序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

彼女の場合

2013-01-08 16:45:23 | ブログ

F1000152_3彼女、私の初孫です。

もうすぐ五歳です。

この丸々四年間、親や爺婆の愛情を丸ごと飲み込んで大きくなってきました。

利発です。
おしゃまさんです。
で、ちょっと我儘。

でもしょうがない、親にとっては初めての子であり、何といっても可愛い初孫ですから。

でもこの年末彼女にとって大きな出来事が起きました。

妹が生まれたのです。

彼女生まれる前から妹の誕生を楽しみにしていたそうです。

大きな母親のお腹に向かって話しかけていたそうです。

彼女は妹が生まれても何も変わらない、楽しい事が増えるだけだと思っていたんです。

妹が生まれても彼女にとって自分が世界の中心である事は変わらないと思っていたんですね。

昨年の暮れに妹が生まれました。

風邪で体調を壊して見舞いに行けなかった私に、誕生した妹と一緒に写った写真を携帯に送ってくれました。

そこには屈託なく喜びを全面に表している彼女と小さいお猿さんの様な妹が写っていました。
その笑顔は自分のポジションに何の不安も感じていないものでした。

でもその日から彼女は彼女の小宇宙の主役の座から滑り落ちたんです。

暮れの29日には母子共に健康で退院して自宅に帰りました。
家内も付き添いで泊まり込みです。
その日以来私はほって置かれています、まあ、いいんですがね。

あの日以来彼女の家の生活の中心は彼女ではなく妹です。
少しづつストレスが彼女を蝕み始めたようです。
この時期が人間の関係を学ぶ始めになるんですね。

七日の日曜に久しぶりに彼女が家内と遊びに来てくれました。

迎えに行った道すがら、彼女は今までにない苛立ちを家内にぶつけます。
その苛立ちは何か寂しい心の叫びの様に感じられました。

私は彼女を散歩の誘いました。
私と彼女の二人の散歩は彼女が主役です。
私は彼女の後ろをゆっくりと付いていきます。
彼女のやりたい事をやたいようにやらせ、聞きたい事にはきっちり答えます。
黙々と土いじりを始めた彼女は私の存在を忘れたかの様に没頭します。
私はその様子を黙って見ています。
すると彼女は時折顔をあげ私の視線が自分にある事を確かめるのです。

彼女との散歩はゆっくりと時間が過ぎていきます。
そして彼女がその時間を満喫したころ、すこぶる付きの笑みが顔に浮かびます。
そして手をつなぎ家路をたどるのです。
そこには多くの言葉はありません。
でも幸せな気持ちが湧いて来るのです。

今の彼女は、これから容赦なく降りかかってくる試練の中でどんな大人になって行くんでしょうか。
その過程の中で私の存在が幾許かの助けになれたらと・・・思いますね。


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