
対象物はすべて立体(三次元)を想起させるが、大ガラスの平面に直線的に納められている。そして、それぞれは時間の経過を孕んでいるが、面(二次元)に収縮させることで、閃光めく一瞬に凝縮される。それは、現象の一刹那としての提示にほかならない。
しかも、これらは崩壊へと辿らざるを得ない構築(仕掛け)である。実に緻密で大胆な展開を見せる作品に驚嘆を隠せないが、大いなる否定(絶望)への反感を試みざるを得ないという背反が厳然としてある。
作品は(大ガラス)ゆえに、作品を通して向こう(現実)が透けて見える。
平穏なこの空気の中の虚無の鋭利は、鑑賞者を黙って見ている。鑑賞者は黙って見られている事実に気づくが、対処の術は永遠の問いでもある。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより
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