僕とテレサ

2018年04月25日 | 日記
 
         




テレサテンが、

正確にはテレサの歌が嫌いだった時期があった。

あのいわゆるテレサが"不倫ソングの女王"だった頃の話。

時代が時代だとはいえ、やれ不倫は文化だとか、

とにかく世の中は歌もドラマも、そういう世界に上手く便乗してた。

テレサのデビューは、70年代初めから始まった外国人歌手ブーム時で、

欧陽菲菲やアグネスチャン等と混ざって、

どやどやと登場した感じだった。

イメージ的にはド派手な欧陽菲菲、可愛らしいアグネスチャン、

テレサはどちかと言えば地味な印象な歌手だった。

しかし、それが80年代に入ると、テレサは見事に化けた。

時代と共に化けたのだった。

純朴なイメージがあったテレサはどちかと言えば好きだったんだけど、

この一連の不倫ソングが嫌いだった。

テレサがどうこう以前に作詞家に嫌悪感を抱いた。

なんちゅー歌テレサに歌わせてんねん !みたいな。

でもこの嫌悪感の理由には、実は当時付き合ってた彼女にも原因があった。

はは、こんな話していいんかい。

当時お付き合いしてた娘が夜おアルバイト始めちゃって、

当時はカラオケのクオリティーがもの凄く上がった時期で、

その店は連夜たくさんの客で賑わってた。

でだな、

彼女の仕事としてはだな、

カラオケを客と歌うというのも含まれてるわけで、

よくステージで客と歌わされてた。

そうそう、当時は恐ろしいことにステージに上がり、

カラオケをお客さん全員の前で歌うというシステムだった。

どこもかしこもカラオケは。

で、その時よく彼女が歌わされてた(あくまでも)曲が、

例のテレサの不倫ソングだったわけだ。

♪優し過ぎたのあなた〜♪つーて。

♪明日は他人同士になる二人♪つーて。

いや、単純に、

なんでお前が俺の好きな娘と馴れ馴れしく歌ってんだよ!

なんて嫉妬心のようなものがあったかもしんない。

理由はどうあれ、

それからテレサの一連のこの辺の歌が嫌いになったのだ。

もちろんテレサ自身に罪はない。

しかし不思議なもので、あんなに毛嫌いしてたこの辺の曲が、

最近妙にいい感じに沁み入るんですな。

当時はそういう世界が大っ嫌いな若者であったんだけど、

今なら曲書く人間として、

その辺りの曲もゆっくり聞き込む事が出来るようになった。

今ならプロの仕事として作詞家 作曲家の素晴らしさがわかるんだ。

特に「時の流れに身をまかせ」の

♪だからお願いそばに置いてね♪

の歌詞とメロディーのハマり具合ったらない。

匹敵するのは聖子ちゃんの「赤いスイトーピー」

ぐらいしか思いつかないぐらい。

そしてやっぱりテレサの柔らかい歌唱だよね。

不倫ソングというのは向こうのソウルミュージックにも多いのですが、

テレサのそれはちょっと違う。

純朴で弱々しいテレサが歌うから、

この世界観が成り立ってる…。

これはテレサ以外の歌手ならこうはならない。

♪だからお願いそばに置いてね♪なんて、

やはり小柳ルミ子や欧陽菲菲じゃこうはならない(しつれい笑)

渡辺真知子や大橋純子のような、

歌力がある人達でももちろん不可能だったと思う。

やっぱテレサのこの柔らかさじゃないと、

きっと同性から共感を得なかっただろう。

しかしやはり、

荒木とよひさ・三木たかしの仕事は、

ユーミンに負けぬほどの策士ぶりですな。。

おじさん二人が夜な夜なこういう歌世界を、

作り上げてると思うと怖い気もしますが、

この二人じゃなかったら、

テレサの再ブレイクもなかったかのかもしれません。


そういや昔WALTZのMr.T.Kが「ホテル」というどうしようもない、

救いようのない不倫ソングよく歌ってた。

♪一度でいいからあなたの肌に爪を立てたい♪

なんてホントどうしようもないオチなんだけど、

そこでこのアホは事もあろうかこぶしを効かすんよ、、、

死なしたぁーい!

つうか、ここであいつがこぶし回す度に、

決まって僕らはT.Kにピーナッツを投げつけてた♪

あいつ元気かな?

またピーナッツ投げたいなぁ♪


でもうちのお袋なんかテレサが好きで、よく一緒に歌ってた。

きっと女性は感覚的に、不倫ソングがどうのこうの以前に、

テレサの柔らかさを理解出来たのかもしれないね。

でも僕が1番テレサの歌で心に残ってる曲が、

この「私の家は山の向こう」。

テレサが関係者や家族の制止を振り切り参加した、

有名な89年の民主化支援コンサートで歌った歌だ。

か弱い女性像を演じる日本での彼女とは違い、

叫びにも近いそのリアルな歌に僕は胸を打たれた。

その感動はサムの歌った「A CHANGE IS GONNA COME」以来だった。


テレサ・テン「我的家在山的那一邊(私の家は山の向こう)」(日本語字幕あり)


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