
『回転ガラス版』
ペイントされた5枚のガラス板がメタルの軸を中心に回転し、1メートルほど離れて見ると一つの円が現れる。
ガラスという透明な〈有るが無い〉に相応する素材に、あえてペイントとしたという。(淵だけなのか・・・)
回転させ、1メートルほど離れて見ると一つの円が現れるという仕掛けらしい。
要するに、静止して見たときと回転させて見たときでは景色が異なるものに見えるということであるが、それは対象との距離にも因するという。
対象を正確にとらえているであろうという眼差しは、ある程度以上の速度を持つ回転では静止したものとは異なる現象を捉えることになる。(回転速度によっても現象は異なる)
眼差しは運動(回転)による現象から原初の在り様を想起できないことの証明であり、眼差しに対する不信である。
『回転ガラス版』は、対象との距離や角度、また回転という時空を破る運動によっても全く違う様相を呈することの確認装置であり、証明である。
わたし達が《感覚》と呼びうる現象に対する感想は、対象の運動性によって常に新しい現象を生み出すと同時に各個人の眼差しの位置にも関係するので、真の確実性などというものはなく、流転(あるいは有無)は時空の常である。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク(www.taschen.com)より
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