この本は、ステレオタイプの学習術のHow To本のようなタイトルですが、内容は思いのほか幅広です。
人それぞれの多様性を前提に、個々人に合った学習スタイルがあること、その多様性の具体的な要素としての「知能」にもいろいろな種類があることを示した上で、これらの「知能」を効果的に組み合わせて学習することを勧めています。
この本で言う「知能」は、ふつうに抱く「知能」のイメージとはちょっと違います。むしろ、「能力」に近いかもしれません。これらの知能=能力を発揮して学習に向かうのです。
具体的な「知能」とは以下の8種類です。
- 言語的
- 数学的/論理的
- 視覚的/空間的
- 音楽的
- 身体的
- 対人的/社会的
- 内面的
- 博物学的
さて、学習に役立つパワーツール(具体的How To)ですが、著者は以下のようなポイントを示しています。
(p178より引用)
- WII-FM(What’s in it ? For Me:自分はそこから何を得ることができるか?)を決める
- 成功のビジョンを創る
- 全体像を見る
- 知っていることをチェックする
- 何を知らないかを定義する
- 疑問を持つ
- 適切な活動を加える(図表/視覚化等)
- 休憩を取る
- テーマについて調べる
- 要点を記憶する
- 知っていることを試す
- 振り返り
最初の「心の準備」が特徴的です。
また、こういう指摘もあります。
(p186より引用) 人々が最もよく学習ができるのは、あまり脅威を感じない、エネルギーの高い環境のもとである、ということがわかっています。どうしたらそのような環境を作ることができるでしょう?
これが会社での「学習」だといわゆる「職場環境」の問題です。(「職場環境」については、また別の機会に書きたいと思います)
企業での学習の場合は、以下のコメントが有益です。
(p188より引用) 変化に対する答えは、変化を拒まず、それに適応することを学ぶことです。さらに良いのは、自分たちで変化を創り出すことです。以上の点は、なぜ私たちが、素早く学習ができ、創造的な分析のできる人でなければならないのかを説明しています。
今の時代、マーケットに追随する「変化への対応」はすでに当然で、新たなマーケットを生み出す「変化の創造」が目指されています。そのための「学習」ということです。
この本は、「既定唯一の答(解決策)を見つけ出すスキル」をつけるHow Toものではありません。(そういうものとして読むともったいない内容です)
「解のないところから解決策を導き出す」ための「分析的思考」と「創造的思考」との重要性を示し、それらを身につけるための具体的な学習方法を示している本です。
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