
『応用弁証法』
二枚の対になった画面、挑戦と敗北。
戦地へ赴く数多の飛行機・戦車・兵隊。
家財道具が摘まれた荷馬車、自転車・荷押し車、負傷のためか杖つく人、袋を担ぐ人…並べて足取りは重く休息を取らざるを得ない人も見える。
戦意に立ち向かうエネルギーと、戦意に敗れて逃げ帰る負のエネルギー、共に繰り返してきた循環の歴史である。
高揚と悄然。失意が戦闘への火をつける、戦闘は勝利と敗北に分けるが、勝利の永続はなく、敗北における窮乏の持続もない。滅亡の影は人を脅かすが、逆転の未来が無いとは言えないのである。
真逆の構図に深い溝(亀裂)は存在するが、深い闇の中で結びついた真逆であり、この真逆と思える二枚の時空は、常に連動する歴史の真実である。
有機的な存在の悲劇と幸福に審判を下す者をわたし達は知らない。
写真は『マグリット』展・図録より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます