労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

かたやアメリカとベネズエラ、かたや日本と北朝鮮

2006-11-04 20:59:05 | Weblog
 国連安保理の非常任理事会の改選をめぐって、えんえんと悪態をこき合っていたアメリカとベネズエラがとうとうパナマを統一候補として押すことで合意し、ひとまずの決着を見た。
 
 最初は、アメリカとベネズエラの対決を興味深く見守っていた他の国も、顔を合わせれば口汚く罵(ののし)りあう2国にうんざり気味で、この決着を率直に歓迎している。
 
 そうかと思うと、今度は六ヵ国協議をめぐり、日本と北朝鮮が激しくのの知り合いをはじめている。どこの地域にでも他国の迷惑をかえりみずにケンカをしたがるバカ国家は存在するらしい。
 
 北朝鮮政府が六ヵ国協議から、日本をはずそうと画策してくるのは、安倍晋三政権はどうか知らないが、われわれが予測していたことである。
 
 北朝鮮政府にすれば、日本政府は六ヵ国のなかで一番うっとうしい国であることには違いはなく、そのように思っているからこそ、これまで北朝鮮政府は日本政府の言動については沈黙を守ってきたのである。
 
 北朝鮮がその沈黙を破って本音を語り出したのは、北朝鮮政府が、この六ヵ国協議で何らかの妥協策を真剣に模索しているからで、北朝鮮政府にとってどのような妥協にも応じるつもりのない日本政府の存在は単なる会議の妨害物でしかない。
 
 そして問題は、北朝鮮政府に対してある程度妥協に応じながら、北朝鮮政府に核開発を断念させようと考えている国が三カ国(中国、韓国、ロシア)もあることであり、アメリカは中間選挙の結果待ちであるからだ。
 
 アメリカの中間選挙で共和党が敗北すれば、妥協派三カ国にアメリカが加わり、客観的に見ても六ヵ国会議の妨害物でしかない日本は六ヵ国会議から本当に閉め出される可能性も出てくる。
 
 そしてこの六ヵ国協議が、北東アジアの安全保障の枠組みについて話し合う場であるとすれば、そこから閉め出されるということは、日本がアジアで決定的に孤立するということでもあり、その結果は破滅的である。
 
 北朝鮮政府の日本排除案を、日本の政府とマスコミは非現実的と見ているが、これは日本政府とマスコミが考えているより、非現実的な案ではない。
 
 そもそも日本政府、すなわち安倍晋三政権がこの間行ってきたことそのものが問われる時期がやってきたのである。
 
 われわれは、この間、安倍晋三政権に拉致問題や核実験を口実に北朝鮮と戦争がしたいのか、それともこれらの問題を解決するために北朝鮮政府と話し合いがしたいと考えているのか、と問いかけ続けてきた。そして、日本に戦争を遂行する能力がないかぎり、後者を選ぶしかないのであって、話し合いには話し合いのやり方があるのではないかと主張し続けてきた。
 
 そういう点で、われわれは何度も何度も国交断絶と最後通告に等しい包括的な経済制裁は一切の日朝間の協議を拒否すると宣言するものだからダメだと言い続けてきた。
 
 そして、実施された日本の包括的な経済制裁は北朝鮮政府に日本排除の口実を与えただけである。
 
 話し合う意志のないものとの話し合いは無意味であろう。北朝鮮政府は日本政府に包括的な経済制裁案を解除してほしいなどとはまったく思ってはいないのだから、北朝鮮政府が日本政府に何らかの譲歩をすることもありえない。
 
 また拉致問題についても、それは基本的に、日本政府と北朝鮮政府との間の二国間の問題であって、日本政府自身が解決の道を放棄している問題を日本政府が持ちだして、拉致問題ゆえに北朝鮮政府を経済的に追いつめ、破滅させなければならないなどいうのは、六ヵ国協議の意義自体を否定するものにほかならない。
 
 お互いに殺し合いをやりたいと思っている者が同席しては話し合いが進まないということであれば、誰かが退席しなければならないし、誰が退席するかはもう決まっている。