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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

R.M『応用弁証法』

2020-11-13 06:43:11 | 美術ノート

   『応用弁証法』

 二枚の対になった画面、挑戦と敗北。
 戦地へ赴く数多の飛行機・戦車・兵隊。
 家財道具が摘まれた荷馬車、自転車・荷押し車、負傷のためか杖つく人、袋を担ぐ人…並べて足取りは重く休息を取らざるを得ない人も見える。

 戦意に立ち向かうエネルギーと、戦意に敗れて逃げ帰る負のエネルギー、共に繰り返してきた循環の歴史である。
 高揚と悄然。失意が戦闘への火をつける、戦闘は勝利と敗北に分けるが、勝利の永続はなく、敗北における窮乏の持続もない。滅亡の影は人を脅かすが、逆転の未来が無いとは言えないのである。

 真逆の構図に深い溝(亀裂)は存在するが、深い闇の中で結びついた真逆であり、この真逆と思える二枚の時空は、常に連動する歴史の真実である。
 有機的な存在の悲劇と幸福に審判を下す者をわたし達は知らない。

 写真は『マグリット』展・図録より


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