八浜の漁師が来たら道を開けて通せ！

　

江戸時代、

児島湾における　八浜　は、

岡山池田藩の蔵米を輸送する　加子浦　を担った。

　

加子浦　八浜　は、　

児島湾内８割方の漁業権を持ち、

　

大漁師のもとで樫木網と屋井床による漁業、

小漁師による釣漁・縄漁・四つ手網漁・うなぎ掻き・板乗り漁などが

行われていたという。

 

　

歴史をひも解くと、

　

八浜　は漁場をめぐり、

村内の漁業者同士はもとより、

他村との間でも、しばしば争いを起こしている。

　

承応四年（1655）　八浜　大漁師と小漁師の争い

明和六年（1767）　八浜　大漁師と小漁師の争い

正徳二年（1712）　八浜　と　迫川　の争い

安永九年（1786）　八浜　と　彦崎　の争い

寛政六年（1794）　八浜　と　郡　の争い

文化六年（1809）　八浜　と　妹尾　の争い

・・・・

　

当時、児島湾では

「八浜の漁師が来たら道を開けて通せ！」　

という言葉があった程、　八浜　の者は喧嘩っ早かったという。

　

　

昭和12年（1937年）、

澁澤敬三　率いる　アチック・ミューゼアム　が

八浜　を調査したノートには、次のような記述がある。　

　

　昔、妹尾と八浜と漁場争ひをした事があった。

　その際、妹尾の者を殺したとか、

　此の者をバクシンの木に吊ったとか、

　色々と話が伝えられてゐるが、

　兎に角その責を負ふてウドの幸右衛門といふ人が

　妹尾に行き、泥の中に生埋めにされて死んだ。

　之を祀ったのが、このゑびす様である。

　幸右衛門の死んだ日が四月十日であったので、

　此の地では特に此の日にゑびす様を祀ってゐる。

　なほ、ゑびす様は疱瘡の神様として信心されてゐる。

　

また、　快（こころよし）神社　については、

　

　ココロヨシ様は八浜の昔からの氏神様であった。

　有難い神様で、こんな事などもあった。

　下津井の漁師と此の処の漁師が喧嘩をして、

　此の処の漁師がいためられた事があった。

　ところが相手の漁師はその日から腹がにがって大変苦しんだ。

　之はココロヨシ様が仕返しをして下さったもので、

　向ふでは八浜の者と喧嘩は出来ぬと言ったといふ。

　

と記録されている。

　

　

そんな威勢のよかった　八浜　であるが、

　

昭和３４年、

国策　児島湾締切堤防　によって

海を奪われてしまってからというもの・・・・

　

どんどん威勢も消え失せて、

とうとう私たちの時代には、

児島半島一の弱虫学区になってしまった。

　

海を奪われる　という事実は、

こんなに悲しいことなのか・・・・

　

　

もう一度、　八浜　をドライブしてみよう。

　

　あの夏の光と影は

　どこへ行ってしまったの・・・・

　

グスン！