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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

R.M『旅の想い出』③

2021-02-08 06:44:05 | 美術ノート

 狭い室内である、解放された窓がないことはロウソク一本の明かりしか無いことでそれと知られる。内的世界の硬直、しかし、これは不変であると言ってもいる。
 崩壊し果てた塔は世界の終わりの暗示であり、幻と化した過去の滅びの跡である。しかし自分の中に縷々燃やし続けた信念も、ロウソク一本の明かりに過ぎなかったかもしれず、対抗し得るものでもない。高台付きの皿に盛った果実(知恵の実)も決して多くも大きくもなく、ありふれた思考に過ぎなかったかもしれない。
 手に持った本、唯一手掛かりとなりわたしを導いたものすら、他人思考の借り物にすぎなかったのではないか。

 傍らに座したライオンも雄たけびを挙げることなく佇んでいる。虎の意を借る狐にすぎなかったのかという自嘲・・・否、わたしを励まし続けた信念である。
 一生を通し、思考し続けた信念の結末。この思いはいつか消えるだろうか、貫いた思いは普遍であるはずであれば、石化し果てた後までも残存の影を落とすものと信じている。

 わたし(マグリット)の信念が見えるか?老いて消え果ても、この答えを待っている。『旅の想い出』は、マグリットの信念である。それを解く者がいれば解いて見よ!そういっている気がする。
 縷々続くわたし自身の課題でもある。


 写真は『マグリット』展・図録より


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