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Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

羊と鋼の森ー宮下奈都

2025-05-15 10:36:04 | 

宮下奈都作「羊と鋼の森」を読みました。主人公は高校2年生の時、ピアノの調律に出合います。グランドピアノの蓋をあけて調律されるのを見て、深い森を感じました。ピアノの中にあるハンマーはフェルトでできていて、弦をたたいて音を出します。上質な羊の毛からは上質なフェルトが作られ、上質な音を奏でます。この本を読んで初めて調律する人によって明るい音や響く音など変えられるというのを知りました。私は1年に1度ピアノの調律をしてもらっていますが、狂った分を正常に直してもらうだけと思っていました。誰がしても正確な音に合わせるだけのものと思っていました。調律師は依頼主のピアノの技術や希望の音色によって、その人にピッタリの調整をします。音に耳を澄ませて、鋼でできたピアノの調律の森を深く分け入ります。青年の成長過程がつづられます。鋼と森とはとてもかけ離れていると思いましたが、鋼の中に澄んだ音、切れのいい音、優しい音など音の森が広がります。私もそんな森で優雅にピアノを奏でたいなあと思いますが、せいぜい木、もしくは林どまりでしょう。ピアニストと調律師によって美しい音色や美しい曲が作られるのだと初めて知りました。調律師のお話は今まで知らなかったので興味深かったです。

2025-5-16(金) 図書館資料 請求番号:913/B/ミヤ

gooブログサービス終了のためブログを引越しました。これ以降はAmebaブログに掲載します。今までつたないブログを読んでいただきありがとうございました。新しいブログはこちら「Seraの本棚」です。これからもどうぞよろしくお願いします。

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仙人の桜、俗人の桜ー赤瀬川原平作

2025-05-11 11:20:27 | 

「仙人の桜、俗人の桜」赤瀬川原平作を読みました。ちょうど桜の季節の終わるころにこの本と出合いました。赤瀬川原平さんは取材で全国を回っておられます。そこで気づきがあったことを書かれています。仙人の仙は人偏に山と書くから山に住み、俗人の俗は人偏に谷と書くから谷に住む。桜も仙人の桜と俗人の桜があり、はっきりと違いがあります。奈良県の吉野桜、仙人の桜(山桜)を見に行かれて、「~向こうから見せられるというより、こちらからその美しさを見つけることで、その見つける喜びを味わわせてくれる」と書かれています。俗人の桜では「~染井吉野の場合はさあどうぞ、ここですよといって、パッと光るネオンみたいに、向こうからサービスしてくれる桜ではないだろうか」と書かれています。また、俗世間の代表みたいな造幣局の八重桜を見て「~八重桜がお花見用としていま1つ人気がないのはその丈夫そうなところがあるらしい。桜というのはひらひらとした散るはかなさがいいわけで、筍とか、冷奴とか、澄まし汁とかと同じく、日本人のあっさり好みのあらわれだ」と書かれています。このように読んでみると面白いなあと思いますが、教えてもらわないと気付かなかったことです。桜の他にもお酒のことや美味しいお料理のことなども書かれています。また、今の世の中は味わうよりわかりたがるとも書かれています。読んで、あるいは教えてもらって理解して、味わうことが少なくなっているそうです。先ず十分に味わうことが先決だと思いました。全国各地のことが書かれていて面白かったです。

2025-5-11(日) 図書館資料 請求番号:915.6/ア

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将棋指しの腹のうちー先崎学作

2025-04-25 20:59:39 | 

「将棋指しの腹のうち」先崎学作を読みました。私の知らない将棋の世界のことが色々書かれていて面白かったです。「勝負メシ」「将棋メシ」は何かと最近は注目を浴びていますし、ミーハーな私も将棋はわからないのに、勝負メシのニュースは気を付けて観ています。この本は第一局から第七局まで書かれていて、東京の棋士がよく行かれる食べ物屋さんの題名が付いています。

  • 第一局【みろく庵】ー古き良き風情を残す居酒屋兼そば屋(2019年3月閉店)
  • 第二局【ほそ島や】ー将棋指しにとっての社員食堂
  • 第三局【代々木の店】ー鈴木大介くん人生最高の夜である
  • 第四局【チャコあやみや】ー1kgのステーキを焼いてもらって4人でシェアして食べる
  • 第五局【焼肉青山外苑】ー高級焼き肉店に若者が30人行く
  • 第六局【きばいやんせ】ーとにもかくにも祝勝会
  • 第七局【ふじもと】ー「それじゃ君、鰻でも食いに行くか」

お酒の席でのお話や将棋界ならではの慣習など初めて知るお話もありました。先輩にご馳走になりたいとき、先輩の特徴をよく理解して話を進めます。例えば米長先生にはみえみえなお世辞が効果あったそうです。単純なのだと書いてあります。勝浦先生は露骨に言うと逆効果になってしまうので、シブく褒めるのが良かったそうです。この辺りは世間と変わりませんね。親子関係でも使えそうです。
「あ、わたくすはですね、二千円のうなずーとですね、肝吸いをお願いします」
このセリフを聞いただけでどなたが仰ったのかわかりました。最近はテレビではお見受けしませんが、お元気でお過ごしなのでしょうか?たまにはテレビ出演もしてほしいです。皆さんもご存知でしょうね?加藤一二三九段です。面白いエッセイで気楽に読めました。

2025-4-25(金) 図書館資料 請求番号:796.0/セ

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幾世の鈴(あきない世傳金と銀特別巻下)ー高田郁作

2025-04-22 11:32:00 | 

去年11月に図書館に予約した本がやっと回ってきました。「あきない世傳金と銀特別巻下」の「幾世の鈴」です。特別巻下らしく今まで登場した人物のその後が描かれて完結しました。五鈴屋大坂本店、五鈴屋高島店をどのようにしていくのがいいのかと8代目店主周助は思い悩みます。7代目智蔵の隠し子まで現れました。9代目の店主には賢輔(治兵衛の一人息子で江戸本店の手代)にと決めています。賢輔は五鈴屋4代目5代目6代目と結婚した幸と結婚することも決まっています。代替わりをスムーズに行えるよう知恵を絞り、代替わりした後の自分の行く末も考えました。菊栄のその後も書かれています。女性が店主として生きてゆくのが難しい時代、いえ、現代でも難しいと思いますが、知恵を絞って逞しく生きていくさまがあっぱれです。幸の妹結の家族のことも書かれています。2人の娘に恵まれて、幼い頃の幸と結のことを思い出し、姉への妬みなどが薄れていきました。最後は9代目賢輔と幸。人生、次から次からいろいろなことがありますが、五鈴屋の次の100年へ向けて明るい兆しを感じることができました。
こちらのシリーズで「買うての幸い、売っての幸せ」「縁と月日」などたくさんのしあわせにつながる言葉を教えてもらいました。最後は次の100年という壮大な希望、空を仰ぎ見るような気持で終わりました。とても面白かった本がついに終わりました。

2025-4-22(火) 図書館資料 請求番号:913/B/タカ

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