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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『1-2-1』残り元素Ⅰ

2019-09-10 07:16:11 | 美術ノート

   『1-2-1』残り元素

 元素に残りなんて言うものがあるだろうか。化学物質を構成する基礎的な成分であり、ビックバンにおける元素生成はリチウムを含む水素とヘリウム。人間の身体をつくる元素は水素と酸素(リンの微量元素)・・・残りという概念に結びつかない。

 手足が欠落し骨の見える人体、宙に浮き、背後には戦争兵器。ハンドルを引けば爆発物を投下する殺傷の凶器である。
 残骸かもしれない…すでに事件は起きた後の光景か。

 大腿部は持ち上がっている。逃避の意志、瞬時の出来事。


『残り元素』とは非物質である。これら形態(光景)から読み取れる残虐・無念・・・戦争(殺戮)のもたらした幻影の声なき訴え、残響である。
 涙なしには見ることの出来ない悪の顛末。『残り元素』は残すべき教示である。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


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