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BL小説・風のゆくえには〜40年記念だった(前編)

2023年06月20日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 短編読切
【慶視点】

 何となく、浩介の元気がない……気がする。

(いつからだ?)

 ここ最近忙しくて気がついてやれなかったことに、後悔の波が押し寄せる。が、後悔ばかりしていてもしょうがない。なんとかしたい。

(でも、大丈夫か?って聞いたって、大丈夫って言われるよなあ……)

 うーん……と腕組みをしてソファに沈みこんでいたところ、

「どうかした?」

 当の本人が風呂から出てきて、向かいの地べたにストンと座った。

「難しい顔して……仕事でトラブルでもあった?」
「あ、いや……」

 心配してるのに心配されてしまった……

「なんでもない……」
「そう? おれに出来ることあったら言ってね?」
「…………」

 …………。

 …………。

 なんでそうなるかなあ……。おれはお前の心配したいのに……

「お前さ……」
「うん」
「…………」
「…………」

 出来ることがあったら言えっていうなら……

正直に答えろ」
「え?……、て?」

 手を伸ばして浩介のアゴを掴むと、きょとん、とした瞳が見返してきた。

「何?」
「…………。お前、なんかあった?」
「…………」
「…………」
「…………」

 目をそらした浩介。

「何も……」
「なんか、元気がない気がするのは、気のせいじゃないよな?」
「………っ」

 はっとしたようにこちらに視線を戻してきた。

「それは……」
「それは?」
「…………」
「…………」

 じっと見つめて……

 そうしていたら……

 気がついたら、唇が重なっていた。
 まるで、初めてしたときのような……自然に、どちらからともなく、吸い寄せられたキス。

(…………何年ぶりだ?)

 コロナ禍で、唇へのキスはずっと避けていた。
 だから……3年ぶり、か?

(ああ………)

 愛おしい。

 愛おしさが溢れてくる。



 後半中編に続く


---

お読みくださりありがとうございました!

数日前にパソコンが壊れまして……
でもどうしても書きたくて書きたくて。
初めて(だと思う)全部スマホで書きまして。
なんか……なかなか進まなくてもどかしかったです。
というか、本当は一回で終わらせるつもりだったのに、無理だった……
そういうわけで、後編に続きます。

実は浩介父の若い頃の話の続きを書きかけていて、一話は書いて保存してあるのですが……なんか…間があくのも何なので、書き終わってからアップしたほうがいい気がしていて……
でもそうすると、ずっとここの更新がなくなってしまうので……
時々、小話をアップできたらなあと思っております。
そういうわけで、後日(一ヶ月以内にはあげたい)、後編を……

※といいながら、長引いて、前中後となります💦

読みに来てくださった方、ランキングクリックしてくださった方、本当にありがとうございます。


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「風のゆくえには」シリーズ目次1(1989年~2014年) → こちら
「風のゆくえには」シリーズ目次2(2015年~) → こちら
コメント (3)
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