。でも人の愛の量なんてそんなものだと思ってた。だから優吾さんに会って、こんな人もいるんだって驚いたの」
病院で会う子供達への愛、母親への愛、薫への愛、たくさんの愛で溢れている人。私もその愛に包まれている。
「優吾さん、あなたのこと愛しているよ」
「でも……」
「薫君の居場所、ちゃんとあるよ。大丈夫だよ」
「だって……」
「薫」
 いつの間に、優吾さんが目覚めていた。逃げ出そうとした薫の腕を掴んでいる。
「ほんとに、馬鹿だなあ、お前」
「兄さん……」
 薫は小さな子供のようにしゃくりあげて泣きはじめた。大きな優吾さんの胸の中で。

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小説/産み分けsex(10/12)

2011年07月08日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
「お義姉さん? 自分の部屋かな?」
 薫はぐるりと見渡してから、
「……兄さん。よく寝てる」
 優吾さんの枕元に腰を下ろした。じっと寝顔を見つめている。
「兄さん……」
「!」
 驚きのあまり声が出そうになった。まるで恋人にでもするような愛おしさを込めて、薫は優吾さんの髪をなで、頬に手をすべりおろした。薫の綺麗な横顔が優吾さんに近づいていく。
「オレさ、兄さんに純粋に可愛がられてたと思ってたけど……違ったんだね?」
 唇が触れるのではないかというくらいの近さで薫がつぶやく。
「兄さんがオレの面倒をみてくれてたのは、母さんのためだったんだって? 母さんに愛人の子の世話をさせないために、率先して色々やってくれてたんだって?」
 薫の左手が優吾さんの首元におりていく。
「オレ、母親には捨てられたけど、兄さんがいてくれたから……兄さんがオレのすべてだったんだよ。兄さんのためなら何でもしようと思ってた。本当に、何でもだよ」
 右手も首元に……このままではまるで、首を絞める体勢になるではないか。
 どうしよう。出て行った方がいいのだろうか。でも、まさか本当に……。
「兄さん……」
 薫の腕の力が強まったように見える。
「!」
 ダメだ! 恥を忘れてクローゼットから出ようとしたその時。
「薫」
 優しい声が聞こえてきた。薫の腕をつかんだまま、上半身を起こす優吾さん。バツが悪そうに下をむく薫。
「なんだよ。いつから起きてたの?」
「お前が部屋に入ってきた時から」
 薫を横に座らせて、ゴツンとおでことおでこを合わせる。小さい子供のように。
「馬鹿だなあ。叔父さんに何か言われたのか? あの人の言うことを真に受けるなよ」
「だって……」
 拗ねたように上目遣いで兄を見る薫。優吾さんは愛おしそうにぐしゃぐしゃと薫の頭をなでた。
「俺は弟が出来て本当に嬉しかったよ。それに、母さんだって家の中ではお前の世話をさんざんしてるじゃないか」
「でも」
「母さんが人前でお前と接しなかったのは、お前を好奇の目に晒さないためだったんだよ。母さんが愛人の子にどう接するか、みんな見たがっていたからな。どう接したところで尾ひれ背びれつけられて噂されただろうけど」
「でも」
「母さんだってお前のこと大切なんだよ。お前の学校に俺が代わりに行って帰ってくると、詳細を延々と話させられたもんだよ」
「それじゃ……」
 俯いた薫がぽつんとつぶやいた。
「本当は兄さん、嫌々来てたの?」
「お前、馬鹿だなあ」
 優しく笑いながら、優吾さんが薫を抱き寄せる。
「俺はいつでもお前の味方だ。そう約束しただろ? なんだ、お前らしくない。叔父さんに言われたぐらいで落ち込んだりして。どうしたんだ?」
「うん……」
 額を優吾さんの肩にこすりつけたまま、薫が小さく言った。
「オレさ、兄さんが結婚してからずっと不安だった。オレの存在がどんどん小さくなっていくみたいで」
「そんなこと……」
「お義姉さんは強い人だね。母さんに似てるって言われて嬉しいって言ってたよ。オレ、この人には敵わないって思った」
 いきなり自分が話題に出てきて驚く。強い人? そうだろうか? 私は似ているといわれて安心しただけだ。優吾さんはお義母さんをこよなく愛している。そんな義母に似ているのなら、私も歳を重ねてもずっと愛してもらえるはずだから。
 薫が顔をあげて苦しげに言った。
「これで子供まで産まれたら、オレ本当に居場所なくなっちゃうな」
「なんでだ? 子供は二階に住むんだから関係ないだろう?」
 首を傾げた優吾さん。分かっていない。
「分かってないなあ。ここの居場所だよ」
 トントンと薫が優吾さんの胸をノックする。
「大丈夫大丈夫ってずっと自分に言い聞かせてたんだ。結婚しても大丈夫。子供ができても大丈夫。兄さんの中にオレの居場所はあるって。だから子供も早く出来たらいいと思ってたよ。でも、女の子だと兄さんがべた可愛がりしそうだから、男の子がいいなって」
「薫……」
「!!!」
 我が目を疑った。薫の左手が優吾さんの下半身に伸びていく。
「薫、だから、そういうことは……」
「オレ、兄さんが欲しい。心も体も全部」
 昨日の私のように、薫が優吾さんを押し倒す。
「SEXっていうのは子供を作るためにするものじゃないんだよ。子供が欲しいなら人工的にだってできるじゃないか。SEXっていうのは愛を確かめ合うための最終手段。自分を相手に刻みつけるためにするんだよ」
「薫、やめ……」
「大好きだよ、兄さん」
「かお……」
 言いかけた優吾さんの顔に、シューっと何かが吹きかけられた。上がりかかっていた頭が静かにベッドに沈み込む。
 そして、薫がこちらに顔を向けた。
「お義姉さん。出てきていいよ」
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小説/産み分けsex(9/12)

2011年07月07日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
 義父の弟、優吾さんにとって叔父さんにあたる人が訪ねてきた。結婚式の日に真っ赤な顔をして色々なことに文句をつけていた人なので良く覚えている。若くみえるが、もう還暦を過ぎているらしい。
「まだ子供はできないのか?」
 開口一番言われた。
「とにかく男の子を産みなさい。西条家の大事な跡取りになるんだからね」
 その後も何度もその話をされた。お義母さんが産み分けの本をプレゼントしてくれた理由は、この人なのかもしれない。
「しかし、あれだね。優吾。よく結婚を決意したな。お前はしないと思っていたよ」
「そうですか?」
 お酒が入りはじめたので、優吾さんも顔が赤くなっている。あまり強くないのだ。
「そうだよ。お前は相当のマザコンだからな。芙美子さんのためにずっと結婚しなかったんだろう?」
「叔父さん、それは」
 優吾さんが咎めると、
「ん? おや、そうか、分かったぞ!」
 急に叔父は私の顔を見てケタケタと笑いはじめた。
「君は芙美子さんによく似てるじゃないか! そうかそうか。ママと似た人だから結婚を決意できたんだな? そうだろ?」
「叔父さん、いい加減にしてください」
 優吾さんが渋い顔で言う。
 私とお義母さんが似てる? そんなこと思ったこともなかった。
「どうだい、君、マザコンの亭主を持った感想は? こいつは相当のマザコンでね、ママを大事に大事にしてきた挙句に、ママに似てる君を嫁にしちまったんだな! ははは」
「飲みすぎですよ」
 姑がおっとりと間に割って入った。
「ごめんなさいね。失礼よねえ」
「いえ」
 慌てて否定する。お義母さんと私が似てるなんて……。
「あの、嬉しいです」
「またあー無理しちゃってー」
 ははは、と笑う叔父に真顔で返す。
「先日新聞で読みました。マザコンの男の人の方が円満な家庭を築けるんですって。だって自分の母親を大切にできない人が妻を大切にできるわけないですものね。その上、お母様と似ているから選ばれたのなら、なおさら嬉しいです。それなら絶対に裏切られないってことですもの」
「………」
 叔父が口をパクパクさせているところへ、
「ブラボー。お義姉さん。いいこと言うね」
 薫が手を叩きながら入ってきた。
「叔父さん、新婚の二人を冷やかしたって自分が寂しくなるだけですよ。やめときましょ」
「何だ、愛人の子が。うるさいぞ」
 言いながらも、叔父の顔が嬉しそうにほころんだ。手招きして自分の隣に座らせている。
「愛人の子でも叔父さんの可愛い甥っ子ですよ。小遣いの一つでもくださいよ」
「ったくお前は相変わらずだな」
 叔父にビールを注がれながら、薫が目配せしてきた。顎で指した先には優吾さんが。テーブルに突っ伏している。
「優吾さん、大丈夫? ここで寝ないで」
 眠ってしまう前に二階に連れていかなくては。叔父への挨拶もそこそこに、ふらふらと歩く優吾さんを何とか支えて二階の寝室に運び込む。服のままベッドに寝かせると、スースー寝息を立てはじめた。
「……寝ちゃった」
 枕元で寝顔を見ていたら、薫が隠れたクローゼットが目に入った。あの中から私達はどのくらい見えたのだろうか。
 誘惑に勝てず、自分も中に入ってみた。すっぽりと入りこめる。洋服に包まれる感じが心地よくさえ思える。外から中は見えないが、中からは扉の隙間から外の様子がよく見える。
「ってことは……」
 しっかり見られていたのか、と思うと、恥ずかしいような、興奮するような……。
いやいや、何を言ってるんだ私!
 否定しながらも体は正直だ。グジュグジュと熱くなりはじめている。あの薬の効き目はまだまだ続いている。いじりたくてしょうがない。かきまわしたい。奥まで入れたい。
 欲望に抗うことができず、そっと下着の中に手を差し込んだ。クローゼットから見える優吾さんの姿。あの上に馬乗りになっていた自分の姿を想像しながら、思い切り中指を奥まで突っ込んだ。
「あ……」
 吐息がでる。中指を上下に動かす。ドロドロが指に吸いつく。同時に人差指で敏感な場所を刺激する。もっともっともっと……。
「!」
 頂点に達しそうになった時、部屋の扉が開いた。誰かが入ってくる音がする。
「お義姉さん、ここ?」
 薫だ。まさかこんなところでこんなことをしていたなんて知られるわけにはいかず、息を潜めてクローゼットの中から様子を窺った。
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小説/産み分けsex(8/12)

2011年07月06日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
 今までで二回だけ、SEXをした。二回とも排卵日。男の子ができる可能性が高まる日。でも結局、優吾さんのものが途中で萎えてしまい、お互い「ごめん」を言い合う気まずい状態になって終わった。
 今日は三回目の挑戦をしなくてはならない。
 先にシャワーを浴びてきた私はベッドに腰掛けて考えていた。今までの二回の敗因は私が濡れないせいなのだ。きっと。結婚する前まではあんなに濡れて自慰行為に耽っていたというのに、結婚してからというものの、まったくしなくなっていた。過去二回の優吾さんの愛撫も、緊張のせいか受け入れられず……。せめて自分で濡れてから迎えればいいのだろうか。
 優吾さんのシャワーの音は続いている。今ならバレずにできる……。
 バスロープの裾をたくしあげ、久しぶりに自らの太ももに指を這わせてみる。入口まで到着したが、少しも気分がのらない。結婚前はあんなにしていたのに……。
「手伝おうか?」
「!」
 声に驚いて振り返ると、薫が茶色の小瓶を片手に立っていた。
「なんでここに……」
「だから手伝ってあげるっていったでしょ」
 ゆっくりと近づいてくる。
「この薬、もっと長持ちするはずだったのになあ。全然役に立たなかったんだね。式の直前の時にも塗ってあげればよかった」
「……待って」
 今のセリフに違和感を覚えた。
「まさか、結婚式の一か月前に私に声をかけたのって、偶然じゃなくて……」
「知ってて声かけたんだよ。気づいてなかったの? でも、お義姉さんの爪の写真は本当に使わせてもらってるよ」
「なんで……」
 トンっと肩を押された。ベッドに倒れこむ。見上げると、薫の綺麗な顔がある。
「なんでって、男の子を産みたいんでしょ? ドロドロに濡れてイキまくってやれば男の子が生まれる可能性が高くなるんでしょ? まあ、病院で薬もらってアルカリ性に変えたところで男の子が生まれる確率は百パーセントではないみたいだし、体質的に酸性が強い人もいるみたいだけどね。でも確率あがるなら試してみる価値はあるでしょ?」
「あ……っ」
 足を押し上げられる。ドロリとした液体が体に侵入してくる。途端に中から熱いものが溢れだしてきた。溺れる前に何とか理性をかきあつめる。
「ねえ、このこと優吾さんは……」
「知らないに決まってるでしょ。オレが勝手にやったの。男の子欲しいって兄さんが言ってたから、協力してあげようと思ってね」
「あ、あ、あ……」
 もうダメだ。性欲の塊になっていく。
 シャワーの音が止まった。もうすぐ優吾さんが出てくる。
「オレ、ここにいるね。じゃ、頑張って」
 薫がクローゼットの中に入りこんでいくのが見えたが、動くことができない。
「……あれ? 寝ちゃったかな?」
 優吾さんの優しい声がする。照明がもう一段暗くなる。優吾さんのシルエット。大きな体。バスロープの中にあるのは、短めだけど太い男根。欲しい。入れたい。入れたい。
「ちゃんとパジャマに着替えてから寝ないと風邪引……え?」
 ベッドの横に立った優吾さんの腕を思い切り引っ張って押し倒し、馬乗りになる。
「どうし……」
 驚いたように見開かれた瞳に口づける。バスロープをはだける。太い首元から女性のように膨れた胸元に唇を移動する。動揺したように優吾さんが身を起こそうとする。
「ど、どうし……」
「欲しいの」
 足の付け根に唇を這わせると、ビクリと体の中心が大きくなった。それをゆっくりと手でしごく。先の方からぬるぬるとしたものが出てくるのが伝わってきた。優吾さんが軽く呻いた。
「入れて、いい?」
 上目使いで問うと、溜息とともに優吾さんが肯いた。
「あ……」
 ゆっくりと結合する。ドロドロに溶けあっている私達。動かすたびに快楽の頂点に近づいてくる。おずおずと優吾さんの腕が伸びてきて、私の小さな胸を触る。声が出てしまう。
「ああ……イキそう……」
 優吾さんのつぶやき。擦りつけるように腰を動かす。優吾さんのものが一層大きく熱くなったのが分かる。ぐちゃぐちゃといやらしい音が響きわたる。もっと早く早く早く!
「ああっ」
 獣のような叫び。その一瞬後、私も頭が真っ白になった。全身の力が抜けていく。陰部がドクドクと波打っている。ぐったりと優吾さんの胸に顔をうずめる。心臓の音が聞こえる。ギュッと優吾さんが抱きしめてくれる。なんて充実感だろう。
 そのままの姿で私達は明け方近くまで眠ってしまった。薫の姿はいつの間にかなくなっていた。

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