OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

〔映画〕スーサイド・スクワッド

2021-01-21 09:46:26 | 映画

 
 スーパーマン、バットマン等に代表されるアメリカン・コミックの実写版です。
 
 ストーリーが荒唐無稽なのは当然ですから、作品の評価や好みは、映像の出来と登場人物の魅力に左右されます。
 その意味では、登場人物のプロットが今一つという印象でした。

 ウィル・スミスが演じる中心的主人公をはじめ登場するキャラクタ設定がかなり雑です。明確に性格付けされたキャラは「ハーレイ・クイン」ぐらいでしょう。
 正直なところ「ジョーカー」は悪役としてはとうに賞味期限切れ、マンネリでかえって興を削ぐレベルですし、「カタナ」に至っては “意味不明” ですね。ラストシーンのインパクトも中途半端でした。

 

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〔映画〕ミッドナイト・イーグル 

2021-01-20 08:26:08 | 映画

 
 想像していたような “和流サスペンス映画” です。
 
 このジャンルは洋画にもいわゆる「B級」作品が数多くありますが、邦画の場合はとりわけ見応え のあるものにお目にかかったことがありません。残念ながら、この作品もやはりそうでした。
 
 サスペンスと謳うにはプロットも単純、ストーリー展開もあっさりしています。ラスト近くのシーンもリアリティがなくセリフ回しもウェットで “わざとらしさ” が目立ってしまいましたね。

 

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悩ましい国語辞典 ―辞書編集者だけが知っていることばの深層― (神永 曉)

2021-01-19 07:59:49 | 本と雑誌

 私がよく聞いているpodcastの番組のゲストで神永曉さんが登場していて、その時のお話がなかなか面白かったので、そこで取り上げられていた著作を手に取ってみました。

 日本を代表する国語辞典の編集者である神永さんが、現代に見られる日本語のさまざまな誤用・変容の実態を取り上げ解説してくれます。

 さて、本書を読んでみての気づきですが、予想どおり、私もたくさんの間違った理解や誤った使い方をしていました。
 例えば、“君子豹変”

(p82より引用) 「君子とは、徳行のそなわった人、学識、人格ともにすぐれていて立派な人のこと。「豹変」とはヒョウの毛が季節によって抜け替わり、斑文も美しくなるということで、このヒョウの毛が抜け替わるように、君子は時代の変化に適応して自己を変革するという意だという。
 すなわち、本来の意味は、君子はあやまちを改めて善に移るのがきわめてはっきりしている、君子はすぐにあやまちを改めるという意味になる(「日本国語大辞典』)。 ところが、「豹変」は元来善い方に変わる意であったにもかかわらず、悪い方に変わるという意味が生じてしまう。

 これには驚きました。私も、すっかり“悪く変わる”との意味で理解していましたが、ここはやはり出典の「易経」に拠るべきでしょうね。

 もうひとつ、“「全然」の使い方”

(p152より引用) 「全然」は否定の言い方でなければならないという根拠は歴史的に見ると存在しないのである。
 「全然」の本来の意味は、「残るところなくすべて」という意味で、古くは後に定·否定どちらの表現も使われていたのである。

 学校では、「全然+否定形」と教わった記憶があって、正誤問題での出題の常連のように思っていたのですが、実はそれ自体、古くからの用例をみると間違っていたのですね。ちょっと意外でした。
 私が、本書で紹介された「本来の意味・用法」と異なる理解をしていたものとしては、その他にも「姑息」「にやける(若気る)」「憮然」「谷」「松竹梅」・・・、と数え上げればきりがありません。

 ただ、ここまで本来の意味や用法と異なる形で世間で常用されている“実態”があると、「正しい」ものに拘泥するのも悩ましいところですね。
 神永さんも指摘しているように、言葉も未来永劫不変というわけではなく、その使い方が変化していくことは当然ではあります。どこまで容認し、どこからは是正するか、この線引きの一端を「辞書の編纂作業」が担っているのですね。

 私たちとしては、そういった日本語の変化に“確信犯”として追随していければと思います。(ちなみに、この“確信犯”の使い方も「確信犯」です)

 

 

 

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〔映画〕北の零年

2021-01-18 14:54:57 | 映画

 
 吉永小百合さん主演の作品です。
 
 大変に手間のかかった作品だと思いますが、正直な印象としては、プロットとストーリーが今一つだったように感じました。
 
 主人公たちに降りかかる試練も少々強引でしたし、そのせいもあってか、全体として不自然でギクシャクした 演出になってしまいました。もちろん、吉永さんの存在感は健在でしたし、大後寿々花さんも清々しい姿をしっかり演じていましたが。

 

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〔映画〕殿、利息でござる!

2021-01-17 10:07:30 | 映画

 
 観るのは2度目です。
 
 史実を下敷きにした物語ということですが、和風エンターテインメントとしても十分に楽しむことができました。どこかで「どんでん返し」があるのではと構えていたのですが、それも結局はHappy End で収まって。やはりその方が圧倒的にいいですね。
 
 キャスティングもそれぞれに個性のある役者さんたちが揃い、さらには羽生結弦くんまで登場というラインナップ。これも大成功ですね。

 

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銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 (ジャレド・ダイアモンド)

2021-01-16 10:31:40 | 本と雑誌

 読もう読もうと思っていてなかなか手を付けられなかった本です。あまりに有名な著作で「何をいまさら」といった感がありますが、それでもやはり見逃せないでしょう。

 壮大なテーマを扱った著作ですが、幸いにも「プロローグ」の中に、本書での立論の要約が語られていました。

(上p35より引用) 著者というものは、分厚い著書をたったの一文で要約するように、ジャーナリストから求められる。
 本書についていえば、つぎのような要約となる ―「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」

 さて、このプロローグ以降、本論では興味深い論考がなされていくのですが、その中でもとりわけ私の関心を惹いたところを書き留めておきます。
 まずは、著者の関心の中核にある「世界の富とパワーの地域格差」の発生要因に関する考察です。ポイントは「食料生産」にありました。

(上p148より引用) 食料生産を他の地域に先んじてはじめた人びとは、他の地域の人たちより一歩先に銃器や鉄鋼製造の技術を発達させ、各種疫病に対する免疫を発達させる過程へと歩みだしたのであり、この一歩の差が、持てるものと持たざるものを誕生させ、その後の歴史における両者間の絶えざる衝突につながっているのである。

 そして、地域によって「食料生産開始時期の差」が生じた要因については、こう解説しています。

(上p231より引用) 栽培可能な野生種の分布状況は地域によって異なり、それに呼応して自然発生的に食料生産がはじまった年代も地城によって異なり、農耕に適した肥沃な地域のなかには近代になるまで食料生産が独自にはじまらなかった地域もありえた。

 世界史において大きなトピックとして、1492年コロンブスの新大陸「発見」を契機としたヨーロッパ人の進出があります。当時から新大陸の住民は旧大陸の人々よりも劣後の位置にありました。「アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。」、その要因は、「人」そのものにはありませんでした。

(下p240より引用) 食料生産をスタートするタイミング自体が遅かったこと、そして家畜化できたり栽培化できたりする野生動植物の種類が限られていたことに加えて、地理的要因や生態的要因が大きなさまたげとなって、南北アメリカ大陸では主要な発明や、技術や、作物や、家畜といったものが迅速に拡散しなかった。これに対して、東西方向に横長な陸塊であるユーラシア大陸では、緯度や生態系のちがいをまたぐことなく、さまざまなものが各地に拡散していけた。ところが、南北方向に縦長で、とりわけバナマのあたりでぎゅっとくびれている南北アメリカ大陸は、砂漠やジャングルによっても地理的に分断されていた。そのため、食料の生産に適した地域や、人が密集して生活できる地域がユーラシア大陸のように広くつづいていなかった。

 さて、本書を読み通しての感想です。
 正直、説明が重複していたり冗長であったりしているところが少々気にはなりましたが、1万3,000年に及ぶ時間のスコープにして「ひとつの大きなテーマ」を軸に俯瞰しつつも細部を詰め可能な限り数値化しながら検証していくプロセスはとても刺激的でした。
 確かに読み始めると興味が尽きない意欲的な著作ですね。

 

 

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〔映画〕去年の冬、きみと別れ

2021-01-15 07:52:26 | 映画

 
 このところの邦画でミステリーを原作としている作品は、例外なく、こういった複雑な筋書きのものですね。そういった作風でないと本としても売れないのでしょう。
 
 本作品もまさにその部類ですが、映画としてもかなり楽しめましたよ。主人公の役者さんが私にとっては全く馴染みでなかったことも良かったのだと思います。(実は有名人だったようですが)

 しかし、北村一輝さんはどんな役柄を演じても “濃い” ですねぇ。

 

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〔映画〕バルカン超特急

2021-01-14 10:47:28 | 映画

 
 1938年、アルフレッド・ヒッチコック監督の作品です。
 
 当時はこういったテイストの作品が好まれ高く評価されたのですね
 
 歴史的な意義を持つ記念作という点では、確かにしっかりとした出来なんだと思いますが、「サスペンスもの」との位置づけだとすると、今の感覚ではこの程度のストーリーの練度やスピード感では全く満足できないでしょう。

 

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赤めだか (立川 談春)

2021-01-13 12:00:32 | 本と雑誌

 著者の立川談春さんは、言わずと知れた立川談志師匠のお弟子さん、その前座時代のエピソードを綴ったエッセイです。
 談春さん本人の失敗談・苦労談はもちろん、兄弟弟子連中をネタにした取って置きの話もこれでもかと紹介されていますが、やはり期待どおりの談志師匠に纏わる話も満載です。

 その中で、(失礼ながら)ちょっと私が意外に思ったのが、談志師匠の「弟子の育成」に対する取り組み姿勢でした。

(p69より引用) 後年、酔った談志は云った。
「あのなあ、師匠なんてものは、誉めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん、と思うことがあるんだ」

 お辞儀の仕方、扇子の置き方、話始めるときの視線の向け先・・・、そして、一話ずつ、談春さんへの談志師匠の稽古はとても丁寧でした。

(p73より引用) 現在の自分がこのエピソードを振り返って感じる立川談志の凄さは、次の一点に尽きる。 
 相手の進歩に合わせながら教える。

見事なまでに“真っ当な姿勢”です。

 さらに、談春さんたち前座4人が「二ツ目」試験に合格したとき、談志師匠が彼らに語ったお祝いの台詞の一節も振るっていました。

(p202より引用) いいか、談志のところでニツ目になったということは、他のニツ目とはモノが違うんだ。それはブライドを持っていい。これからお前達は世の中へ向かって落語を語り込んでゆくんだ。決して落語だけを愛する観客達の趣味の対象になるんじゃねェ。

 ちなみに、先の「稽古」の話が後の「柳家小さん師匠」とのエピソードにつながっていきます。
 真打昇進試験を兼ねた会のゲストとして小さん師匠を招いたときでした。

(p278より引用) 「今日は何の根多を演るんだ」
 「蒟蒻問答です」 
 「そうか」
 と云うと、小さん師匠は、いきなり蒟蒻問答を演りはじめた。一席終わると、大事な部分をもう一度演ってくれる。そして最後にもう一度、頭から演ってくれた。
 心底驚いた。隣で花緑もビックリしている。まさか小さん師匠から稽古をつけてもらえるとは思わなかった。
 そしてもうひとつ驚いたことがあった。 稽古の仕方、進め方が談志とそっくりだったのである。小さんが談志に教えたものを、同じ教え方で談春は教わってたんだ。
 談春の芸には間違いなく、柳家小さんの血が流れていたんだ…。
 そう実感できたら、何故かたまらなくなった。

 わざわざ面白いネタを探さなくても、日々の前座暮らしの中に飛び切りの話題が山積していたとはいえ、それなりの文才がなければ一冊の本に整えることは一筋縄ではいかないでしょう。

 立川流を旗揚げした談志師匠の心意気と、それに心酔した談春さんたち若き弟子たちの劇画のような暮らしざまが、怒涛のごとくに伝わってくるエッセイでした。

 

 

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〔映画〕ボルケーノ

2021-01-12 15:24:36 | 映画

 
 今から20年以上前の映画です。
 
 プロットはかなり無理筋ですしパニックの幕引きも安直ではありますが、溶岩流の迫力ある映像はなかなかよく出来ていてリアリティがあります。
 また、ラスト近くのシーンでの「みんな同じ色に見える」という台詞のメッセージ性は素晴らしいものだと思います。
 
 ただ、この手のアメリカ映画で頻繁に登場する家族愛の描き方や子どもたちの無責任な行動が引き起こすマッチポンプ的なシナリオにはどうにもついていけないところがありますね。いつも残念に思うところです。

 

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〔映画〕ワンダーウーマン

2021-01-11 10:02:32 | 映画

 
 実質上の第一作目なので、イントロ的なシーンのウェイトが高くて出来としては今一つですが、まあ、こんな感じかなと思っていたスコープ内の作品です。
 
 主役のガル・ガドットは十分な存在感で醸し出す雰囲気もピッタリ、“はまり役” だと思います。
 逆に彼女じゃなければ、なかなかシリーズものとして仕立てるのは難しいかもしれませんね

 

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bodum コーヒーミル BISTRO 電気式コーヒーグラインダー 10903

2021-01-10 11:51:58 | 買い物

 
 微妙な味の違いがわかるわけではないのですが、やはり自宅で豆から挽いたコーヒーは美味しいと感じますね。
 
 超初心者なのですが、それゆえに “それなりの評判” のミルを選んでみました。
 
 
 で、数か月使ってみての感想を少し。
 
 まず、私の使い方であれば「タイマー」の意味は全くないですね。最大の20秒でセットしても4人分(約30g)の豆は挽ききれません。
 ただ、使い方はとてもシンプルですし、使用後の手入れも「コニカル式」にしては簡単だと思います。
 我が家の場合、通常「1回に3人分」挽ければいいので、その分量を豆をいれてすべて挽き終えるまで(タイマーに頼らず)スイッチを押し続ければ完了です。
 
 今のところ家庭用としては “十分に満足できるレベル” ですね。

 

 

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クオリアと人工意識 (茂木 健一郎)

2021-01-10 10:08:41 | 本と雑誌

 以前、茂木健一郎さんの著作はかなり集中して読んだことがあるのですが、このところちょっと離れていました。
 本書は昨今話題の「AI」がテーマになっているとのことなので、久しぶりに手に取ってみました。

 人工知能/人工意識についての入門書的な本とのことですが、茂木さんの考察・立論の中から押さえておきたい説明や指摘を覚えとして書き留めておきます。

 まずは、「人工知能の最適化」におけるポイントについて。

(p73より引用) 生物では、ハチからチンパンジーまで、ある課題についてトレーニングを受けても、「正答率」は100%には至らず、80%程度にとどまることが多い。・・・
 人工知能の研究の過程でも、似たような報告がなされている。・・・
 ある課題がある時に、その正答率を敢えて「100%」にしないで、「80%程度」に抑えることの意味は、そうすることによって、予想外のこと、文脈から外れたことに対しても適応する余地を持つことができるからである。 ・・・
 もし、正答率を100%にしてしまうと、環境の変化に適応できなかったり、予期せぬ 偶然の幸運に出会う「セレンディビティ」(Serendipity)を逃すことにつながってしまうかもしれない。
 ある特定の文脈で100%の正答率を達成するシステムは、かえって「過剰適応」になって、柔軟に多様な状況に適応する「遊び」のようなものを持てなくなる。これは、生命活動全般に普遍的に成り立つ原理であるが、人工知能研究からも似たような結論が出てくるのが興味深い。

 次に「意識」について。

 本書のタイトルは「人工知能」ではなく「人工意識」です。“意識”が中核テーマなので、議論を始める基本として「意識の定義」を明確にすることは最初に取り掛かることだと思うのですが、その点について茂木さんはこう語ります。

(p90より引用) そもそも、意識 (consciousness)とは何か。 意識について議論をする際に、その「定義」をして欲しいというような要求を受けることがある。しかし、そのような問い、それに基づくやりとりは多くの場合、無益である。「クオリア」(qualia)についても同様である。「クオリアとは、赤の赤らしさ、水の冷たさなど、私たちの意識的感覚を特徴づける質感である」と言えば、それに尽きている。それではわからないという人に言葉をあれこれ変えて言っても無駄である。無益な時間が流れるだけだ。

とのことですが、少々「入門書」の書き方としては乱暴な印象を受けました。
 もちろん、

(p107より引用) クオリアと志向性は、それぞれ、意識の持つもっとも基本的な性質である。クオリアが、外界の事物をさまざまな質感を通して表象するのに対して、志向性は、自分の意識が何ものかに向けられている状態を指す。

(p112より引用) 意識は、脳内の情報を「私」という主体の枠組みの中で共有するメカニズムをつくっていると考えられる。
 つまり、 意識は、脳全体の情報処理を、「私」という枠組みの中で統合していくのである。

(p279より引用) 意識は、ある選択をする際にそれぞれの選択肢を導いた「評価関数」の詳細を参照せず、むしろそのような個々の「事情」や「理屈」を超えた、「全体」を見渡して最終的な判断をする。そのことによって、選択が安定する。このような「統合された並列性」に基づく安定化メカニズムが、意識の重要な役割の一つである。

といったように、このあとあれこれと「意識の性質」や「意識の機能」については解説していますが、これもなかなか難解で私の頭では追いついていけません。

 事程左様に、本書で展開されている議論は、正直なところかなり理解しづらいものでした。当然その最大の原因は私自身の基礎的な知識や理解力の欠如にあるのですが、それでも部分的にはすっと腹に落ちる解説もありました。
 代表的なものが「自動運転と倫理」に関する説明です。

(p270より引用) 人工知能は、何をどれくらい優先するかという「評価関数」が与えられなければその運転制御ができない。・・・
 将来、自動運転技術が進み、人間の手を介さない完全自動運転が実現したとしても、その人工知能が何を優先させるべきかというアルゴリズムの具体的な内容が開示されるべきか否かという問題もある。
 自動運転車が、どのようなアルゴリズムで運行されているのかが明らかにならないままに、都市の中の通りを走り、自動運転車に私たちの安全と命を委ねることになるのは受け入れにくい。しかし、だからと言って、自動運転車がどのようなアルゴリズムで、何を優先させて走っているのかが明らかになってしまうことも、人間には耐え難いだろう。

 このくだりの前後には具体的な事象例がいくつも示されていたこともあり、この説明ぐらいですね、何とか茂木さんのロジックについて行けたのは。

 本書で展開されている議論を辿っていくためには、「意識」という概念の理解が不可欠なのですが、私の場合、そこに至っていないのが致命的です。以前の茂木さんの本に登場していた「クオリア」はともかく、本書で頻出する「志向性」「身体性」の意味するところがどうもきちんと頭に入ってきませんでした。

 そういった今後に続く“理解すべき課題”を明らかにしてくれるという点で、本書はまさに優れた「入門書」だったということですね。

 

 

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〔映画〕ガメラ 大怪獣空中決戦

2021-01-09 18:55:49 | 映画

 
 恥ずかしながら、この歳になっても “怪獣映画” は大好きです。
 
 「ゴジラシリーズ」はもちろん ですが、この「(平成)ガメラシリーズ」もとても気にいっていて、なかでも第一作の本作品が一番好きですね。
 
 ともかく、ガメラとギャオスの造型が素晴らしいです。変にゴテゴテしていなくて機能的なデザインですね。大映映画ではありますが、ミニチュアセットを使った特撮も見事だと思います。ただ、残念なのは背景画像との合成のシーン。今ならもっと違和感なく観せることができたでしょう。
 
 最終シーンでの「来るよ、ガメラはきっと来るよ」の台詞は、途中に登場する「トキは人を食いませんよ」と並んで、このシリーズ作品の名台詞だと思います。

 

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〔映画〕起終点駅 ターミナル 

2021-01-08 11:01:14 | 映画

 
 こういった日本映画ならではの情感は洋画では無理ですね。
 
 私の場合は、やはりこの手のテイストがしっくりきます。シナリオが素晴らしいのはもちろんですが、ともかく舞台が旭川・釧路・厚岸ですから。
 
 前半の尾野真千子さんのパートと後半の本田翼さんのパート、ちょっとした接点を持たせながらも力まない演出でそれぞれの生きる姿が心に沁みますし、その時間と心情の差を演じ分ける佐藤浩市さんは本当にいい役者さんだと思います。
 あとは、こういった作品に欠かせないスパイスの役回りの中村獅童さん。キャスティングもよく考えられていました。

 

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