これを聴かなきゃ園田~日本のクイーン・オブ・ソウル編②

2015年07月15日 | 日記

 

そしてもう一枚は吉田美奈子さんの「フラッパー」。

とにかく最初聴いた時、

そのあまりのクオリティーの高さに度肝を抜かれました!

というか、未だにこれを超えるポップ作品に

出会えてないのかもしれません。

最高な時代に、最高なミュージシャンが集まった、

言葉に出来ない結晶のようなアルバムなんだ。

またこれは日本のミュージシャンが世界に近づいた

記念碑的な作品だとも言えます。

このアルバム聴くと、何故かいつもアレサ・フランクリンの

Young, Gifted and Black」を思い出すんだ。

バンドセットをティパン・アレー、村上"ポンタ”秀一率いる

当時の五輪真弓バンドと、

二組に分けたサウンドプロダクションがとにかく見事。

この時期はニューソウルの影響が日本にも飛び火してて、

オーケストレーションやリズムアレンジの妙が随所に聴けます。

そのサウンドの多様性も吉田美奈子の歌唱力あってこそで、

ファンキーな曲からキュートな曲まで、

吉田美奈子の作品中もっともポップで

質の高いアルバムだと思います。

うちの姉も吉田美奈子が大好きでね、

ローラ・ニーロ聴かせた時のショックはさすがに隠せませんでしたが(笑)

いやいや、美奈子はローラとはまた全然別物ですからね。

日本の場合、何かとローラーニーロを彷彿させる!

なんて引き合いに出して、物書きが逃げる傾向がありますが、

それは安易でちょっと情けない。

オープニング「愛は彼方」から、もういきなり来ます!

山下達郎さんのあの声が飛び込んで来た瞬間

凄いです。この辺の人達の声の存在感というのが。

「朝は君に」はダニー・ハザウェイやマーヴィン・ゲイを

あからさまに意識したアレンジで攻めてて、

後のオリジナルラヴの原型がここで聴けます。

他にも矢野アッコちゃん、細野さん、大瀧詠一さんの曲を

完璧な美奈子ワールドで展開しています。

大瀧さんの「夢で逢えたら」はたくさんの人にカバーされてますが、

もう美奈子バージョンは別格スペシャルなのです!

特に後半部のハミング!

恐ろしくも美しい倍音が、夜空に歪み響き渡っていて、

まるでこの世の物とは思えない。

完全に音楽なんか超えちゃってて、

聴く度に固まっちゃいます。

ひばりさんやサムと同じ領域ですね、この魂喉は。

そして「チョッカイ」ですかね。

こんな重いビート日本人が叩けるんだ!

という衝撃でして、そのムチャ~とした、

オドロオドロしいバックビートの気持ち良さったらない。

まるでウネウネと絡み付く毒蛇のよう。

日本で1 番仕事したドラマーと言われてる、

村上"ポンタ”秀一のプレイなのですが、

僕の周りにはポンタ好きが非常に多い。

僕はフュージョン寄りの彼のプレイよりは

断然こっちのロックっぽい演奏が好きなのですが、

よく友達にダメ出しされちゃう。。はは。

一方ティンパンの方は相変わらずスカしてると言いますか(笑)

大人の余裕というか、クールに決めてる。

「かたおもい」や「ラムはお好き?」がそうなんですが、

ティンパンならではのリズムアプローチが楽しく、

いつでも遊び心を忘れない、素晴らしい演奏なんですね。

 

 

ですが、個人的に美奈子の愛着盤は「フラッパー」ではなく、

実はこのデビューアルバム「冬の扉」なんですね。

この物憂げな美奈子の表情ままの

音楽がそこには描かれてて、

部屋でじっと独りで聴く音世界なのです。

フラッパーほどの華やかさはないにせよ、

じわじわと身体に染み入るような曲や歌声、

演奏でありまして、

とにかくよく夢中で聴いたね。

日本でもシンガーソングライターという流行もあったけど、

これはものすごいインパクトがありました。

使い古された言葉ですが、孤高としか言いようがないのです。

僕は派手なティンパン・アレー作品より、

どちらかと言えば4人編成のキャラメル・ママが大好きで

荒井由美の初期三部作同様、

とにかくこの辺りの音がたまらなく好きです。

歌謡曲は特にそうですが、

日本のポップスのゆくえが心配になります。

特にこういう“凛“とした作品聴くとね。

 


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