宮下奈都作「羊と鋼の森」を読みました。主人公は高校2年生の時、ピアノの調律に出合います。グランドピアノの蓋をあけて調律されるのを見て、深い森を感じました。ピアノの中にあるハンマーはフェルトでできていて、弦をたたいて音を出します。上質な羊の毛からは上質なフェルトが作られ、上質な音を奏でます。この本を読んで初めて調律する人によって明るい音や響く音など変えられるというのを知りました。私は1年に1度ピアノの調律をしてもらっていますが、狂った分を正常に直してもらうだけと思っていました。誰がしても正確な音に合わせるだけのものと思っていました。調律師は依頼主のピアノの技術や希望の音色によって、その人にピッタリの調整をします。音に耳を澄ませて、鋼でできたピアノの調律の森を深く分け入ります。青年の成長過程がつづられます。鋼と森とはとてもかけ離れていると思いましたが、鋼の中に澄んだ音、切れのいい音、優しい音など音の森が広がります。私もそんな森で優雅にピアノを奏でたいなあと思いますが、せいぜい木、もしくは林どまりでしょう。ピアニストと調律師によって美しい音色や美しい曲が作られるのだと初めて知りました。調律師のお話は今まで知らなかったので興味深かったです。
2025-5-16(金) 図書館資料 請求番号:913/B/ミヤ
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