「名画を見る眼」の方はルネサンス期から19世紀中葉マネまでの代表的な作品について書かれています。ちょっと説明を読むだけで名画に興味を持ったり、そういう意味だったのかと納得できました。今までは絵なので好きなように鑑賞すればいいかと思っていましたが、好きな絵にしてもどこが気に入っていたのかがわかってこの本を読んで良かったと思いました。絵が掲載されていますが、白黒で小さいのでわかりにくいです。最近はすぐにスマホで検索してカラーで観られるので嬉しいです。拡大したりしながら読み進みました。
- ファン・アイク「アルノルフィエ夫妻の肖像」ー徹底した写実主義ー
- ボッティチェルリ「春」ー神話的幻想の装飾美ー
- レオナルド「聖アンナと聖母子」ー天上の微笑ー
- ラファエルロ「小椅子の聖母」ー完璧な構成ー
- デューラー「メレンコリア・I.」ー光と闇の世界ー
- ベラスケス「宮廷の待女たち」ー筆触の魔術ー
- レンブラント「フローラ」ー明暗のなかの女神ー
- プーサン「サビエの女たちの掠奪」ーダイナミックな群像ー
- フェルメール「画家のアトリエ」ー象徴的室内空間ー
- ワトー「愛の島の巡礼」ー描かれた演劇世界ー
- ゴヤ「裸体のマハ」ー夢と現実の官能美ー
- ドラクロワ「アルジェの女たち」ー輝く色彩ー
- ターナー「国会議事堂の火災」ー火と水と空気ー
- クールベ「アトリエ」ー社会のなかの芸術家ー
- マネ「オランピア」ー近代への序曲ー
「続名画を見る眼」の方は印象派からフォーヴィスム、キュビスムを経て抽象絵画にいたる近代絵画の巨匠14人の作品について書かれています。
- モネ「パラソルをさす女」ー光への渇望ー
- ルノワール「ピアノの前の少女たち」ー色彩のハーモニーー
- セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」ー造形のドラマー
- ヴァン・ゴッホ「アルルの寝室」ー不気味な内面世界ー
- ゴーガン「イオ・オラナ・マリア」ー異国的幻想ー
- スーラ―「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」ー静謐な詩情ー
- ロートレック「ムーラン・ルージュのポスター」ー世紀末の哀愁ー
- ルソー「眠るジプシー女」ー素朴派の夢ー
- ムンク「叫び」ー不安と恐れー
- マティス「大きな赤い室内」ー単純化された色面ー
- ピカソ「アヴィニョンの娘たち」ーキュビスムの誕生ー
- シャガール「私と村」ー回想の芸術ー
- カンディンスキー「印象・第3番」ー抽象絵画への道ー
- モンドリアン「ブロードウェイ・ブギウギ」ー大都会の造形詩ー
こちらの方は知っている絵や好きな絵が多かったので面白かったです。ゴッホの絵、ゴーガンの絵、スーラ―の絵など解説を読んで益々好きになりました。また今までルソーの「眠るジプシー女」の絵は意味がわからないと思って観ていたのですが、「描かれた詩であり、ライオンと河は眠る女の夢に出てくるものであろう」と書かれていたのでそういう意味かとやっと分かりました。「キュビスム」という言葉は今まで読んだ本にも何回も出てきましたが、もう一つ理解できませんでした。キュビスムは嫌いだと思ったくらいです。キュビスムはキューブ(立方体)から来ていて、視点の複数化ということらしいです。ちょっとはキュビスムの毛嫌いがなくなりました。
今夜(27日早朝)はパリオリンピックの開会式があります。この本に出てきた人生をかけた芸術家をリスペクトしながら、開会式を、セーヌ川の景色を、船で行進する選手たちを見届けたいと思います。フランスTGVのあちこちでテロのような事件があったようですが、パリオリンピックの開会式が成功しますように心から祈ります。
2024-7-26(金) 図書館資料 請求番号:723/ター1、ター2