本当に一瞬だったけど、くもりぞらがやってきて、
ちらちらと、雪虫のようなちいさな白い雪が舞った。
今日はいつもより寒かった。
外に出ると手がかじかんだ。それも雪の気配だったのかもしれない。
外に出ることは私にとってかなりハードルが高いことで、
今日もお昼までうだうだして自己嫌悪に陥っていた。
だけど、ゆきが降ったから。じんわりと胸が熱くなった。
「ゆきが降るとあったかくなる」
私は東北の生まれで、毎年ゆきを見てた
そんなこと思ってた、ちいさなころから。
ゆきが降るまでは寒いのだけれど、なぜか、ゆきを見ると
あったかいような気がするんだよなあ、
この一週間、結構がんばることができた。
外に出ないと気分が沈んでいく一方なので、
一日一回は外に出るようにがんばった。
頑張ってスーパーに行ったときには、野鳥のカレンダーをもらった
夕飯もお弁当も、毎日はできなかったけど、なんとかすることができた
野菜がなくて、雨が降っていたけど八百屋さんまで行くと
おばちゃんが大根を二本おまけしてくれた
いろんなことが、まるでごほうびみたいに降りそそいだ。
外に出るといろんなものが目に入ってくる。
それらにはっとすると、持っている携帯で写真を撮ってしまう
歩いているときにはいつもイヤホンで音楽をきいている
すると歩くのが楽しくなって、もっとずっと歩いていたくなる
いい曲を再発見して、まだきいていたくてすこし遠回りする。
と、また新しい景色に出会ったりしてはっとする。
そんなことが、私はなりより嬉しいんだとおもう。