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小説/産み分けsex(10/12)

2011年07月08日 14時00分00秒 | 産み分けSEX(R18)
「お義姉さん? 自分の部屋かな?」
 薫はぐるりと見渡してから、
「……兄さん。よく寝てる」
 優吾さんの枕元に腰を下ろした。じっと寝顔を見つめている。
「兄さん……」
「!」
 驚きのあまり声が出そうになった。まるで恋人にでもするような愛おしさを込めて、薫は優吾さんの髪をなで、頬に手をすべりおろした。薫の綺麗な横顔が優吾さんに近づいていく。
「オレさ、兄さんに純粋に可愛がられてたと思ってたけど……違ったんだね?」
 唇が触れるのではないかというくらいの近さで薫がつぶやく。
「兄さんがオレの面倒をみてくれてたのは、母さんのためだったんだって? 母さんに愛人の子の世話をさせないために、率先して色々やってくれてたんだって?」
 薫の左手が優吾さんの首元におりていく。
「オレ、母親には捨てられたけど、兄さんがいてくれたから……兄さんがオレのすべてだったんだよ。兄さんのためなら何でもしようと思ってた。本当に、何でもだよ」
 右手も首元に……このままではまるで、首を絞める体勢になるではないか。
 どうしよう。出て行った方がいいのだろうか。でも、まさか本当に……。
「兄さん……」
 薫の腕の力が強まったように見える。
「!」
 ダメだ! 恥を忘れてクローゼットから出ようとしたその時。
「薫」
 優しい声が聞こえてきた。薫の腕をつかんだまま、上半身を起こす優吾さん。バツが悪そうに下をむく薫。
「なんだよ。いつから起きてたの?」
「お前が部屋に入ってきた時から」
 薫を横に座らせて、ゴツンとおでことおでこを合わせる。小さい子供のように。
「馬鹿だなあ。叔父さんに何か言われたのか? あの人の言うことを真に受けるなよ」
「だって……」
 拗ねたように上目遣いで兄を見る薫。優吾さんは愛おしそうにぐしゃぐしゃと薫の頭をなでた。
「俺は弟が出来て本当に嬉しかったよ。それに、母さんだって家の中ではお前の世話をさんざんしてるじゃないか」
「でも」
「母さんが人前でお前と接しなかったのは、お前を好奇の目に晒さないためだったんだよ。母さんが愛人の子にどう接するか、みんな見たがっていたからな。どう接したところで尾ひれ背びれつけられて噂されただろうけど」
「でも」
「母さんだってお前のこと大切なんだよ。お前の学校に俺が代わりに行って帰ってくると、詳細を延々と話させられたもんだよ」
「それじゃ……」
 俯いた薫がぽつんとつぶやいた。
「本当は兄さん、嫌々来てたの?」
「お前、馬鹿だなあ」
 優しく笑いながら、優吾さんが薫を抱き寄せる。
「俺はいつでもお前の味方だ。そう約束しただろ? なんだ、お前らしくない。叔父さんに言われたぐらいで落ち込んだりして。どうしたんだ?」
「うん……」
 額を優吾さんの肩にこすりつけたまま、薫が小さく言った。
「オレさ、兄さんが結婚してからずっと不安だった。オレの存在がどんどん小さくなっていくみたいで」
「そんなこと……」
「お義姉さんは強い人だね。母さんに似てるって言われて嬉しいって言ってたよ。オレ、この人には敵わないって思った」
 いきなり自分が話題に出てきて驚く。強い人? そうだろうか? 私は似ているといわれて安心しただけだ。優吾さんはお義母さんをこよなく愛している。そんな義母に似ているのなら、私も歳を重ねてもずっと愛してもらえるはずだから。
 薫が顔をあげて苦しげに言った。
「これで子供まで産まれたら、オレ本当に居場所なくなっちゃうな」
「なんでだ? 子供は二階に住むんだから関係ないだろう?」
 首を傾げた優吾さん。分かっていない。
「分かってないなあ。ここの居場所だよ」
 トントンと薫が優吾さんの胸をノックする。
「大丈夫大丈夫ってずっと自分に言い聞かせてたんだ。結婚しても大丈夫。子供ができても大丈夫。兄さんの中にオレの居場所はあるって。だから子供も早く出来たらいいと思ってたよ。でも、女の子だと兄さんがべた可愛がりしそうだから、男の子がいいなって」
「薫……」
「!!!」
 我が目を疑った。薫の左手が優吾さんの下半身に伸びていく。
「薫、だから、そういうことは……」
「オレ、兄さんが欲しい。心も体も全部」
 昨日の私のように、薫が優吾さんを押し倒す。
「SEXっていうのは子供を作るためにするものじゃないんだよ。子供が欲しいなら人工的にだってできるじゃないか。SEXっていうのは愛を確かめ合うための最終手段。自分を相手に刻みつけるためにするんだよ」
「薫、やめ……」
「大好きだよ、兄さん」
「かお……」
 言いかけた優吾さんの顔に、シューっと何かが吹きかけられた。上がりかかっていた頭が静かにベッドに沈み込む。
 そして、薫がこちらに顔を向けた。
「お義姉さん。出てきていいよ」

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