続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『不穏な天気』

2015-10-30 07:07:50 | 美術ノート

 『不穏な天気』、不穏どころか波静かな晴天だけれど、「不穏な」という予告がある。
 純白に描かれたトルソ・チューバ・椅子が空に浮いて並ぶのは、神々が現れる景色に酷似している。
 天高くに姿を現すものは、この世と隔絶された崇め奉るものの象徴でしかない。

 トルソ・チューバ・椅子は何を意味するのだろう。
 ①トルソは頭部手足のない胴体のみの彫像であり、本体が見えないものである。
 ②チューバは、聴衆に音を伝える。音の特質としては低くて太い音である。
 ③椅子は権威や地位の象徴である。
 以上はそれぞれ人の手の届かない高いところに描かれている。

 これらの条件から想像される空気は、人為的命令・威圧であり、自然の空気を遮るものではないか。
 自然はこんなにも美しいのに、白く美しくさえ見える天上にも等しい高みから下される規制は未知ではあるけれど、極めて不穏な予兆を含んでいる。


 マグリットは、いつも空を見ている。見つめている空の彼方、ずっと向こうにある未来を夢想している。
 しかし…立ちはだかる現実の不穏な空気。

 (これからどうなるのだろう)誰もが抱く一寸先の闇、大きな権力を仰ぎ見る胸に去来するものは…。まぶしいほどに明るい自然光を遮る不穏・恐怖・危惧。
 天気の行方は分からない。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)

『銀河鉄道の夜』124。

2015-10-30 06:47:11 | 宮沢賢治

そしてその地図の立派なことは、因るのやうにまっ黒な盤の上に、一一の停車場や三角標、泉水やもrが、青や橙や緑や、うつくしい光でちりばめられてありました。ジョバンニはなんだかその地図をどこかで見たやうにおもひました。


☆字の図りごとの律(きまり)を破る也、と告げる。
 番(組み合わせる)章(文章)は逸(あふれている)が、逸(隠れている)訂(ただす)視野の常を散(ばらばら)に書く。
 表(おもてに出る)を千(たくさん)推しはかる。
 真の照(あまねく光があたる=平等)は、等しい利欲を肯(由とすること)である。
 字の図りごとに現れている。」


『城』2129。

2015-10-30 06:36:38 | カフカ覚書

わたしたちが村で知るかぎりでは、また、ばるなばすから聞いたかぎりでも、お役人たちは、りっぱではありますが、ふつうの平服を着て歩きまわっています。


☆ここで分かっている死は、バルナバス(北極星/生死の転換点)が話したかぎりでは普通の反抗にも、もちろんきっと周囲を被います。