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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『恋人たち』

2018-06-29 06:31:13 | 美術ノート

   『恋人たち』

 頬を寄せ合う男女…恋人でなく恋人たちとタイトルしている。恋人たちはおよそこのようなものだということだろうか。
 二人の顔は白い布で被われている。お互いの表情は見えない、知らない状況を暗示している。
 顔(頭部)には多くの情報が潜んでいるが、知らぬ同士であり秘密を抱えた二人が、何らかのきっかけで体を寄せる関係になっている、即ち恋人と称する状態である。

 デュシャンの《花嫁》もそうであったが、この《恋人たち》というものも、仮の状態であって、確信めく実体というものは無いのである。
《関係性》
 背景の山は緑色ではあるが勾配のある斜面、微妙に普通ではない急降下(不穏)を暗示している。
 その向こうの海に至っては、二人の顔によって遮られているが、水平ではなく左へ傾いている。
 高い山に立ち、静かに愛を育む恋人。しかしどこかに破調の空気がないともいえない。

《愛》に対する不信である。
 超えて行くほどの覚悟はあるか。
 世界で一番というほどの高揚は、狭い室内の領域くらいの世界かもしれない。
『恋人たち』はマグリットの洞察である。

 

写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


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