労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

石原東京都知事、逃亡す

2008-11-20 22:28:46 | Weblog
 新東京銀行への資本導入をめぐる問題で、国会から参考人招致を求められていた、石原東京都知事が、「公務」(?!)を理由に国会招致を断ったそうである。

 それで石原東京都知事はこの腐った銀行(新東京銀行)をどうするつもりなのか?

 この銀行には今春、都の税金400億円が資本注入されたばかりである。

 この時、石原都知事は、都議会で400億円の資本注入を行えばこの腐った銀行(新東京銀行)を立ち直らせることができると大見得をきったのだが、その後の融資をめぐる数々の不正やら、公明党議員による融資の口利き疑惑やら、その膿(う)んだ体質がつぎつぎにさらけ出され、さらには、現在の金融危機の中で再度経営危機に陥って、今度は国に資本注入を求めている。

 これは一体どういうことなのか?石原都知事はこの腐った銀行をどうしたいのか?どうするつもりなのか?こういったことに答えることこそが、現在、石原東京都知事が行うべき最重要の「公務」であろう。

 われわれはこの問題は重要であると考えている。というのは、現在の既成政党全部、すなわち、自民党から共産党までが銀行の貸し渋りに反対して、中小企業に対する融資条件を緩和するように主張しているからだ。

 資本力のない、中小の資本は融資しなければ倒産するというのは真実である。しかし、返済能力を無視してこれらの弱小の資本に融資するということは、諸銀行の「新東京銀行化」をもたらすことにならないか。

 縁故融資や融資の手数料を取る銀行員、融資の口利きによって利権をむさぼる政治家、果てしのない銀行の財務内容の悪化、どうせ経営に行き詰まれば税金でおぎなえばいいと言う安易な“お役所意識”、こういったモラルハザードをどうするのかという問題を「新東京銀行」は突きつけているからである。

 そういう点では、銀行への政治の介入・支援という国家資本主義(スターリン主義者や社会民主主義者のいう“社会主義”)は決して両手放しで歓迎されるものではない。

 歴史的に見ても、国家資本主義(国家と資本主義の癒着もしくは資本主義の国家的統制)は経済の停滞と社会の腐敗を随伴物としてきた。

 だからこそ、北欧の福祉国家なり、“社会主義”(旧ソ連や東欧の体制)なり、日本の“革新自治体”なりは「新自由主義」に取って代わられたのである

 もちろん、「新自由主義」は完全に国家資本主義を否定するものではないが、国家資本主義がもたらした「経済の停滞と社会の腐敗」に対する抗議という点では、一定の積極的な意義をもっていたのである。(もちろん、その積極的意義というのは、資本主義的発展という歴史的に制限された観点でしかないが・・・)

 そういう点で、単に、昔にもどればいいという話ではないのである。
 

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