秋の運転

秋は、私の運転にとって一番危険な時期である。芸術の秋、食欲の秋、読書の秋、運動の秋・・・。今日の私の車の中の様子を少しのぞいてみよう。

まず、家から出て大きな道を走る。右側に教会。その周りに、色とりどりの木々。まずそれに見とれる（危険度１）。正面には雪をかぶった高い山が勇壮にそびえたつ。また見とれる（危険度２）。右折する。両側に赤、橙、黄と一段と紅葉している木々。またまた、見とれる。スピードが落ち、後ろの車が近づいている（危険度２）。ハイウェイに乗る。少し落ち着いた。心を乱されるものがないため、いつの間にかスピードメーターもすべりが良い（危険度３）。

カリグラフィーのおけいこが、お昼に終わった。ハイウェイに乗る。小腹がすいた。夫と子どものお弁当を作るついでに私のサンドイッチも作っておいた。それをつまむ（危険度４）。朝飲んだコーヒーがマグカップに残っている。それも飲む（危険度４）。車内で昼食を済ませ、スポーツジムへ。５００メートルほど泳いで、身体がほかほかに。気持ちがいい。のどが渇いた。ミネラルウオーターを飲む（危険度３）。赤信号になった。聴いているＣＤが飽きた。「竹内まりや」に代えた（危険度３）。まだ時間がある。読みかけの本が気になる。ちらりと開く（危険度３）。青信号に変わった。本を助手席にうち投げ、ハンドルに手を掛ける。ハンドルがぐらつき、隣の車にクラクションを鳴らされた（危険度５）。

どうにか無事に家にたどり着いた。秋は私の心と身体をかき乱す。その結果、運転の危険度もアップするというわけなのだ。「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」しょうもない私なのであった。