高田郁作「駅の名は夜明け」を読みました。人気本なので図書館で予約してからかなり待ちました。高田郁さんの本は読みやすくて、せつなくて、最後はじんわりと温かくなるお話です。9編の短編ですが、どこかつながっています。「黄昏のモカ」では72歳の美津子さんがウィーンで32歳の青年クラウスと一期一会の出会いをします。ウィーンではブラックコーヒーのことを「モカ」、クリーム入りは「ブラウナー」、泡立てた温かい牛乳を加えたものは「メランジェ」、ホイップクリームをたっぷりと載せたものは「アインシュペンナー」というそうです。お話も面白いのですが、私はこのコーヒーの呼び方をメモしておきたいと思いました。「途中下車」では「何時、誰と出会い、どう友情を育んでいくかはわからない」、「目的地に行くために必要な途中下車もあるさ。疲れたら降りていいんだよ」、「次の列車は、必ず来るからね」と書かれています。本当に人生はいつどうなるかわかりませんね。JRに「夜明」という名の駅があるのを知りました。「背中を押すひと」では「前途洋々を祈れども、人生はそう容易くはない。けれど、懸命に生きる者には、きっと拓ける道が在る」と書かれています。「約束」もすごくよかったです。短編で感動して良かったのですが、私はもう少し主人公と長くお付き合いするのが好きです。一期一会はちょっと寂しいです。そしてあとがきには
NOT DOING,BUT BEINGー何もしない、でも傍に居る
と書いてありました。友達のお話を聞いても自分は何もできないと思うことが度々ありますが、こういう考え方がいいのかなと思いました。
2023-4-7(金) 図書館資料 請求番号:913/B/タカ