
『ヘーゲルの休日』
雨傘の上に水の入ったコップがある。背景は薄いオレンジ色のベタ。
陸地と海は、7:3の関係だと言われている。
傘は地球の陸地であり水は大気圏内の水量だと仮定すると、この関係は過去にも未来にも一定である。一定であるが常に変化している。
わが水地球は水なしには考えることはできず、水と傘(地上)は一体であるが、混合し完全に同一体になることはあり得ない。水は水であり、傘は傘としてしか存在理由を見いだせないからである。質的にも融合は不可能であるが、地球を離れた任意の点から眺めたならば、水(海や湖や雲)と傘(陸地)は一つの風景でしかない。
コップの水はやがて傘の上を濡らす。跳ね返すが吸収されるかもしれない。当然こぼれた水は元には戻らない、自然の理である。
しかし、その自然の理は地球という傘の上では覆されてしまう。水は三態をもって巡回し続け、一定の水量を保持し続けるからである。
この矛盾をヘーゲルならばどう愉しむだろう。マグリットの差し出した提議である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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