本書は、「地図」をテーマに様々なエピソードを紹介した変わった切り口の本です。
戦争や国境紛争等、当時の国際情勢を反映して歪められたり改ざんされたりと、「地図」が語る薀蓄には興味深いものがありました。
時代を追って地図を並べると、その「土地」の歴史がリアルに表れてきます。
本書では、「地図に刻まれた炭鉱町の盛衰」として北海道の夕張が紹介されています。
昭和30年ごろの地図では建物が立ち並び2万人近くの人口があった炭鉱の町大夕張も、現在の地図でみると、一面の更地、往時の面影はかけらもなくなっているのです。
(p32より引用) 地形図は、町の移ろいゆくさまも克明に記録する。残された地形図は、大夕張が生まれ、栄え、衰え、消滅するまでの、うそいつわりない姿を見せてくれているのだ。
本書を読んでいて懐かしかったのは、1970年に大阪で開催された万国博覧会の「万博会場図」でした。
当時は、主なパビリオンの位置は暗記していましたね。
最後に、おまけです。
本書によると、自衛隊でも防衛省防衛政策局調査課を中心に、陸上自衛隊の場合には地理情報隊があり、実際に地図を作成しているとのことですが、NTTの電話工事部隊の流れをくむNTT-MEという会社でもゼンリンの住宅地図に匹敵するような精緻な市街地図を作っています。
電柱敷設や電話ケーブル工事にも使うので、道路のカーブの具合とかはゼンリン地図よりも遥かに正確なのだそうです。
地図といえば「国土地理院」が思い浮かびますが、必要に応じ様々な地図がつくられているようです。
地図もウソをつく (文春新書) 価格:¥ 788(税込) 発売日:2008-08 |
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