労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

今のままでいいわけがない

2010-10-11 00:56:02 | Weblog
 NHKが派遣労働者を対象にした大規模な調査を行い、派遣労働者の半数が派遣労働の規制に反対しているという結果を公表している。

 確かに、ブルジョアが言うように、『日本経済新聞』がいうように、NHKがいうように、派遣労働者の受け皿をつくらないまま、派遣労働を禁止すれば、現在派遣の仕事をしている多くの労働者は職を失うことになるであろう。

 しかし、このことは、ブルジョアが言うように、『日本経済新聞』がいうように、NHKがいうように、今のままでいいということを絶対に意味しない。

 それは我々が言うように、派遣労働の問題はたんに派遣労働の問題ではなく、労働者階級の総体的な窮乏化の原因ではなく結果であり、日本の労働者階級の“所得”が漸減的に下落して、その下層部分が人間として生活しうる最低水準にまで落ちこんでしまい、その最低部分に派遣労働者に代表される非正規雇用の労働者が密集して、それが年々肥大化していることが問題なのである。

 日本の所得分布にそびえ立つ“二つのエベレスト”(年収200万円以下の非正規労働者の大群と年収300万円以下の一般労働者)は今では社会の“多数派”と呼んでも過言ではないにもかかわらず、政治的には“無”であり、その階級的な利益はどの党派によっても守られていない。

 それどころか、もの言わぬ彼らはブルジョアとその国家によって新たな収奪の対象にされようとしている。

 しかし、財政再建のための消費税導入にせよ、政策的なインフレによる実質的賃金の目減りにせよ、最低の水準にまで落ちこんでいる現在の“所得”をさらに引き下げることは彼らの生活の維持そのものを困難に至らしめる。

 何度も言う、自らが支配する階級を扶養できない支配階級は歴史の表舞台から去らなければならない。これは鉄の必然性である。

 そういう点では、日本は人類史上の偉大な飛躍点をめがけて、一路まい進しているのである。