1945年6月29日、
テニアン基地を発進したB29爆撃機約141機は、
同日未明、岡山市街を無差別爆撃した。
市街地の73%を焼き尽くし、
非戦闘員である市民1,737人を大虐殺した。
実はこの時、1機のB29爆撃機が
(機体番号44-61573、第58航空団468所属)
児島半島宮浦、金上池近くに火を噴きながら墜落し、
乗員11名が命を落としている。
子供の頃、
飛行機マニアだった私はこの話を聞いて、
B29の残骸を拾いに行こう!と興奮した記憶がある。
事故の後、宮浦の村人たちは、
バラバラに散った米兵11名の遺体を集め、
山腹に埋葬し、十字架の墓標を建てた。
その十字架を訪ねようと、
ヒマコとふたりで山を登った。
今では登山道に、わかりやすい看板が
設置してあるのでありがたい。
墓標へはすぐにたどり着けた。
劣化して縦半分に裂けたコンクリート製の十字架は、
年月の重みをズシリと伝えてくれる。
十字を切って、神妙に手を合わせて黙祷すると、
藤の花に集うクマンバチの羽音が、
B29の機音のように聞こえてくる。
戦後、
アメリカ進駐軍は宮浦の村人に大変感謝し、
B29乗員全員の遺骨は本国に帰還されたという 。
空襲での犠牲者と、
戦死した米兵の命を考えながら、
戦争はつくづく愚かなことだと、
心底理解するまでずいぶん時間がかかったなぁ・・・と、
金上池から児島湾を眺めながら思った。
それにしてもまた、
墓の好きなやつ! と言われるんだろうなあ。
でも、
生きている人間よりも、
死んだ人間のほうが、
いろんなことを教えてくれるのは確かだ。
生きている人間の言う
「豊かな未来」には気を付けよう。
欲望を煽りながら、
自然環境を、誰かを、記憶を、心を、何かを・・・・
犠牲にするトリックが仕組まれている。
刺激的なヒントをありがとうございます。