劇団ひとりさく「陰日向に咲く」を読みました。劇団ひとりさんは芸人でよくテレビに出演されています。芸人としての劇団ひとりさんはとても面白くて、あんなに上手に別人を演じられるなと感心していました。全然違う人を演じられるので、きっと演じる時にはその人の育ってきた背景などもすべて考えて設定してから演じておられるのだろうなと思っていました。そしてこの本を読んで、やはり私の考えが当たっていたと思いました。本当に才能豊かな方です。私小説の語り口は劇団ひとりさんの芸のように見えて、目の前に主人公になりきったひとりさんがいてテレビを見ているようでした。短編が5作収められていますが、微妙に共通した人物や場面があって、短編ではなく、オムニバスの映画を見ている感じがしました。そして読んだ後、私の好きな「切ないけれども切なすぎない」ちょうどよい切なさで胸にじーんときました。2作目も読んでみたいと思いました。
お気に入り度:★★★★★ 図書館資料 請求番号:913/ゲキ