続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『記憶』

2015-10-24 06:57:28 | 美術ノート

 ギリシャ神話に出てくるような女神の石膏像(頭部)はこめかみ辺りに血をながしている、後部右脇には同じ質感の鈴(言葉、風評、意見、声etc)、そして一輪の赤いバラが板の台にそれぞれ乗っている。
 背景は暗雲で覆われたさざ波の立つ海面(湖・川)であるが、これらの対象物は左上方からの光を受け影を作っている。

 ということは、背後の海の世界と、隔絶した別世界の光景が合成されている。つまり、背後は現世であり、手前の景色は冥府(心象世界)である。

 Memory/記憶は《故人/死者の霊》をも意味しているのではないか。

 美しい女の面影は傷つき赤い血を流しており、斜め後ろには声なき無念の声が静かに鎮座している。
 女の命、象徴である赤いバラが一輪、凛として置かれている。よく見ると、薔薇はまだその生命を全うしていない。つぼみではないが、開花の前兆である。
 まだまだ人生を全うしていない女(石膏像)の生命を暗示しているように思える。

 女(石膏像頭部)が現世(暗雲漂う不吉な空と海の景色)に背を向けているのは否定であり、現世で受けた悲哀の記憶を打ち消しているからではないか。

 Memory・・・永遠に消えることのない母への追慕、黙して語らなかったという母への想い、鎮魂の記念碑である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』118。

2015-10-24 06:43:37 | 宮沢賢治

 それはカンパネルラだったのです。
 ジョバンニが、カンパネルラ、きみは前からこゝに居たのと云はうとおもったとき、カンパネルラが「みんなはねずゐぶんはしったけれども遅れてしまったよ。ザネリもね、ずゐぶん走ったけれども追ひつかなかった。」と云ひました。


☆繕(なおすこと)に拠り運(めぐらせている)詞(ことば)は、双(二つ)を知(心に感じとる)。
 双(二つ)の対を運(めぐらせている)。


『城』2123。

2015-10-24 06:38:27 | カフカ覚書

それは、この問題が目下事務的に処理されつつあるということを意味しているかもしれません。あるいは、まだとりあげられていない、したがって、たとえばバルナバスをまだ依然として試してみようということなのかもしれません。


☆それはこの事件が事務的に行われているということを意味しています。あるいはまだ十分に許されていないのかも入れません。たとえばバルナバス(北極星/生死の転換点)は常ににまだ最初の試みを望んでいます。