労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

今度はアフリカから

2008-11-02 02:25:00 | Weblog
 かつて世界資本主義と呼ばれた、アメリカ資本主義を極とする体制は、今回の世界的な経済危機の中で、いくつかのパーツに分解しようとしている。

 それを今回はアフリカ、特にコンゴ民主共和国の問題を考えることによって考えてみたい。

 コンゴ民主共和国は現在、内戦の前夜にある。

 話し始めると長くなるので、直近の歴史からしか始められないが、この国は97年以来、アフリカの多くの国を巻き込む内戦が続いていた。

 現カビラ大統領の父親が暗殺され、その息子が政権の座についたときに、カビラが最初にしたことは、アメリカに行き、誕生したばかりのブッシュに忠誠を誓い、内戦集結の“嘆願”をすることだった。

 カビラ大統領の“嘆願”が聞き入れられたかどうかは定かではないが、その後、コンゴの内戦はアメリカを中心とする英米諸国の“仲介”によって、一時的に終息していった。

 それが、今、再燃しようとしているのは、アメリカの和平案を“ヨーロッパ派”(特に、イギリスとフランス)が気に入らなかったからである。

 つまり、アメリカの和平案の眼目はカビラ政権を丸ごと取り込み、地下資源の豊富なコンゴを帝国主義諸国の共同“植民地”とすることにあったが、これはそれまでコンゴの反政府勢力を支援してカビラ政権に敵対してきた欧米諸国の大きな方針転換であった。

 それがブッシュ政権の終末とともに、イギリスとフランスは再度、方向転換をして、反政府勢力にコンゴ東部の中心地ゴマを占領させて、再度、コンゴ分割に乗り出そうとしているのである。

 つまり、世界のアメリカ派とヨーロッパ派の分裂は、世界の勢力範囲の暴力的な再編成をともなうものであることが次第に明らかになりつつある。

 イギリスとフランスを中心とするヨーロッパ派が、アメリカのアフリカ政策に反対しはじめたのは、アメリカの勢力圏内では“自由競争”が一般的に行われ、一次産品や地下資源の利権がより高い金を出す国によって落札されるからである。

 このアメリカの自由入札制によって、漁夫の利を得たのは資金力が豊富な中国資本主義であり、この間、中国資本主義は札束にものをいわせてアフリカの資源を買いあさっていた。

 これは“旧植民地宗主国”の特権を生かして、安い価格でアフリカの一次産品や地下資源を買いたたいていたヨーロッパ派の経済的な地位をおびやかすものである。

 だから、ヨーロッパ派の隠された本当の意図はアフリカから中国資本主義を排除することにある。もちろん、この過程はイギリスやフランスを中心とするヨーロッパ派によるアフリカの資源の独占化、つまり、アフリカの再植民地化を意味する。

 先日も、日本における代表的なヨーロッパ派である「報道ステーション」がガポンにおける中国資本主義の“侵略”を攻撃する特集をやっていたが、これは単に、ガポンだけではなく、アフリカ全体の問題になりつつある。

 実際、コンゴにおける反政府勢力は“蜂起”の理由として、コンゴのカビラ政権が中国に対して30億ドルでレアメタルの採掘権を認めたことをあげている。

 この問題、コンゴの反政府勢力にルアンダがつき、コンゴ政府がアンゴラ政府に救援を求め、さらにイギリスとフランスが直接介入を画策し始めたことから、大きな国際紛争になる可能性をもっている。

 脅威の中心になっているゴマの住民は現地に滞在している、国連の平和維持軍が反政府派の住民襲撃を逃しているとデモを行い、危機がさしせまったゴマからすでに避難を開始している。

 ここで誤解がないように断っておきたいが、われわれは日本共産党全体がヨーロッパ派であるとは思っていないし、そのようにも言っていない。

 われわれは共産党内のヨーロッパ派を日本共産党『赤旗派』と呼んでいることをお忘れなく。もっと正確に言えば、かつて『新日和見主義』と呼ばれ、今では悔い改めて、『赤旗』を中心に活動している人々であり、ヨーロッパのブルジョア民主主義に深く帰依している人々のことである。

 そのヨーロッパが今回の経済危機の中で帝国主義政治へと回帰していくなかで、共産党中央と『赤旗派』の確執の先鋭化は避けられそうもない。これはよその党のことだからわれわれがとやかく言う問題ではないが、われわれがはっきりといいうるのは、日本の労働者階級はアフリカ人民の変わることのない友であり、アフリカの人々を自分たちの利権のために戦渦に巻き込もうとする勢力とは断固として闘うということである。  

最新の画像もっと見る