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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『夢』

2015-07-19 07:29:11 | 美術ノート
 女は瞑想している、すでに女である理由を知った成熟した婦人のように見える。
 うつむき、全身の裸体をさらしているが、恥じらうべき様子はなく、むしろ堂々とその存在を知らしめている。性的誘惑の情念を打ち消した一個の人間の証といった風情を感じる。

 肉体の尊厳、女であることの人間の証明のような威厳がある。しかし、驕りや虚飾は微塵もない。誇らしげな自慢の態では決してなく、ありのままを提示している。


 女は、岩(岩石)を抑えている。(主なる神はとこしえの岩だからである/イザヤ書)

 これこそ、ついにわたしの骨の骨
 わたしの肉の肉
 男から取ったものだから、
 これを女と名づけよう」。  (創世記より)

 女はそれを否定しているのかもしれない。
 女の影は、女をそのまま映している。女の過去、先祖も彼女に等しい意見をもっているという告訴のようにも見える。どんなに遡っても、この主張は同じである。

 薔薇に象徴されるような死すべき身体であっても、恥ずべき身体ではない。女は目を閉じている。深い思いの告発である。

 なぜ隠す必要があるか!《原始女は太陽であった》という言葉に匹敵する大胆告発である。

 しかし女は海(自然)を背景に、うつむき静かに沈思黙考する。

『夢』女の本来の希望・尊厳、これらは夢に過ぎないのだろうか。確固とした女である存在証明である。

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