著者のローフス・ミッシュ氏は、元親衛隊アドルフ・ヒトラー連隊の隊員でした。1937年に入隊し、1945年ベルリンの総統官邸でヒトラーが自決するまで、ヒトラーの身近にいました。
そのミッシュ氏が、ヒトラーとその周辺の人々そして自分自身について語った回想録です。
ただ、ミッシュ氏自身も話しているように、物理的にヒトラーの近くにはいましたが、彼自身、決して政権中枢の人物ではありませんでした。それゆえ、本書に書かれている内容は、ヒトラーの日常生活や表面的な行動に関する描写が多く、必ずしも期待していたほどのジャーナリスティックなものではありませんでした。
逆に言えば、身近にいたとしても「一兵卒から見えていたヒトラー像」は存外そういうものだったのかという納得感に似た感覚がありました。
著者が戦後の捕虜生活から解放された後のくだりです。
(p231より引用) 私はそれまで、ナチス時代を扱った本をちゃんと読んだことがなかった。・・・
敗戦からすでに10年近い年月が過ぎていた。私はショックを受けた。強制収容所の実体を知ったのは、このときが最初だった。・・・
私は親衛隊員だった。だが、強制収容所の実態を知らなかった。・・・
ヒトラーは私の上司だった。私たちは毎日のように顔を合わせていた。ユダヤ人の大量虐殺が事実だとすれば、私はヒトラーという人物をまったく見ていなかったことになる。・・・
ヒトラーの死を見とどけた男―地下壕最後の生き残りの証言 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2006-11-21 |
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