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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

ホッパー『早朝の日曜日』

2020-08-28 10:21:38 | 美術ノート

   『早朝の日曜日』

 二階建て、長屋形式の店舗兼住宅の光景である。視覚的に遠近法は用いられておらず、全くの並列であり、建屋の左右が描かれていないので、延々連続しているイメージがある。
 帯状に並んだ店舗兼住宅は早朝の光のなかに在り、東からの光の影により、この建屋が南向きであることが知れる。きわめて明るすぎる陽光の立地である。
 各種の店舗は早朝故に暗く閉ざしているが、窓のカーテン、床屋のシンボルなどが求心的に明るく光っている。水道の引込み管や道路への照射、床屋のシンボルなどがあたかも活性化され、この画の舞台の中で華やぎを見せている。

 つまり、人の住む街の、人の眠り(不在)によって、人以外の事物が輝きだす時空を切り取っている。平板な家並みの中の事物の活性は不思議な空間を提示する。
 街が動き出す雑踏の中では意識から外されるであろう赤い壁と緑の壁面の競合は、息を吹き込まれたような主張を展開している。ほんのひと時、早朝の人が動き出す前の沈黙の活性、建屋やカーテン、道やそこに配置された物の黙した主張が展開する早朝の商店街である。
 事物が光りによって活性を見せる時間帯の事物の主張を垣間見せている。


 写真は『HOPPER』岩波・世界の巨匠より


『飯島晴子』(私的解釈)57+

2020-08-28 07:06:35 | 飯島晴子

   青淵を幽かにもどる男の雛は

 神官がお祓いをした後、形代を海(川)に流す儀式である。
 女の祭り、女の静かなる勢威に男の雛はすごすご退いたのだろうか。女の見えざる日ごろの鬱憤の強さかもしれない。

 青淵はショウ・エンと読んで、傷、掩。
 幽かにもどる(幽戻)はユウ・レイと読んで、友、霊。
 男の雛はダン・スウと読んで、壇、崇。
☆傷(悲しみ)を掩(隠して)、友は霊(死者の魂)を壇に崇める。

 青淵はショウ・エンと読んで、妾、艶。
 幽かにもどる(幽戻)はユウ・レイと読んで、誘、励。
 男の雛はナン・スウと読んで、軟、数。
☆妾は艶(色っぽい)で誘(惑わすこと)に励む。
 軟(やわらかい)数(図りごと)である。


R.M『不穏な天気』②

2020-08-28 06:36:32 | 美術ノート

 穏やかな海と空の景色である、しかし不穏な天気だという。異なる点は白い雲の形が、人間の叡智により創りされた構築物が三体並んで空中に浮上していることである。自然には決して現れ得ない形態である。
 人間の想念の中でしか形成し得ない景色は地上を圧している。純白であり、軽く見えるという雲の条件を満たしたこれらに堅牢なイメージはない。もちろん永遠不滅の形態でもない。

 いずれ流れていく宿命の雲に形を借用した、これらメッセージが不穏だというのである。
 増幅され強く大きく鳴り響くラッパ(チューバ)は告知であり、指令である。
 何よりも高い位置にある椅子(地位)、座るべき今は不明の人間(トルソ)が、次第に色を成し地上に降りてくる。即ち征服は民の自由を剥奪しかねない。

 よく見ると、陸地は草木の見えない岩石の沿線である。緑がない景色は死を連想させる。穏やかに良く晴れた白い雲(?)の浮かぶ景色は《危機》を孕んでいる。
『不穏な天気』は、現実には見えない《負の予感》である。


 写真は『マグリット』展・図録より


『注文の多い料理店』23.

2020-08-28 06:24:49 | 宮沢賢治

 そして二人はその扉をあけようとしますと、上に黄いろな字でかう書いてありました。
   「当軒は注文の多い料理店ですからどうぞそこはご承知ください」


☆字を任(見分けると)秘(人に見せないように隠している)章の講(話)がある。
 辞(言葉)は諸(もろもろ)道(神仏の教え)を兼ねている。
 衷(心の中)の問いは霊(死者の魂)の裏(内側)を展(広げる)章(文章)の質(内容)である。


『城』3487。

2020-08-28 06:09:29 | カフカ覚書

それでいて、あなたは、いろんな要求をお出しになる。これっぽっちの後楯もないのに、要求をお出しになる。あからさまにお出しになるのではないけれども、あなたが何かを要求していらっしゃるということは、すぐにわかります。それが、世間の人たちの恨みをまねくのです。


☆その上、要求を出します。支援もないのに要求を出される。全く何もないのに、一体なぜでしょう。いかなる要求も挑発的だと思うのです。