夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

ビルの屋上にて

2013-08-29 | 創作
近所に大きなビルがあるのですが、いつの間にか屋上に小屋ができているのです。違法建築だと思うのですけど、どうにも気になる小屋なのです。一度そのビルに昇ってその小屋を見たことがあるのです。屋上へは普段昇れないのですが、その時だけはなぜか屋上のドアの鍵が腐っていてドアが開いたのです。屋上に上がるとやはりちょっと変な小屋でした。草葺きとでも言えばいいのか、屋根も壁も草に覆われていて、窓のような穴とドアのような穴が空いているだけでした。とても良い匂いがしてつい窓の穴から中を覗くと、綺麗な女が座っていました。目が合って見つかったと思うとフフっと笑ってくれるのです。その声を聞くとゾクッとしました。つい声をかけてみたくなってドアのような大きな穴から入ろうとしたら「何をしている」と後ろから声をかけられました。
私は不法侵入ですから「いえ、あのう」と変なことしか言えず、屋上から慌てて逃げ出しました。屋上のドアを閉めるとき振り返ってみると、あの男がドアのような穴から中に入ろうとしていました。その時です。男が中にはいると突然穴が塞がったのです。まるで、中の男を逃がさないようにするように。
ビル屋上には光はありますけど、植物が必要とする窒素とかリン等の栄養素がありません。人間は窒素とかリンとかの栄養の塊。
痩せている土地には食虫植物が生息しているところがあるそうです。そう言えば、あの女の人は暗い部屋の中で何をしていたのでしょうか。窓と思われる穴しか覗くところはないので、壁に女のような模様があるだけなのかも。
「フフ」と聞こえた声もじつは窓の穴を通る風の音だったのでは。
それを私が勝手に、声だと思ったのかも知れません。
良い匂いも、まるで私を誘っているようでした。
私に後ろから声をかけた男も、私と同じように小屋に引かれて来たのかも。
食虫植物も進化してより捕まえやすい、人間の雄を狙うものがいるかも知れないです。
雄の方が引き込みやすいと知っているのでしょうね。
ビルの屋上を見ると、時々変な建物が見えることがありますが、むやみに近寄らない方が良いですよ。


追伸 少子化担当特別班のシナリオを改題することにしました。
   題でネタバレになる可能性があるし、なにより興味を引かないでしょう。
   「振られ屋」と改題します。どんな商売だろうって思いませんかね。
   女に振られることでその女の人を幸せにする「振られ屋」
   

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 少子化対策特別班 シナリオ編 | トップ | かっこいい男 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創作」カテゴリの最新記事