分類標本園のつづき
ヤツデ(八手、別名テングノヤウチワ)
ウコギ科 ヤツデ属
Fatsia japonica (Thunb.) Decne. et Planch.
ファツィア ヤポニカ
福島県以南、関東~九州の暖地の海岸の照葉樹林に生え、
日陰でもよく育つので裏庭などによく植えられる常緑低木
この花の付き方は円錐花序という
いけばなの、以前のお教室の庭に生えているヤツデを
切って勉強会の勉強に使わせてもらったことがある
いけばなではユニークな葉の形、葉柄の線、葉の表裏の対比などを楽しむ
どの葉もよく陽を受けられるように展開すると知りそのつもりで見ると本当にうまく角度や葉柄の長さをかえて葉が付いている
参考
①日本花名鑑④p.170 ②現代いけばな花材事典p.688
フサフジウツギ(房藤空木)
フジウツギ科(エングラー: Buddlejaceae) → APG: Scrophulariaceae(ゴマノハグサ科)フジウツギ属
Buddleja davidii Franch.
ブッドレア ダヴィディー
中国 流通名:ブッドレア
落葉低木、穂様で密な円錐花序、芳香あり(嗅いで来なかった・・・)
明治中期にヨーロッパ経由ではいった帰化植物? 日本に野生化
紅・紅紫・濃紅紫・白など鮮やかな色の園芸品種が多い
いけばなでは使ったことが無いが、葉を適当に整理して花と枝の線を強調するとよい
参考
① 安藤敏夫・小笠原亮・長岡求,2007 日本花名鑑④.アボック社:50
② 監修:勅使河原宏・大場秀章,1999.現代いけばな花材事典.草月出版:p.580
カリガネソウ(雁草・別名ホカケソウ)
クマツヅラ科(エングラーVerbenaceae) → APG: Lamiaceae(シソ科)
Caryopteris divaricata (Sieb. et Zucc.) Maxim. → 標準名Tripora divaricata (Maxim.) P.D.Cantino
Caryopteris カリオプテルス カリガネソウ属? ダンギク属?
Tripora カリガネソウ属
分子系統
北海道~九州各地の林内に生える、中国、朝鮮
分類についてはまだよく理解できていませんが・・・
ハナシキブ(花式部)は
Caryopteris × clandonensis カリオプテリス クランドネンシス
は、交雑種で片親がダンギクC.incanaで、中国に分布するC.mongholica との雑種
オオ~っ ここでつながりました
参考:①日本花名鑑④p.68 ②現代いけばな花材事典.p.396
タイワンツクバネウツギ
栽培種でよくみるアベリアなのかしら?少し小振り?
タイワンツクバネウツギ
タイワンツクバネウツギ
スイカズラ科 ツクバネウツギ属
Abelia chinensis R. Br. var. ionandra (Hayata) Masam.
日本(琉球・奄美大島)、台湾
栽培種でよく庭や公園に植えられているハナゾノツクバネウツギは、
Abelia x grandiflora (Rovelli ex André) Rehder
アベリア グランディフロラ
このタイワンツクバネウツギと中国原産のアベリア・ウニフロラA.unifloraとの雑種から選抜された園芸品種
ツクバネウツギとは花後に残る萼の形が羽根つき遊びの「つくばね」に似ているから
属名でアベリアと呼ばれる
日本にはツクバネウツギA.spathulata、とその変種のベニバナノツクバネウツギが自生する
今日見た台湾ツクバネウツギも小柄でかわいらしくていい樹だなと思いました
参考
② 現代いけばな花材事典p.406
シオン キク科 シオン属 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
Aster tataricus L. → Aster tataricus L.f.
日本(中国、九州)、中国、朝鮮、モンゴル、シベリア
Aster属は日本に21種ほどが自生し、外来の6種が帰化している
いけばなでは昔から使われてきた季節感を演出する花材
平安時代には観賞用として栽培されており、栽培が野生化したとみられる
多数の頭花は散房状に付く
今日別の方がいけた「実もの」の花材に入っていたクジャクソウは北米原産のシオン属の園芸種
参考
① 日本花名鑑④p.33
② 現代いけばな花材事典p.283
シラヤマギク
キク科 シオン属
Aster scaber thunb.
日本(本州~九州)、中国、朝鮮
シオンを同じシオン属で、各地の山地に自生する
参考:現代いけばな花材事典p.283
イソギク(磯菊) キク科 キク属
Dendranthema pacificum (Nakai) Kitam. → 標準名Chrysanthemum pacificum Nakai
本州(千葉県~静岡県の海岸の岩場)
舌状花が無い 葉裏は銀白色
鑑賞のため古くから栽培されている
参考:現代いけばな花材事典p.178
ハマギク キク科 ハマギク属
Nipponanthemum nipponicum (Franch. ex Maxim) Matsum.
本州
シャスタ・デージーは、フランスギクと元にハマギクを掛け合わせてアメリカでつくりだされた
学名について宿題
参考:現代いけばな花材事典p.428
ケカモノハシ イネ科 カモノハシ属
Ischaemum anthephoroides (Steud.) Miq.
日本(北海道~九州)、中国、朝鮮
和名について宿題
シマダンチク イネ科 ダンチク属
Arunco donax var. versicolor (Mill.) J.Stokes
栽培
ジンジャー → 標準和名:ハナシュクシャ 別名ジンジャ、シュクシャの変種
ショウガ科 ヘディキウム(シュクシャ)属
Hedychium coronarium J. Konig var. chrysoleucom (Hook.) Bak.
インド、マレーシア
ハナシュクシャは日本に江戸時代に入ってきた観賞用の栽培種
穂状花序で花には強い香りがある(これまた、嗅いで来なかった・・・残念)
花の目立つ部分は3個の機能を持たない雄しべで、
長さ5㎝ほど、花弁のようになり、1個は大きく唇弁状になる
花は筒状で3つに裂け、花弁は線形、
萼も筒状で先が3つに分かれるが、苞に隠れて見えない
雄しべは花の中心から長く突出し、花糸に雌しべの花柱がくるまれている
写真を見ながらこの説明を読んでも、
なんとなくわかったような、わからないような、
花びらと思ったのは雄しべだという、驚き
難しいということは自分の知識常識と違っているということで
言い換えると不思議で面白いということ・・・になるのかな?
参考:現代いけばな花材事典p.320
観察路の芝生はよく刈りこまれていました
植物の周りは雑草が多かった、時には名札のついた植物より雑草の方が旺盛でした
植物園の維持管理は大変だと、
以前、他の薬草園の草取りをやっていた時のことを思い出しました
名札の情報「学名・和名・科名・分布」に
YListや日本花名鑑、現代いけばな花材事典などで調べて、
学名の漢字名・カタカナ読み・植物の特徴などを追加してみた
この保存園の名札、
以前は東西方向の中央の観察路からわかれた南北方向の細い観察路に面していたのを
皇室が見学するということで
すべて中央観察路から見えるように向きを変えたんだそうだ
桜の広場から坂を下りて、日本庭園~出口まで につづく
全体として参考にしたのは
① 小石川植物園
② 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info
③ 安藤敏夫・小笠原亮・長岡求,2007 日本花名鑑④.アボック社
④ 監修:勅使河原宏・大場秀章,1999.現代いけばな花材事典.草月出版