先日のTBT協定のブログでもちょっと紹介しましたが、「Suica」は進め方を一歩間違うと導入できない可能性もありました。これは、TBT協定の政府調達に関する規定による例です。
この例に限らず、実は国際的な標準化がビジネスを妨げた事例は散見されるのです。
身近な例では、洗濯機があります。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、以前、洗濯槽と脱水槽とが別々になった二槽式の洗濯機がありました。この洗濯機は、洗濯槽で「洗い」と「すすぎ」を行ない、脱水槽で遠心力を利用して「脱水」するものです。
日本のメーカが手がけていた二槽式の洗濯機(以下、単に「洗濯機」)は、脱水槽に外蓋と内蓋とが設けられていました。脱水槽は、濡れた洗濯物を遠心力で脱水するものですから、比較的高速で回転します。そのため、ユーザが不用意に手を入れたりすると、大けがのモトにもなっています。そこで、日本製の洗濯機では、外蓋と内蓋との二段構えにすることで、外蓋を開けても内蓋が待ち構えて手を突っ込めないようになっています。そして、外蓋を開けると、ブレーキが掛かり、内蓋を開ける頃までには脱水槽の回転は安全な速度まで低下又は停止するという安全装置を備えていました。
これはこれで十分に安全性が確保されていたと思います。
日本のメーカは、国内の市場が二槽式から一槽式の全自動洗濯機へ移行しつつあったことから、二槽式の販路を海外、特に安価な製品が好まれる途上国への輸出を目指しました。
ところが、この洗濯機を海外へ輸出することはできませんでした。
ここで立ちはだかったのが「国際標準」です。国際標準では、「脱水槽の蓋は脱水運転中に開いてはいけない。」という規格になっていたのです。日本の洗濯機でも安全性の確保ができているのですが、脱水運転中に外蓋を開けることができます。
製品を輸入する国や地域によっては、国際標準の規格に合致しない製品の輸入を制限することもできます。
そのため、国際標準の規格に合致しない日本の洗濯機は、輸出が制限されてしまうというビジネス上の被害を受けてしまいました。
知らず知らずのうちに、国際的な舞台では、自国の企業などに有利となるように国際標準化の動きが進められています。国際化が拡大する一方の昨今、早めに動向を察知し、自社のビジネスが国際標準によって妨げられないように情報収集することも重要となってきています。

今時、なかなか二槽式の洗濯機のイラストはありませんね。一槽式です。
この例に限らず、実は国際的な標準化がビジネスを妨げた事例は散見されるのです。
身近な例では、洗濯機があります。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、以前、洗濯槽と脱水槽とが別々になった二槽式の洗濯機がありました。この洗濯機は、洗濯槽で「洗い」と「すすぎ」を行ない、脱水槽で遠心力を利用して「脱水」するものです。
日本のメーカが手がけていた二槽式の洗濯機(以下、単に「洗濯機」)は、脱水槽に外蓋と内蓋とが設けられていました。脱水槽は、濡れた洗濯物を遠心力で脱水するものですから、比較的高速で回転します。そのため、ユーザが不用意に手を入れたりすると、大けがのモトにもなっています。そこで、日本製の洗濯機では、外蓋と内蓋との二段構えにすることで、外蓋を開けても内蓋が待ち構えて手を突っ込めないようになっています。そして、外蓋を開けると、ブレーキが掛かり、内蓋を開ける頃までには脱水槽の回転は安全な速度まで低下又は停止するという安全装置を備えていました。
これはこれで十分に安全性が確保されていたと思います。
日本のメーカは、国内の市場が二槽式から一槽式の全自動洗濯機へ移行しつつあったことから、二槽式の販路を海外、特に安価な製品が好まれる途上国への輸出を目指しました。
ところが、この洗濯機を海外へ輸出することはできませんでした。
ここで立ちはだかったのが「国際標準」です。国際標準では、「脱水槽の蓋は脱水運転中に開いてはいけない。」という規格になっていたのです。日本の洗濯機でも安全性の確保ができているのですが、脱水運転中に外蓋を開けることができます。
製品を輸入する国や地域によっては、国際標準の規格に合致しない製品の輸入を制限することもできます。
そのため、国際標準の規格に合致しない日本の洗濯機は、輸出が制限されてしまうというビジネス上の被害を受けてしまいました。
知らず知らずのうちに、国際的な舞台では、自国の企業などに有利となるように国際標準化の動きが進められています。国際化が拡大する一方の昨今、早めに動向を察知し、自社のビジネスが国際標準によって妨げられないように情報収集することも重要となってきています。

今時、なかなか二槽式の洗濯機のイラストはありませんね。一槽式です。